顧客サービスに満足している人は半数以下、悪いサービスほど人に伝える傾向(American Express)

2012年6月12日19:22

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(American Express)は、日本とその他10カ国の消費者1万1,000人に対して、顧客サービスに対する意識や考え方に関するインターネット調査を行い、その結果を発表した。2012年で3年目となる同調査の対象は、日本のほか、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、インド、オーストラリアの計11カ国の18歳以上の各国1,000人となった。同社では、日本の消費者1,000人の回答を中心に調査結果を公表した。

一般的な企業の顧客サービスについての感想への回答(出典:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.のプレスリリース)

まず、一般的な企業の顧客サービスについての感想を聞いたところ、日本では「期待通り」と回答した人は全体の46%で、2010年(56%)、2011年(49%)の過去2年間と比べると最も低い数値となった。これに対して、ほかの10カ国では、フランスを除く9カ国で半数以上の人が期待通りである、と回答している。

また、昨今の経済状況において、企業のビジネスはどのように変化しているか、との問い対して、35%の消費者が、企業は以前よりも優れた顧客サービスの提供を「重視するようになった」としているものの、この数字は2010年(49%)、2011年(43%)と比較して低下の傾向にある。約5人に1人は「重視しなくなった」(23%)と感じており、現在の経済状況で消費者は企業が顧客サービスに以前と比べて注力していないと感じていることが明らかになった。

顧客サービスが優れていると感じる企業に、他社より高い金額を支払っても良いか、との質問に対して、半数以上の53%が「はい」と回答した。実際、以前に良いサービスを提供されたという理由で、その企業を利用するために、他社よりも高い金額を支払った経験については、37%が「はい」と回答している。また、平均で9%高い金額を支払う意思があることが分かった。これは、11カ国中、オランダ(7%)とドイツ(8%)に次いで3番目に低い数字だが、欧米のように、習慣として顧客サービスに対して対価を支払うという文化はないものの、良いサービスであれば約一割多く支払っても良いと考えている。

日本の消費者は、悪いサービスについては8 割を超える人が「いつも」(42%)もしくは「時々」(40%)、ほかの人に伝えると回答している。さらに、優れた顧客サービスの経験について、何人ぐらいの人に話すか聞いたところ、日本人は平均で8人に話すことが分かった。悪い顧客サービス体験については平均で11人である。受けたサービスについてほかの人に伝える割合が他国と比べて低いものの、悪いサービスについては、口コミの影響が大きいことが分かった。

日本人の5人に1人(21%)は、過去1年間に、顧客サービスを目的としたソーシャルメディアの利用経験があることが分かった。これは、ソーシャルメディアの先進国である米国(17%)よりも高い数字で、日本の消費者はソーシャルメディアの利用率が高いことが明らかになった。顧客サービスについて、ソーシャルメディアを利用する理由について尋ねたところ、最も多かった回答は、「より多くのユーザーと自分のサービス経験について情報を共有するため」(46%)で、2番目に高かったのは、「サービスの優れた企業についてほかのユーザーからおすすめを聞くため」(32%)だった。

日本と異なり、米国では、「サービスの問題について、会社からの回答を得る」(50%、日本15%)、「優れたサービス体験について褒める」(48%、日本16%)、「優れた顧客サービス対応をした社員を褒める」(33%、日本10%)など企業とのコミュニケーションツールとして利用したり、優れたサービスについて褒めるなど、日本人と比べて、より積極的な使い方をしていることが分かった。

ソーシャルメディアの利用と消費行動の関係性を調べたところ、過去1年間に顧客サービスについて、ソーシャルメディアの利用経験のある日本の消費者は、以前に良いサービスを提供されたという理由で、その企業に、他社よりも高い金額を支払った経験のある人が58.4%と、利用経験のない人の31.1%と比べて高いことが分かった。さらに、顧客サービスが優れていると感じる企業に、他社より高い金額を支払っても良いか、との質問に対しても、ソーシャルメディアの利用経験のある消費者の7割(70.1%)が「はい」と回答し、利用経験のない人(47.8%)と比較すると高い割合となった。ソーシャルメディアをサービス目的で利用している人は、実際に良いサービスに対してより高い金額を支払っており、その意思も高いことが判明した。

また、過去1年間に、顧客サービス担当者に腹を立てた経験があるか尋ねたところ、49%が「はい」と回答した。これは、イタリアを除く欧米諸国よりも高い数字である。

さらに、顧客サービス担当者に腹を立てた時に、取ったことのある行動について聞いたところ、最も多かった日本人の行動は、「店を立ち去った」(27%)だった。この質問は国民性がみられ、米国、英国、カナダは、「上司と話がしたいと主張した」、フランスは、「他社に乗り換えると主張した」、ドイツは、「顧客サービス担当者に名前を教えるよう求めた」との回答がそれぞれ最も高くなった。

顧客サービスの問題のうち、ブランドまたは企業を他社に切り替える理由トップ3は、「顧客サービス担当者が失礼で対応が遅い」(32%)、「問題の解決策が見つからず、担当者をたらい回しにされる」(20%)、「無理に何かを購入させようとする」(14%)だった。コールセンターや対面でのサービス担当者が果たす役割がとても大きいことが分かった。

一般的に、電話で顧客サービスセンターに連絡した場合、電話がつながるまで最大でどれくらい待てるか聞いたところ、日本人の平均は6分で、11カ国中最も低い数字だった。さらに63%は「5分以内」と回答し、この割合は、他国と比べて圧倒的に多く、2番目に多かったのは、ドイツ(50%)だった。日本人は電話で待たされることに最も許容度が低いことがわかった。さらに、76%は、コールセンターに電話して待たされることについて、過去1年間に企業の対応は「変化なし」と感じている。

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