2013年2月21日8:00
店舗への来店を支援するO2Oサービス「ショッぷらっと」を開始
NTTドコモは、2013年2月20日から、利用者がスマートフォンを持って店舗に来店するだけで、ポイント「star」が貯まったり、お得なクーポンがもらえるサービス「ショッぷらっと」を開始した。開始当初は、東京都内を中心に、トライアルサービスに参加する約170店舗でサービスを利用可能だ。
「コマース」領域のサービス提供に注力
来店するだけでポイントやクーポンの利用が可能
NTTドコモはモバイルを核にしたサービス企業への転換を推進している。中でも力を入れているのは「コマース」領域だ。「dマーケット」という名称で、デジタルコンテンツ、ショッピングなどを提供している。
今回提供する「ショッぷらっと」はO2Oのサービスを意図的につくろうとしたわけではないが、「O2Oの考え方と近しいサービス」となっている。NTTドコモでは、わくわくする体験ができて思わずお店に行きたくなる仕掛けを提供していきたいとしている。すなわち、スマートフォンによってリアルの場で楽しみながら使える便利なオンラインサービスこそ「ネットとリアルの融合」であると考えている。ただ、同事業領域は、「まだ完成したビジネスモデルができあがっているとは言い難い状況」(NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 オープンサービス企画担当部長 斎藤剛氏)であるという。
「ショッぷらっと」は、利用者が店舗に来店するだけでポイントが貯まり、クーポンがもらえる「お得発見アプリ」とNTTドコモでは捉えている。利用者は、アプリをインストールし、アプリを起動しながら、近くの店舗の情報を確認できる。実際に来店するとポイントやクーポンの利用ができたり、おすすめ情報を取得可能だ。
具体的には、位置情報を活用し、近隣でポイント付与やクーポン配信を行っている店舗を検索できる。また、画面をタッチすることで店舗情報を表示し、セール情報やお得な情報をいつでも取得可能だ。さらに、気に入った店舗に入店するだけで、「star」(ポイント)が貯まり、クーポンによる割引を受けることができるという。貯めたstarは、商品券やギフトカードなどと交換可能だ。斎藤氏は、「来店するだけでポイントがもらえるのがキーになります」と説明する。NTTドコモでは、店舗にチェックインするだけで「お得」と「喜び」といった価値を提供できると自信を見せる。
音波を検知しサーバから情報を配信
10メートルの範囲でセキュアなチェックインを実現
「ショッぷらっと」は、スマートフォンが音波を検知し、サーバから情報を配信することでサービスを実現している。技術的には、18~19kHzの周波数を利用しているそうだ。今回のサービスでは、店内入口に音波装置を設置。アプリを起動したスマートフォンを持ったユーザーが来店すると、音波装置から発する高周波をスマートフォンが自動検知し、サーバを通じて、スマートフォンに対してstarやクーポンを配信する。
非接触の技術は、NFC、WiFi、GPSなどがあるが、「重要なファクターになったのは10メートルの世界」(斎藤氏)だ。音波を利用すれば10メートルという狭い世界で、顧客を識別しながらセキュアなチェックインが可能だ。例えば、音波装置を、複数の店舗や店内コーナーに設置し、各拠点の巡回を条件としたポイントやクーポン配信が可能となっている。これにより、例えば、大型店舗では、複数のチェックポイントを設けることで、店内の回遊性を高められる。また、アプリ利用者の来店者属性(性別・年齢・郵便番号)が把握できるため、導入企業・店舗は、マーケティング情報を活かした新たな販促施策などの検討が可能となっている。
なお、音波技術については、NFCやFeliCaリーダなどで実績のあるビー・ユー・ジーとNTTドコモが共同開発した。
来年度以降は1,000店舗以上に利用を広げる
東急百貨店では250万円のポイント発行を想定
NTTドコモでは、「ショッぷらっと」のトライアルを、東京都内を中心に、2013年2月20日から8月末まで実施する。開始時点でのトライアル参加店舗は、カフェ・カンパニー、シダックス、タワーレコード、東急百貨店、ドリームコーポレーション、ナムコ、プーマジャパン、べレックス、三菱地所・サイモン、ラ・エスト、ランシステム、リンガーハット、ワタミフードサービス、出光興産など約170店舗。今年度末までには300店舗、来年度以降は1,000店舗以上での利用が見えているそうだ。
トライアルでは、AndroidはもちろんiPhone向けにもアプリを無料で提供する予定だ(iPhoneはサービス開始時点では非対応)。NTTドコモでは、トライアル提供を通じて、効果的なO2Oスキームを検証する。今回の実験では、店舗から1ポイントの発行につき1.05円を徴収するモデルとなるが、実運用時には来店手数料を徴収するモデルを予定している。
その中で、スポットにチェックインするという新たな可能性を見出していきたいとしている。また、既存のサービスとの連携を図り、データを有効活用した、ビッグデータビジネスへの展開を視野に入れている。
なお、今回実験に参加する東急百貨店では、スマートフォンの浸透により「お客様が変わる」ということを実感しているそうだ。また、東急東横線・副都心線の相互直通の開始、ShinQsの開店と急成長、東急百貨店東横店のグランドオープンなど、渋谷地域の再開発とともに東急百貨店自身が変わろうとしている。そんな中、「ショッぷらっと」に参加することで、顧客に新しいタイミングでアプローチ、詳細なターゲティングに基づくアプローチ、正確・精緻なデータに基づくPDCAサークルが可能になると期待している。
東急百貨店 常務執行役員 営業本部 副本部長 上根弘之氏は、「渋谷は情報発信をし続ける街としていきたいと思っておりますので、その一助になればと考えております」と話し、新しいショッピングスタイルを確立する夢を実現させたいということだ。東急百貨店では、渋谷の東急百貨店本店および東横店、ShinQsで実証実験を行うが、250万円程度のポイントが発行されると予測している。