2012年9月10日10:00
日本NCRは、スマートフォンなどのモバイルアプリケーション(NCR Mobile Cash Withdraw)と連携した専用キャッシュ・ディスペンサーを展示した。「NFC(Near Field Communication)」もしくはQRコードによる認証を行い、スマートフォンかざすだけで現金の引き出しが可能となる。
「モバイルバンキングの仕組みを採用し、サーバ側でATM情報、スマートフォンの位置情報を一致させて認証を行い、現金の引き出しが可能です」(日本NCR 執行役員 製品マーケティング本部長 櫻井宏志氏)
利用者はAndroid端末でアプリケーションを起動し、通常のATM同様に暗証番号を入力。続いて、「普通口座」「積立口座」などを選択し、出金金額を決定後、NFCの読み取り部分にかざすと現金の引き出しが行える。現状は、Androidのみの対応だがiOSも開発中だ。
「NFCの場合は、ATM側にも専用のリーダが必要となりますので、QRコードを利用した認証にも対応しています。利用者は出金金額を選択後、スマートフォンのカメラを起動し、ATMのQRコードを読み取れば、出金が可能となります」(櫻井氏)
同システムでは、NFCやQRコードを読み取るだけで出金が可能なため、平均10秒以内で操作が完了する。利用者がATMに触れる必要が無くなり、金融機関にとってはセキュリティ向上を実現できる。また、既存のATMシステムをそのまま使えるため、アプリケーションの追加とATMの表示機能の開発などで済み、「ハード面での投資はそれほどありません」と櫻井氏は自信を見せる。すでに北米の主要な銀行で3,000台が所有され、そのうち1,000台がQRコードによる引き出しが行えるそうだ。
櫻井氏は、「スマートフォン専用キャッシュ・ディスペンサーにより、モジュールにかかる費用やランニングコストの削減が可能です。また、コンビニのATMの8~9割は出金です。そのため、お客様が並んでいる間に出金金額をスマートフォンで選択し、かざすだけで出金が可能になれば、スピードアップにつながります。国内でも市場のポテンシャルは大きいと感じています」と語り、笑顔を見せた。
なお、同システムは、日本金融通信社が主催する「FIT展(金融国際情報技術展)」で公開された。