2011年9月27日8:30
3. 中国EC業界の発展傾向
1) ECと検索エンジンの統合
数年前、アリババグループはヤフーの中国事業を買収し、「E-コマース+検索エンジン」戦略を構築しようとしたが、その後この方針を諦め、アリババはSogou(Sohu傘下の検索エンジン)に出資して、検索エンジン融合計画に進めようとしていた。
2009年末、BtoB大手の慧聡網が検索エンジンと提携して構築した”B2B+検索”モデルが業界内で盛り上がった。
2) ネットとリアルの融合、同時展開
電子商取引サービスの多様化とともに、近年オンラインサービスを実店舗に移転しつつある。リアルの展開はオンラインサービスの不足を補うとともに、電子商取引単一から多元化展開へ繋がっていく。
中国電子商取引研究センターの調査によると、アリババ、淘宝、慧聡網、VANCL、益生康健等のEC大手企業はオンラインとリアル両方へ関与した。展示会開催はその手段の一つである。
3) 業界間の情報共有と提携
小規模の電子商取引企業が多いので、業界間での提携傾向がある。業界間の提携は情報共有、広告リソースの共有、相互プロモーションなどの形式がある。
調査会社enfodeskのアナリストは、「業界間の提携」は、中小企業がEC事業に従事する際に、非常に重要なことと指摘している。
4) 業界細分化と機能の充実
従来の大手ECサイトは、現在の業界のサービスを細分化しつつある。取引コストの削減や、より良いサービスの提供を始めている。
中小企業の意識の高まりに対し、ECシステムは各業界毎に更なる機能の細分化をすることが求められている。ユーザーのニーズを満たすために、SaaSサービス、サプライチェーン管理やカスタマー管理などの機能が必要となっていく。
5) SNSとの統合
SNSの核心的な価値は人々の関係を築くことである。これを実現するために、娯楽だけではなく、ビジネスと融合していくと、SNSはより大きな役割を果たせることができる。
SNSの浸透により、人々のコミュニケーションを一層広げる事が可能になった。電子商取引においては、クライアント間の関係を維持することが大事であり、電子商取引とSNSの融合を通して、ユーザーとの繋がりを高めることができる。
6) モバイル電子商取引への展開
ネット広告、SP、オンラインゲーム、バーティカル検索、WEB2.0及びB2Cのブームが終わると、いよいよ「3G」時代がやってきた。アリババ、レノボ、百度などの大手企業は早い時期にモバイルEC業界に参入した。
『2010年中国中小企業電子商取引調査報告』によると、大手企業管理ソフト開発会社「用友ソフト」やSPのモバイルポータルサービスプロバイダ企業「汇海テクノロジー」と「MobiNet」及び多くのネット企業はモバイルEコマースに参入したことが明らかとなった。
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