2024年6月25日15:37
ペイパル(PayPal Pte. Ltd.、以下「ペイパル」)は、「ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査2024」の結果を発表した。
同調査は、中小企業の現状と今後の見通し、およびEコマース(以下、EC)の実態を明らかにする目的で、日本全国のECを行っている中小企業(従業員数4人~299人)における意思決定者(n=310名/企業)を対象に、2024年4月にオンラインで実施した。
2021年にペイパルが実施した調査では、中小企業の越境ECの実施率は28%であったのに対し、今回の調査では、越境ECを行っている中小企業は50.6%にまで増加した。さらに「今後1年間に行う予定がある」と回答した8.1%と合わせると約60%にも上ることから、今後、中小企業による越境ECビジネスの伸長が示唆される結果となった。
具体的に、中小企業が過去1年間に影響を受けた社外の要因のうち、「物価の高騰」(50.0%)、「景気」(34.8%)、「為替レート」(31.0%)がトップ3となった。また、社内の要因としては、「人手不足」(35.5%)と「価格転嫁」(35.2%)がいずれも35%を超えてトップになっているが、次いで「賃上げ」(27.1%)、「新規開拓不足」(21.0%)が続いている。円安による影響については、「仕入れ価格、その他コストの増加」(49.0%)が最も高く、次いで「売上高の減少」(13.9%)が続く。
ECへの取り組みについて尋ねたところ、中小企業の売上高全体に占めるECの割合は、全体の約1/4となる23.4%だった。また、現在越境ECを行っている中小企業の合計は50.6%となった。2021年の調査で当時の越境ECの実施率が28%だったことと比較すると、過去3年で越境ECを行う企業は約2倍に増えた。また「現在、越境ECを行っていないが、今後1年間に行う予定がある」と回答した企業は8.1%であり、1年後には約60%の中小企業が越境ECを行っていることが見込まれる。
さらに、ECにおける国内顧客と海外顧客(越境EC)の構成比では、国内の平均が90.6%であるのに対し、海外の平均は9.4%だった。一方、ECの売上構成比をみてみると、国内からの売上が85.1%であるのに対し海外からの売上は14.9%であり、顧客単価で見ると国内よりも越境ECのほうが高いという。
さらに、中小企業がECを行う上での課題としては、「物流・資材コストの増加」が34.8%と最も高く、これは「物価の高騰」が影響していると考えられる。次いで「対応可能な社内人材の不足」(29.0%)、「多様な決済手段の導入」(28.1%)、「ECサイトのセキュリティ対策」(28.1%)、「在庫・発送管理の煩雑さ」(26.5%)、「専門的な知識不足による不安」(25.8%)、「運用費とメンテナンス時間の増加」(25.8%)といった項目が拮抗して並んでいる。
また、決済手段については課題の3番目に挙げられているが、これはQR決済やあと払いといった新しい決済手段が続々と登場している中で、顧客のニーズに応えるために「多様な決済手段の導入」に対する必要性をこれまで以上に感じていると分析している。
ECサイトの決済サービス選定時の基準をみてみると、「使いやすさ」(26.8%)、「決済時の手数料」(25.2%)、「セキュリティの高さ」(24.5%)、「初期費用のコスト」(24.2%)が25%前後と、複数の項目が拮抗して並んだ結果となった。このことから、中小企業は、「ユーザー数の多さ」(19.7%)や「知名度」(8.1%)よりも、費用面で導入や運用がしやすく、かつセキュリティの高い、使い勝手の良い決済サービスを求めていることが分かるという。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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