2011年5月30日8:00
開始から10周年を迎えた「Pay-easy」の浸透状況は?
利用金額や件数は順調に増加
2011年10月にサービス開始10周年を迎える「Pay-easy(ペイジー)」は、2001年10月のサービス開始以来、民間企業向けの各種料金、国庫金および地方公金の収納に順次導入され、国内のほぼすべての金融機関(2011年3 月末現在:1,490機関)が参加する決済インフラとして成長・定着してきた。年々、利用金額や件数を拡大するPay-easyの取り組みについて日本マルチペイメントネットワーク推進協議会(JAMPA) 事務局に話を聞いた。
国庫金収納でのPay-easyの利用が増加
ダイレクト方式を地方公金へ展開予定
Pay-easy(ペイジー)は、税金や公共料金、各種料金などの支払いをPCや携帯電話、ATMから支払うことができるサービスである。Pay‐easyは、「Pay-easyマーク」が付いている納付書・請求書の支払いや、支払い方法としてPay-easyが選択できるWebサイトでの料金の支払いなどに利用できる。利用者はインターネットバンキングやモバイルバンキング、ATMなどから簡単に公共料金、各種料金を手数料なしで支払うことが可能だ。
Pay-easyは、税金や各種料金などの収納を行う団体・企業と、金融機関を接続して収納業務の電子化、効率化を行うために構築されたマルチペイメントネットワークの機能を利用している。マルチペイメントネットワークの運営は、日本マルチペイメントネットワーク運営機構(JAMMO)が実施。都市銀行、信託・長期信託、地方銀行、信用金庫、信用組合など、国内金融機関のほとんどがJAMMOの構成会員である。
2010年度の「ペイジー収納サービス」の利用状況は、総利用金額が6.6兆円と前年度比約116%を達成した。総利用件数も41.5百万件(前年度比約109%)と上昇した。2011年2月末時点の予測では6.9兆円まで利用金額が伸びる見込みだったが、震災の影響が3月は若干あったという。
JAMPA事務局 本田 智恵子氏は「税理士の利用を中心とした国税電子納付の浸透や、関税(財務省関税局)の『ダイレクト方式』利用拡大など、国庫金収納でのPay-easyの利用が増えています」と成果を語る。
また、自動車税、固定資産税などの地方税および各種料金をペイジーで支払うことができる地方公共団体が2010年度に7団体増加した。ただし、地方公共団体の取扱金額は2009年度の1.1兆円から2010年度は1.2兆円と微増にとどまった。Pay-easyを導入する地方公共団体は増えているが、認知も含め、取扱金額が伸びないのが課題である。
「国庫金で実績のある『ダイレクト方式』を2011年度中に地方公金へ展開する予定です。これにより、利用者はより簡単な操作で電子納付が完了するため、取扱金額・件数のアップを期待しています」(本田氏)
民間は収納代行企業経由で利用増加
ユーザーの利用チャネルはPCが圧倒的に多い
民間の利用ではNTTドコモやKDDIの通話料金、JRAやYahoo!かんたん決済などさまざまな分野で採用されている。また、決済代行事業者を利用して導入する企業も増えているそうだ。
利用のチャネルとしては、PCが135万件、ATMが61万件、モバイルが18万件等(2011年4月の実績)となっている。PCが圧倒的に多いが、大手をはじめ、複数の金融機関が新たにATMのペイジー対応を予定しているため、今後のATMの取扱いの伸びが期待できるという。また、モバイルでの利用も徐々にではあるが増えている。最近ではスマートフォンユーザーも増えているため、Pay-easyを紹介するスマートフォン専用サイトを作成した(www.pay-easy.jp/sp/)。
2011年度は利用金額7~8兆円
利用件数42~48百万件を見込む
Pay-easyでは2011年10月に10周年を迎える。JAMPA、JAMMOでは、「ペイジー10周年ロゴ」を制定し、年末までPay-easyのさらなる普及に向けた取り組みを継続的に行う予定となっている。
まずは4月1日から6月30日まで、総額400万円が当たるキャンペーンをスタート。(www.pay-easy-campaign.com/)これは、期間中にPay-easyを利用した人の中から抽選で310人に10万円、1万円をプレゼント(合計400万円)するもの。また、民間企業と連携したキャンペーンも実施する予定だ。
JAMPA、JAMMOでは、Pay-easyの10周年を機に積極的な普及・啓発を行うことで、2011年度は、利用金額7~8兆円、利用件数42~48百万件を見込んでいる。