2025年1月16日8:00
神奈川県道路公社は、三浦縦貫道路(横須賀市)において、ネットワーク型ETC技術を活用した「ETCGO」の本格導入に向けた社会実験を、2024年7月17日から行っていたが、2025年1月12日に本格運用を開始した。現在利用可能なカードは、三井住友トラストクラブのダイナースクラブ、およびイオン銀行(業務受託会社 イオンフィナンシャルサービス)のETCカードのみだが、今後は契約イシュアの拡大により利用できるカードを増やしていきたいそうだ。
決済時は一旦停止し、1秒で完了
通常のETCから導入コストは4分の1に
ネットワーク型 ETC 技術は、遠隔地に設置したセキュリティ機能を有した情報処理機器と駐車場等における複数の路側機を通信ネットワークで接続し、路側機で取得した情報を集約させて一 括処理することで、ETC カードを用いた決済の安全性を確保する技術となるものだ。高速道路のETC とは異なり必ず一旦停止が必要となる。
ETCGO は、首都高速道路、アマノ、日立製作所、首都高 ETC メンテナンスが共同で事業化した ETC カードによる新たな決済サービスだ。有料道路では、三郷流山橋有料道路(埼玉県三郷市)ですでに導入されている。
神奈川県道路公社では、従来のETCに比べ、初期費用及び維持管理費用が安価なネットワーク型ETC技術を活用した新しい決済サービスの導入に向けて、2020年3月からネットワーク型ETCの社会実験を実施してきた。旧本町山中有料道路(現在は無料化)や三浦縦貫道路において、当初はETCカード番号等を事前登録した人が利用できる実験を行っていたが、2024年7月17日からは事前登録が一切不要で、ETCカードをそのまま利用できる社会実験を行っていた。その結果、安全、円滑に料金所の通過を確認することができたため、今回の本格運用に至ったという。
本格運用では、同公社が取り組んできたワンストップ型 ETCと同じ機器を使用する。また、東名高速道路や首都高速道路などで利用できるETCでは、ノンストップ走行に向けて決済処理が瞬時に完了するよう設計されているが、ETCGOの利用時には料金所で一旦停止が求められる。同公社によると決済処理は通常1秒で完了する。また、従来のETCよりも少ない設備で導入可能なことから、コストは4分の1に抑えられているそうだ。
イシュア2社で利用率が課題に
Suica等も導入、ETCXとの違いは?
具体的な利用の流れとして、運転手はETCカードを車載機に挿入し、ETCGO表示のあるレーンに進入する。その際には停止線の直前で一旦停止させ、決済処理を待つ。支払い完了は料金所ブース前方に設置されたサイネージ案内とチャイムで確認できる。
同公社によると、神奈川県警は安全対策が厳しいため、社会実験を徹底して行うことで、安全性を検証でき、本格導入に結びつけられたという。技術部技術課 課長代理(ネットワーク型ETC推進担当)山崎義也氏は「運転手がどのカードが利用できるかをスムーズに把握できるようにしなければなりません。仮に説明員に尋ねると渋滞が発生するため、サイネージでETC決済ができるかを〇×で判定できるシステムにより、スムーズに車が通れるように工夫しました」と話す。サイネージは表示を白黒で反転させて目立つようにしている。
現在は2社に登録カードが限られるため、「180日間の社会実験での利用は3~4%でした」と神奈川県道路公社 理事 技術部長 久保徹氏は説明する。すでに複数のイシュアが利用の検討をしており、「数が増えればさらに利用率は高まります」と久保氏は期待する。
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