2024年9月30日8:15
三井住友カードと三井住友銀行(以下、SMBCグループ)および、インフキュリオンは、事業者向け決済・金融事業領域における協業に向け、資本業務提携契約を締結した。
同提携により、インフキュリオンは、三井住友カードが中心となって推進する「SMBCグループのキャッシュレス決済戦略」の一翼を担い、決済を中心としたソリューション・プラットフォームを構築・提供し、決済市場の進化・拡大に貢献することを目指す。なお、三井住友銀行は、両社グループの協業領域の拡大に向けて同提携に参画する。
SMBCグループは、インフキュリオンが行う第三者割当増資による新株式発行の割当先となり、インフキュリオンの経営陣を除く既存株主の一部から株式を譲受する。これにより、インフキュリオンは三井住友フィナンシャルグループの持分法適用会社となるが、インフキュリオン経営陣を中心とした資本構成・経営体制による独立性を維持し、既存事業の継続的成長を追求していくそうだ。インフキュリオンは、既存事業の継続的成長の追求と同提携の両立で事業成長を加速し、早期の株式上場を目指す。
なお、同提携は適用される法令などの範囲内で、かつ、法令などに基づき必要とされる手続きがある場合には、当該手続きが完了した上で実施される。
政府による「キャッシュレス・ビジョン」の後押しや、コロナ禍によるライフスタイルや働き方の変化を経て、国内の消費者のキャッシュレス決済比率は年々上昇している。これに伴い、キャッシュレス決済市場は拡大するとともに、テクノロジーの進化、さまざまなプレーヤーの新規参入、事業者・利用者のニーズの多様化などにより、絶え間ない変化が続いてきた。
事業者としては、スマートフォンの普及拡大・決済手段の広がりに伴い、消費者の行動もモバイルを中心とした生活に移り変わり、自社アプリを通じて決済・サービス・マーケティングをワンストップで提供したいというニーズが顕在化してきた。
また、近年、インボイス制度や改正電子帳簿保存法など会計・経理業務に係る法改正が施行され、法人間取引においてもデジタル化する動きが加速している。法人間取引におけるキャッシュレス決済の推進により、人手不足や非効率による業務負担を軽減するとともに、キャッシュフローのリアルタイムな可視化や、取引データの蓄積により、精度の高いマーケティングや新たな事業価値創造につなげたいというニーズも顕在化している。
このような環境下、SMBCグループは、「SMBCグループのキャッシュレス決済戦略」を掲げ、グループの総力を結集するとともに、グループ外の企業との協業も拡大しながら、事業者に提供する各種サービスをレベルアップしてきた。
法人向けサービスの主な事例としては、各種法人カードによる経費精算の効率化などの提案をはじめ、事業者(加盟店)向けには「stera」などの商品・サービスを提供している。
一方、インフキュリオンは、Embedded Fintechの企業として、決済・金融とテクノロジーを組み合わせたさまざまな決済関連プロダクトの開発、オープンAPIなどの決済基盤を実現するための社会的な受入れ体制の整備に取り組んでいる。
主な事例としては、さまざまなビジネスやサービスに合わせて組み込むことが可能なカード発行プラットフォーム「Xard(エクサード)」があり、「Xard」を通じて発行された法人カードの枚数はプロダクトの提供開始後3年間で150万枚に上る。そのほか、請求書支払いプラットフォーム「Winvoice(ウィンボイス)」、事業者や金融機関向けデジタルウォレットプラットフォーム「Wallet Station(ウォレットステーション)」など、非金融事業者が独自サービスと掛け合わせて金融サービスを提供するためのFintechプラットフォームの提供をしてきたそうだ。
同提携により、SMBCグループのさまざまなソリューションに、インフキュリオンが持つプロダクトを掛け合わせることで、決済を起点に事業者のデジタルトランスフォーメーションを総合的に支援するソリューション・プラットフォームを構築・提供するという。また、インフキュリオンは、新たに獲得した資金を活用し、人員を含む製品開発体制の増強を実施する計画だという。
なお、SMBCグループとインフキュリオンは、B to B事業者およびB to C事業者向けソリューション提供で協働しているが、顧客ニーズに沿ったその他領域での協働も検討するという。
具体的に、B to B領域では、三井住友カードとインフキュリオンがもつ法人カードサービスをベースに、知見・ノウハウを結集し、法人クレジットカードの即時発行、モバイル決済等、業界最先端の機能性・利便性を備えた新たな法人カードを開発・提供していく。また、インフキュリオンが持つ「Xard」の機能拡張性とSMBCグループの与信管理ノウハウを活かした新たな提携カードモデルの開発や、請求書支払いプラットフォーム「Winvoice(ウィンボイス)」と法人カードをシームレスに連携し一体的に提供する等、両社グループのプロダクト、ノウハウを連携することで、さらに利便性の高いプロダクトの開発に取り組む。
さらに、SMBCグループの総合金融サービスを核に、インフキュリオンが持つコンサル知見やAPI連携技術で金融・非金融サービスをつなぐことにより、請求書のやりとりから支払・回収までの資金管理をワンストップサービスとして提供するなど、金融の枠に留まらず、企業の経営を多角的かつデジタル・リモートで支援するプラットフォームを構築・提供していく。
B to C領域では、三井住友カードの決済ソリューションに、インフキュリオンの「Wallet Station」が持つデジタルウォレット基盤やオリジナルPayなど各種機能を提供することで、事業者の顧客特性やビジネスモデルに応じた新基盤を開発するなど、最適な形で組み合わせて展開することを検討していく。これにより、事業者の顧客利便性の向上、キャッシュレス決済の推進によるレジ業務負担軽減、決済データ活用によるマーケティングの精度向上等を実現していく。
加えて、両社グループの金融ソリューションとインフキュリオンがもつコンサルティングの知見を活かし、事業者の金融戦略の立案支援から複数に跨る顧客ID統合等の課題解決、必要なアプリ機能開発、運用まで、事業者のキャッシュレス戦略を一気通貫で支援していく。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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