モバイル決済に加え実店舗への展開を強化(エスアイアイ・データサービス)

2014年1月6日8:00

屈指の実績を誇るモバイル決済サービスに加え、実店舗への展開も強化
タクシー向けに1万台の「マルチ電子決済サービス」を提供

セイコーインスツル子会社のエスアイアイ・データサービスは、1998年10月に日本初の無線によるクレジットカード決済システム「CREPiCO(クレピコ)」を投入。これまでタクシー、催事販売、宅配、集金、外食チェーンなどの各業態で、18万システム以上の実績がある。また、センターに加え、モバイル端末、POSに接続するクレジットカード、電子マネー端末の提供を行うなど、トータルに決済ビジネスをサポートしている。

タクシーでは5万台の採用実績
モバイル決済端末は口座振替での採用が増加

モバイル決済端末「AT-2200」
モバイル決済端末「AT-2200」

エスアイアイ・データサービスでは、タクシーメーター連動型のPOSシステムにおいて約5万台の採用実績がある最大手の決済センターとなっている。2013年は、タクシー向けにSuicaなどの交通系電子マネー、iD、QUICPay、銀聯カードに対応した「マルチ電子決済サービス」の提供を開始。東京の日の丸タクシー、東京無線、チェッカーキャブ等に対し、約1万台の端末を提供した。

従来から提供するモバイル端末は堅調に販売実績を築いている。モバイル決済端末「AT-2200」は、クレジット、デビット、口座振替、銀聯に対応。近年は、口座振替受付の要望が多く、カード会社、収納代行会社、地方自治体などからの引き合いがあるそうだ。「AT-2200」については、NTTデータの「INFOX-NET」にも接続。INFOX端末は、カード会社経由の採用が進んでいるそうだ。

マルチ電子マネー端末は8種類のマネーに対応
加盟店からの要望の多いSuicaへの対応も準備中

POS接続としては、マルチ電子マネー決済端末「AT-8200」を提供。丸型の特徴的なデザインとなっており、最大8種類のマネーが選択できる。2014年春以降には、加盟店からの要望が多いSuica等の交通系電子マネーに対応する予定だ。また、国際ブランドが推進する「MasterCard PayPass」および「Visa payWave」については、「オリンピックも決まり、今後は避けて通れないと考えています」と、エスアイアイ・データサービス 取締役 DSビジネス部長 渡辺洋幸氏は口にする。

最近では、各種業務処理、鍵、ネガ情報をサーバで管理するシンクライアント型の決済端末も登場しているが、「例えば、クレジットカードの処理は弊社が提供し、電子マネー端末を他社のシンクライアントサービスで対応するケースも考えられます」と渡辺氏は話す。

同社が強みを持つモバイル端末の提供に加え、近年は小売事業者・外食事業者向けに各種カード決済機能をワンストップで提供するASPサービスを提供している。すでにクレジットカード決済としては、中堅のコンビニエンスストア数社で採用されているそうだ。

端末とセンターを展開する強みを生かす
実店舗での無線接続も強化

「強みは端末とセンターを両方展開している点、加盟店のニーズに沿って、カスタマイズしてサービスを提供可能な点です。例えば、他社のCCTのモバイル端末は銀聯対応が行われていませんが、いち早く対応したことで採用につながったケースもあります」(渡辺氏)

エスアイアイ・データサービス 取締役 DSビジネス部長 渡辺洋幸氏
エスアイアイ・データサービス 取締役 DSビジネス部長 渡辺洋幸氏

銀聯決済については、2012年に三井住友カードと提携して実現。すでに近畿日本ツーリストなどでの採用実績があるそうだ。

モバイルについては、NTTデータのFOMA回線を利用している。渡辺氏は、「他社のモバイル端末の場合、クレジット契約に加え、回線の契約も求めることがあります。そのため、加盟店の登記簿謄本などが必要となるケースもありますが、クレピコの場合、我々が契約するため、そういった手続きは不要です」と強みを口にする。

端末のコストについては年々、低価格化が進行しており、競争も激化している。最近では海外製の安価なモバイル端末も登場しているが、国産の端末のメリットを打ち出していきたいとしている。また、今後は実店舗において無線で接続する端末の提供も検討している。

すでにCREPiCOセンターには、いくつかSII以外のメーカーの端末が接続されているが、他の端末メーカーからも同社センターへの接続を希望する声もあるそうだ。

「弊社はこれまでモバイルが主戦場でしたが、無線のモジュールを製造しているため、無線端末の提供を強化していきたいです。出先に加え、店舗でもモバイル対応を求める企業は増えてくると想定されます」(渡辺氏)

スマートデバイス向けのサービスも提供へ
年間3万台の端末設置を目指す

なお、最近ではイヤフォンジャックタイプのカードリーダをスマートフォンに接続するモバイル決済サービスも登場しているが、「ターゲットが異なるため、影響はほとんどない」そうだ。ただ、CREPiCOとしてスマートデバイスとの連携を視野に入れた検討をしている。

エスアイアイ・データサービス DSビジネス部 企画営業課 モバイル&ネットワーク担当 鈴木利治氏
エスアイアイ・データサービス DSビジネス部 企画営業課 モバイル&ネットワーク担当 鈴木利治氏

セキュリティ面では、CREPiCOセンターの「PCI DSS」対応を進めている。すでに技術的な対応は終わっているが、現行のシステムのまま準拠した場合、システム停止が必要となるため、新システムの移行時にQSA(認定審査機関)のオンサイトレビューを受ける予定となっている。

同社のビジネスとしては、この3年間は売り上げが伸びているそうだ。2013年は大手タクシー会社向けに電子マネーシステムの導入を行ったため、取り扱いが伸びた。また、モバイルについては口座振替受付のサービスが活発となったため、導入比率は高まっているという。2014年は、年間3万台の導入を目標としている。国内のモバイル端末市場は30万台あると言われているため、「積極的に開拓をしていきたい」とエスアイアイ・データサービス DSビジネス部 企画営業課 モバイル&ネットワーク担当 鈴木利治氏も意気込みを見せた。

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