2024年9月3日8:30
ファミリーマートは、2024年7月から、クーポン・ポイント・決済が1つとなったオールインワンアプリ「ファミペイ」初の会員制度「ファミマ メンバーズプログラム」を開始した。「ファミペイ」の利用状況に応じて4つの会員ランクに分けることで、ファミリーマートへの来店や購買頻度を高め、メインのコンビニエンスストアとして利用してもらうことを目指す。スマホ決済機能「FamiPay(ファミペイ)」では、来春にリアルカードを発行するなど決済を強化するとともに、アプリ上にメーカーのブランドページを開設し、マーケティングに活用してもらうなど、オープンなプラットフォームを目指すという。
池谷貴
「ファミペイ」会員は2,000万会員突破
「ファミマ メンバーズプログラム」でつながり強化
ファミリーマートの「ファミペイ」は、ユーザーにお得なクーポンを配信するほか、「ファミペイ」決済や残高チャージに対して独自ポイント「FamiPayボーナス」を付与している。「ファミペイ」は、2024年度に2,000万会員を突破しており、1年前から500万ほど増えた。「ファミマ メンバーズプログラム」は「ファミペイ」会員とファミリーマートとの関係をさらに深めるために開始した。
現在、コンビニエンスストアを利用する人は平均週2回来店し、買い物をしていると言われる。「ファミペイ」のヘビーユーザーもそうした行動をとっている人が多い。ファミリーマート デジタル事業本部 デジタル事業部長 国立冬樹氏は「お客様の来店頻度をより高めることで、お買い物体験を向上できればと考えています。会員をランクや利用頻度に応じたプログラムを展開することで我々とのつながりを強化していきます」と意気込みを見せる。
ファミリーマートでは、「ファミマ メンバーズプログラム」の構想は1年間以上前からあったという。「ファミペイ」会員もここ1~2年で大幅に増加したが、会員ランクで見ると、高頻度で利用しているユーザーの割合は小さくなる。また、会員数が増えるとともにライト層の会員も目立ってきた。国立氏は「よりアプリをお使いいただくようにお客様を誘導し、お得で楽しい買い物体験を提供することでファンを増やしていきたいです」と述べる。
月8回の来店でメインのコンビニ利用に
アプリ提示の動機付けにもつながる
会員は4段階に分別し、1カ月の利用回数と購入金額によってランクが決定する。利用者は3回以上の来店、3,000円以上の購入でレギュラーからシルバーにランクアップ。8回以上の来店、8,000円以上の購入でゴールド、15回以上の来店、1万5,000円以上の購入でアンバサダーとなる。
例えば、コンビニエンスストアの来店が月に8回と仮定すると、月3回の来店となるシルバーはファミリーマート以外のコンビニ店舗を5回利用していると考えられる。ゴールドは月8回来店しており、ファミリーマートをメインに利用している。また、会員は「ファミペイ」で利用したいクーポンがない際は店舗でアプリを提示していない可能性もあるため、メンバーズプログラム実施により来店頻度と購買金額が把握でき、毎回、アプリを提示する動機付けにつながる。
国立氏は「会員ランクを確認していただくことも来店の1つの要素となります。お客様を理解して適切なアプローチをしていきたいです」と話す。新商品やクーポンを確認したり、毎日ゲームでポイントが手にできる「毎日挑戦ゲーム」を楽しんでもらうなど、ライト層から日常的にアプリを利用してもらうことを意識している。
「ファミペイ」の利用者にはアプリ登録時に性別と生年月を入れてもらっている。会員は30代、40代の比率がやや高いが、幅広い年代で利用されている。今後は、会員属性ごとに、どのような購買シーンを訴求すると効果があるのかをデータで解き明かしていくそうだ。国立氏は「基盤データがしっかり整ってきたので、これからアプローチを強化していきます」と話す。
現在、「ファミペイ」の細かい利用状況は非公表だが、会員の稼働率は決して悪くはないそうだ。未稼働会員にはプッシュメッセージでお得なクーポンを配信するなど継続したコミュニケーションを図る。ファミペイ会員が店舗でお得に買い物できることは、店頭サイネージ「FamilyMartVision(ファミリーマート・ビジョン)」を使って訴求したり、SNSの「X」などで発信しており、アプリのプッシュ通知も含め全方位で展開している。
初月は継続率やランクアップ率で成果
アプリのユーザービリティと顧客体験を強化
「ファミマ メンバーズプログラム」の開始月となる7月は、特典総額2億円相当のキャンペーンを実施。7月中にシルバーランク以上の達成で、①1.5億円相当のクーポンの発行、②5,000万円相当のファミマポイントの山分けキャンペーンを実施した。すでに7月の会員ランクは確定しており、ランクに応じて割引率に差をつけたアイスクリームのクーポンを配信している。国立氏は「ランク制度を初めたことで継続率やランクアップ率は成果が見え始めています」と話す。
なお、会員ランクに応じたボーナスポイントの付与は、過去に競合他社で反響がなかったこともあり想定はしていない。「単純にポイント何倍よりもお買い物と組み合わせた方がアクティブ率は高いと過去の販促で把握できています」(国立氏)。また、配信するクーポンは自社が訴求したい商品に加え、メーカー協賛品もある。メーカーにとってはブランドの認知に加え、定番商品を継続的に購入してもらうことにも活用できるそうだ。
ファミリーマートはアプリのユーザービリティと顧客体験を強化してきた。ポイントサービスでは、dポイント、楽天ポイント、Vポイントに対応しており、これらを「ファミペイ」に連携することにより、別途ポイントカードを提示しなくても、「ファミペイ」を提示するだけでポイントを獲得可能だ。ファミペイ連携したカードのポイント付与率は2倍にしており、アプリの利用促進、来店の動機づけになっている。さらに「ファミペイ」で配信されるクーポンの利用も、同時に適用できる。
なお、「ファミペイ」が配信するクーポンには、登録ユーザーへの全配信クーポンと、購買履歴に応じたセグメントクーポンがあり、会員ランク開始以前から出し分けを行ってきた。また、クーポン以外では、継続して購入される商品に付与される「スタンプ」機能も提供している。
また、「ファミペイ」払いを使っている人は、よりアンバサダーに近い行動をとりやすいため、継続的な利用強化に取り組んでいる。その一環として、STPR所属の2.5次元歌い手アイドルグループ3組『すとぷり・Knight A - 騎士A -・AMPTAKxCOLORS』とのキャンペーンを、2024年8月6日~9月2日まで全国のファミリーマートで実施している。同キャンペーンでは、「ファミペイ」払いで商品を購入すると、200円(税込)ごとの買い物(たばこ・一部商品除く)につき、1会計ごとにスタンプが1個貯まる。必要スタンプ数を貯めて好みのコースに応募すると、抽選で合計1万7,170名に、「すとぷりパソコン」などの景品が当たるそうだ。
また、外部加盟店での「ファミペイ」払いの加盟店を拡大させるなど、決済としての利便性を高めている。残高払いに加え、あと払いの「FamiPay翌月払い」、借入れ希望者を対象とした「FamiPayローン」などの金融サービスを使っている人も増加している。なお、ファミリーマートでは「ファミペイ」から発行できるバーチャルカードを2023年2月より提供しているが、来春にはリアルカードの発行を予定している。
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