2013年11月20日8:00
ネットショッピング専用のプリペイドカード「e-さいふ」を展開
口座入金額は自由設定ができ、家族で便利に利用可能
三菱UFJニコスでは、ネットショッピング専用の「バーチャルプリペイドカード」を発番できる「e-さいふ」を展開している。利用者は、インターネット上の専用口座を開設し、前払いでチャージ(入金)すると、利用した金額の範囲内で世界中のVisa加盟店でインターネット決済が可能だ。また、口座開設者は同時に最大3つの「e-さいふ」専用バーチャルカード番号を取得して家族に割り当てて利用できるのも特徴となっている。
クレジットカードからのチャージに加え
コンビニでの陳列販売や多機能端末販売を実施
「e-さいふ」は、あらかじめ利用者がインターネット上に専用口座を開設し、希望金額分(5万円以内)をチャージすれば、Visa加盟店でのネット通販で利用できる「e-さいふ」専用番号が取得できる。取得した「e-さいふ」専用番号は、通常のクレジットカードと同じ形態の「カード番号・有効期限・セキュリティコード」となっており、「Visaバーチャルプリカ」として世界中のVisaインターネット加盟店で利用可能だ。
2013年2月のサービスインの段階ではクレジットカードからの入金のみでサービスを開始。同社の会員の中には、インターネット上でクレジットカード番号を入力することに不安を感じている人も少なからずいるそうだ。まずは、そういった会員に対し、安心してインターネットショッピングを楽しんでもらうために「e-さいふ」をスタートしたという。
2013年8月からは、全国のサークルKサンクス店舗のギフトカードコーナーにおいて、「e-さいふVisaバーチャルプリカ」の陳列販売をスタート。3,000円(販売価格3,300円)、1万円(販売価格1万400円)の2種類のカードを現金による前払いで購入可能となった。現在は、デイリーヤマザキおよびニューヤマザキデイリーストア、ダイエーでも取り扱いを開始しており、今後も購入できる店舗は拡大する予定だ。
10月からは、コンビニエンスストアに設置の多機能端末を活用して前払いで購入できるサービスを開始。チャージ額は、2,000円(販売価格2,200円)、3,000円(販売価格3,200円)、4,000円(販売価格4,200円)、5,000円(販売価格5,200円)、5,500円(販売価格5,700円)の5種類を用意。利用者は、全国のセブン-イレブンおよびサークルKサンクスの多機能端末でカードの購入が可能となるなど、販路の拡大も強化している。
同社では「e-さいふ」により、クレジットカードを利用するユーザーはもちろん、これまでクレジットカードを利用してこなかった人々を取り込みたいとしている。三菱UFJニコス 営業本部 Web推進部 次長(EC推進グループ担当)奥野斉昭氏は、「クレジットカードユーザー以外の人々を取り込むのは『e-さいふ』の命題でもあります」と意気込みを見せる。
利用の都度メール配信を行い、安全面に配慮
ショッピングポータルサイト「e-さいふ」版「POINT名人.com」を開設
「e-さいふ」の大きな特徴は、ウォレット(口座)形式になっている点だ。利用者は、「e-さいふ」に対して口座登録を行い、その配下にVisaの16ケタのバーチャルカード番号が発番される。口座形式で1口座につき、同時に3つまで発番できるため、家族で利用可能だ。
「e-さいふ」の口座入金額は、500円から上限5万円での自由設定が可能で、1回の買い物上限額は2万9,000円となっている。奥野氏は、「カードに対しても任意に金額の設定が可能であるため、例えば、お子様に対して3,000円から5,000円の範囲内で利用してもらうことも可能です。一見すると口座形式はハードルが高いように見えますが、一度ご利用いただくと便利な仕組みのため、リテンションを図るうえでメリットは出せると考えています」と強みを口にする。
また、チャージ手数料は、他社のクレジットカードの場合、1,000円まで100円、1,001円以上は200円だが、三菱UFJニコスのクレジットカードからの入金の場合は、手数料が無料となる。
安全面の配慮としては、各番号が利用されるたびに、口座開設者に利用通知がメールで届く。また、ネットの専用画面で各番号の履歴を確認することも可能だ。
2013年9月からは、ショッピングポータルサイト「e-さいふ」版「POINT名人.com(ポイントメイジン・ドットコム)」を開設。同ポータルサイトには、楽天市場、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピングといったWebショップが20店程出店しており、同サイト経由で買い物をすれば、0.5%から最大12%分が口座に戻り、その分がネット通販で再利用できる仕組みとなる。
「口座形式ならではのサービスであり、口座へ残高が戻ってくるため、仮に利用者のバーチャルカード番号が変わっても安心です」(奥野氏)
投資コストを抑えてサービスを開始
コンビニなどでの陳列販売では「Visa」ブランドを訴求
そもそも三菱UFJニコスは、約10年以上前からネットワーク電子マネー「デジコイン」のサービスを開始。また、紙のギフト券を発行するなど、プリペイドも含めたカード総合ビジネスを展開している。奥野氏は、「弊社では以前から展開している機能を活用する形でサービスをスタートできたため、投資コストも抑えることができました」と自信を見せる。
普及に向けては、「コンビニエンスストアではさまざまなプリペイドが販売されていますが、全世界のVisaインターネット加盟店で利用できる汎用性があるメリットを、どう打ち出していけるかだと思います」と、三菱UFJニコスWeb推進部 調査役 細野貴史氏は話す。
国内でもバーチャルプリペイドカードを展開する会社はほかにもあるが、コンビニエンスストアの陳列販売をいち早く開始することにより差別化を図る。利用者が日常的に訪れるコンビニエンスでの陳列販売により、商品を視覚的に訴えることが可能だ。陳列販売するカードについては、ビザ・ワールドワイドと相談し、「Visa」のロゴを大きく見せることにこだわったそうだ。
また、多機能端末での販売箇所を広げているが、「各コンビニエンスストアからは、ウォレット型であるメリット、POINT名人.comのキャッシュバックによりAmazon.co.jpなどの有名サイトでお得に買い物ができる点が評価されています」と細野氏は笑顔を見せる。
販路の拡大や機能の追加も予定
1年間で80万件の「e-さいふVisaバーチャルプリカ」販売を目指す
今後は販路の拡大、機能の追加も検討している。奥野氏は、「面の広がりとともに認知も高まると期待しています。例えば、代引き手数料と比べ、カードの手数料の方が安い場合もございますので、その辺りの強みも訴えていきたいです」と話す。また、将来的には、プリペイドを起点にカード会員を増やしたいという思いはあるが、まずはネットサービスを便利に利用してもらいたいとしている。
海外では、クレジットに比べ、デビットやプリペイドの取り扱いが大きい市場もある。国内でもプレイヤーが増え、販路の拡大に伴い、生活者の認知度が高まると予想される。まずは店舗において、1年間で80万件の「e-さいふVisaバーチャルプリカ」販売を目指す。