2012年5月1日10:00
ソーシャルで集金決済
☆☆☆ 資金を効率的に集める決済方法 ☆☆☆
Social Collect Payment
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
イベントを企画したい。でも、場所代や出演者への謝礼、飾りつけなどに費用がかかる。チケットや関連グッズの販売で、元をとりたい。
被災地へ医薬品を送るための義援金を募りたい。でも、どうすれば集められるかわからない。
iPhone用のアクセサリーを思いついた。製品にするにはまとまったお金が必要だ。このアイデアに資金を出してくれる人を集めたい。
夢やアイデアを、個人やNPOで実現するのはむずかしい。プレゼンテーションする場がなかった。資金を集められる場がなかったから。
ソーシャルメディアの登場で状況が一変した。情報共有のネットワークが増殖するからだ。
アイデアが気にいれば、資金支援者が資金援助者を呼ぶ。
目標とする資金を集める。このプロセスに、決済が重要な役割を果たす。
●ソーシャルで集金決済
ウィペイ(WePay)は、オンラインで集金するという機能を前面に打ちだした、ソーシャル集金決済ソリューションだ。オンライン支払いではなく、オンライン集金に注力しているのが独創的。キャッチフレーズは「オンラインで集金する最も簡単な方法」である。
最も簡単な方法というだけあって、申込みから1分以内にオンライン集金をはじめられる。集金方法はクレジットカードと電子小切手。対応するカードブランドは、Visa、MasterCard、Discover、そしてAmexだ。
加盟店口座開設は不要。Webサイトも不要。特別なプログラミングも必要ない。PayPalでは、加盟店口座の開設やWebサイトの運営が前提条件だが、ウィペイはこの敷居を低くした。
ウィペイの手数料はシンプルだ。決済額の3.5%だけである。設定料金や契約費用、月間手数料は無料。PayPalは1件の取引につき2.9%+0.30ドルという手数料である。ウィペイを一躍有名にしたのは、2011年9月のウォールストリート占拠デモだ。寄付金を集めるためにウィペイが使われた。ウォールストリート占拠の波はカリフォルニアやオレゴンに飛び火し、全米に広がった。占拠デモ関連の口座は700以上になった。集まった額は725,000ドル。約6,000万円の寄付金を集金したのである。
PayPalも同様のサービスを提供しているが、企業との関わりが強いため、PayPalは占拠デモの口座を凍結したという。ウィペイは創業後まもないベンチャーだから企業とのしがらみはない。ソーシャルメディアを通じて寄付金の輪が広がった。
ウィペイは2008年の創業で、本社はカリフォルニア州シリコンバレー。マサチューセッツの安アパートでアイデアを練った創業者ふたりは、2009年夏にY Combinatorのインキュベーションプログラムに受入れられ、シリコンバレーに移住した。