トッパンフォームズと日本HPがNFCを利用した決済事業進出で協業

2011年5月17日8:00

ワールドワイドで統一したクラウド型決済プラットフォームを構築
複数の決済手段を一括収納処理できるアクワイアリングを提供へ

トッパンフォームズ/日本ヒューレット・パッカード

トッパンフォームズと、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、電子マネーなど、非接触型ICカードを使った決済プラットフォームサービス事業で協業してビジネスに取り組む。トッパンフォームズの非接触型IC向けのシステム機器開発技術と、日本HPの「FeliCa」ICチップにアクセスするミドルウエア「HP IC-Chip Access Server for FeliCa(ICAS)」を活用し、電子マネー決済プラットフォームをクラウドサービスとして提供する。

FeliCaベースの電子マネーも将来的には

統一プラットフォーム上で共通して利用可能になる

トッパンフォームズは、NFCに準拠したモジュールやソフトウェアなどの開発を行っている。一方、日本HPは、フェリカネットワークスからライセンス許諾を受け、ネットワーク経由で「FeliCa」ICチップにアクセスでき、決済処理が行えるミドルウエア「ICAS」を開発している。また、米HPでは、世界22カ国、6,800万人のクレジットカードアカウント、310万店の加盟店を誇る「Regional Cards and Payments Utility(RCU)」を展開。RCUでは、すでに非接触決済として、Visaの「PayWave」、MasterCardの「PayPass」をサポートしている。

将来的な決済のグローバル化、クレジットカードとのインフラ融合を視野にトッパンフォームズと日本ヒューレット・パッカードが提携

両社は2007年3月に開催された「IC CARD WORLD2007」(主催:日本経済新聞社)において、トッパンフォームズのNFCリーダライタと日本HPのICASサーバを連携し、ポイントラリーを実施した。それ以降、新サービスの開始に向け、両社で着々と準備を行ってきた。

「VisaやMasterCard、JCBなどのクレジットカードがそうであるように、電子マネーについても将来的には統一されたプラットフォーム上で共通に利用可能になると考えており、それをワールドワイドで展開したいというのが両社の思いです」(トッパンフォームズ 新事業準備室 プロジェクトリーダー 南 宣吉氏)

近年はNFCに関する認知も高まり、機は熟したと見て両社は共同で発表を行った。今回両社が協業し、クラウドサービスを提供することにより、電子マネー事業者や、自家発行型電子マネーを計画している事業者は、大きな負担なく、FeliCaやTypeA、Bベースの非接触型ICカードを使った決済システムを導入できるようになる。

トッパンフォームズは、NFCリーダライタをベースとした決済端末の開発、決済事業者との協業による加盟店管理・開拓などのアクワイアリングサービスを行う。端末のラインアップも複数用意するそうだ。一方、日本HPはICASをベースとした決済クラウドシステムの開発・運用を担う。

加盟店の費用負担が軽いリーダを提供

複数の決済手段を一括して導入へ

「弊社としてはお客様にとって費用の負担が軽く、拡張性のあるリーダライタを提供します。これにより、レジ横に何台も端末が設置されることはありません。また、リアル、ネットの加盟店にとっては、弊社と包括加盟店契約を結べば、複数の決済手段を一斉に導入でき、収納処理や振り込みなどを一括することも可能です」(南氏)

決済サービスの概要

決済手段も国内のFeliCaベースの主要な電子マネー/ポストペイやType A/BベースのPayWave、PayPassといったなかから、加盟店が自由に選択できるようなプラットフォームの構築を目指す。

「すでに複数の電子マネー/ポストペイ事業者と具体的な話し合いを行っています。弊社が提供するアクワイアリングサービスでは、リアル加盟店だけではなく、国内の主要な決済代行事業者と連携して、ネット決済でもFeliCaベースの電子マネーを普及させる予定です」(南氏)

トッパンフォームズでは2010年2月7日付けで新事業準備室を発足。2011年12月から、本格的なサービスの提供を開始する予定だ。

初年度10億円の売上を目指す

海外で3割の顧客獲得を狙う

海外でも積極的にサービスを展開する予定で、すでに日本HPと重点地域の絞り込みが行われている。日本HPでも2011年の重点項目の1つとして、同事業が挙がるなどかける期待は大きい。

グローバルで事業を展開するHPの存在は強みとなり、例えば、RCUの拠点となるオーストラリアではMasterCardが今後非接触IC決済の導入を積極的に推進する計画だ。まずは、初年度10億円の売上を目指すが、「そのうち3割は海外で展開したい」と南氏も意気込む。

トッパンフォームズは、古くからNFCに着目し、事業を展開している。すでに2010年度の段階でNFC関連のビジネスとして3億円近い売上をたたき出すなど、実ビジネスとして着実な成果を上げているという。

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