2025年1月17日8:00
欧米のバーチャルカードの第5回目は、企業、事業者向けのバーチャルカードを紹介してみたい。
(1)バーチャルカード(仮想カード)とは
(2)バーチャルカードのテクノロジー
(3)バーチャルカードとAI(人工知能)
(4)オールインワン型バーチャルカード
(5)企業、事業者向けのバーチャルカード
商用クレジット、デビット、プリペイドカードの延長としての企業や事業者対象のバーチャルカードの登場は、B2B決済分野にイノベーションを起こしている。企業や事業者向けのバーチャルカードには、次のような3つの資金決済のオプションがある。
・企業や事業者向けクレジットカードのバーチャルカード
法人クレジットカード口座にリンクされ、クレジットラインが設定される
・企業や事業者向けデビットカードのバーチャルカード
ビジネスの当座預金口座にリンクされ、実際のデビットカードと同じように機能する
・企業や事業者向けプリペイドカードのバーチャルカード
プリペイドアカード専用のバーチャルカードのアカウントに、カードを使用する企業 (通常は、承認されたユーザーにカードを発行する雇用主または機関) によって資金があらかじめロードされる
バーチャルカードグローバルベースの取扱高は、2021年の推計値で1.8兆ユーロ(約288兆円)から2026年までに6.7兆ユーロ(約1,072兆円)に急増すると推計されており、その70%の約5兆ユーロ(約800兆円)は事業者対象のバーチャルカードによるB2B取引から生まれていると推計されている。こうした事業者を対象としてバーチャルカードの急速な成長は、企業や事業者がバックオフィスプロセスを最適化し、ペイメントフローとサプライヤーのオンボーディング※を高速化し、リスクを最小限に抑え、詐欺を減らすという緊急の課題に後押しされている。こうしたバーチャルカードは、それを使用する企業や事業者に膨大な収益、データ、運用上の強みをもたらすものと考えられている。
※サプライヤーのオンボーディングとは、新しいサプライヤーが企業のシステムやプロセスに迅速に適応し、効率的に業務を開始できるようにサポートするプロセスを指す。 |
世界の B2B 決済は推定で約 122 兆ユーロ(約1京9,200兆円)と巨額であるが、B2B 決済のわずか 2%がバーチャルカードを含む法人カードやビジネスカード、パーチェシングカード(購買カード)といったペイメントカードで行われ、圧倒的に多くの決済が依然として自動決済機関 (ACH、Auto Clearing House)やクレジットトラスファー(銀行振込)、ダイレクトデビット(口座振替)、小切手などで行われており、企業や事業者にとってはるかにコスト上の大きな問題を生んでいる。 |
B2Bの事業者を対象にしたバーチャルカードによる決済は、世界中で年間取引量が 3,200 億ユーロ(約51兆円)にも達し、2024年までに 5,530 億ユーロ(約88兆円)にまで増加する可能性があるものと推計されている。 |
企業や事業者を対象としたバーチャルカードは、運用効率を実現するという点では、膨大なデータインサイトと企業が費やす全ての費用の管理において比類のないもので、現金や小切手の取り扱いが不要になるというICチップが埋め込まれた物理的なプラスチックカードのすべてのメリットに加え、詐欺防止、B2B決済の幅広い受け入れ、キャッシュフローと運転資金管理、企業の出張関連支出、中小企業の購買関連のペイメントプロセスを変革することができ、さらに多くの画期的な機能を提供することができる。
Mastercard の調査によると、バーチャルカードは1取引あたり 0.50 ドル(約75円)から 14 ドル(約2,100円)のコスト削減をもたらす可能性があるとしている。また、企業や事業者がペイメントプロセスをカードプログラムに統合しておらず、小切手やACH(Auto Clearing House)、またはそのほかのカード以外の決済方法に依存している場合は、さらに大きなコストの削減が見込まれるとしている。
事業者向けのバーチャルカード
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