「今後の決済端末に求められる付加価値とは?」特集~(7)NTTデータ

2010年10月7日8:51

累計出荷台数は70万台の大台を突破
国内最大手「INFOX-NET」の次の一手とは?

1999年から運用を開始したNTTデータの「INFOX-NET」。端末とネットワークをセットで提供しており、POS環境のない、比較的小規模な加盟店でも採用できるのが特徴だ。クレジットカード、J-Debit、銀聯、非接触ICなどの決済、さらにはポイントサービスなどの付加サービスも提供している。

年間5~6万台の設置

東芝テックが新端末をリリース

NTTデータの「INFOX-NET」に接続する端末の累計台数は約70万台。登録ベースでは年間5~6万台が設置されているという。

2007年から2008年にかけて三井住友カードがiDの端末を積極的に推進したため、その時期に10万台以上の端末が設置された。2008年のリーマンショック以降、若干設置台数は減ったということだが、現在はその状況から脱却しつつあるようだ。

「端末の価格面は以前と比べ大きく変わっていません」(NTTデータ 第一金融事業本部 カード&ペイメント事業部 商品企画担当 部長 河合正博氏)

左からNECインフロンティア、東芝テック、パナソニックの据え置き端末

端末の提供メーカーはNECインフロンティア、エスアイアイ・データサービス、東芝テック、パナソニックの4社(50音順)。メーカー別の出荷台数は据置、モバイルともパナソニックが多いという。2月には東芝テックがタッチパネルを採用した高機能な端末をリリース。POS接続に適しており、スタイリッシュなデザインで女性にも好評を博している。

銀聯とポイントのニーズが多い

ポイントのセンターとして「SmarP」を保持

「最近の加盟店様からの要望としては、銀聯決済やポイントサービスなど、売上に直結する端末の設置が多く寄せられています」(河合氏)

同社には銀聯に対応した決済環境をいち早く整備し、三井住友カードと協力してINFOX端末の設置を進めた経緯がある。現在は都心の百貨店や家電量販店などへの設置は一巡した感はあるが、今後は地方の観光地、飲食や衣料品、タクシーなどの業態にも積極的に設置を進める方針だ。

左からエスアイアイ・データサービス、パナソニックのモバイル端末

年末には日本カードネットワークの「JET-S端末」も銀聯対応を行うと同社では予想しており、決済端末だけではなく「PastelPort」によるPOSの銀聯決済を含めて、差別化を図っていきたいとしている。

また、INFOXではポイントサービスに関してもいち早く対応しているが、「不況下の中でも比較的規模の大きなポイントシステムの引き合いも増えている」とNTTデータ 第一金融事業本部 カード&ペイメント事業部 商品企画担当 課長 高田洋士氏は説明する。同社ではINFOX端末と連動したポイントシステムのセンターとして「SmarP(エスマープ)」を保持しており、すでに複数の大規模なサービスが稼働している。最近ではギフトカード・プリペイドカードの導入も加速しているため、INFOX端末としてのリリースも検討している。

秋から新聞の継続課金がスタート

売上集計関連サービスが好調

全体的な導入業態の比率は以前からそれほど変化はないとのことだ。なかでも、飲食店やショッピングセンターなどは依然として導入が多い業態だが、地方のスーパーマーケットのテナントゾーンやドラッグストアからの引き合いも増えているという。電子マネー決済は、nanacoを除く国内の主要な電子マネーに対応。導入実績としてはiDが圧倒しているが、最近はWAONが積極的に導入されているそうだ。

新サービスとしては新聞などの継続課金が秋からスタートする。同社によると、決済端末を利用して、継続課金の手続きが行える情報処理センターとしては、今のところINFOXのみであるという。

端末の接続回線の拡張にも力を入れる。昨年はNTT東日本/西日本のひかり電話、KDDIのIP電話、ケイ・オプティコムのIP電話などに対応。特に「IP系の接続は他社に先駆けて行っており、ブロードバンドのカバー率は業界でもトップクラスです」(高田氏)とのことだ。

そして、同社で忘れてはならないのはINFOX端末の「売上集計関連サービス」だ。これは各種決済の売上処理のデータや取引のレポートを報告するサービスで1,000社以上の採用実績がある。これにより、「ただ決済インフラを提供するだけではなく、加盟店様とより近い立ち位置でビジネスが行えます」と河合氏は自信を見せる。

端末のラインアップ拡充は?

海外の動向にも注目

今後の動向として、端末のラインアップ拡充に向けては、低価格な端末を提供するため、国内外の決済端末事業者とも交渉を進めている。ただ、「リーディングカンパニーである以上、日本の決済環境に適した高機能、ハイセキュリティな使い勝手のいい端末であることが絶対条件です。そこをきちんと見極めていきたい」と河合氏は語気を強める。最近ではPCI PTS対応など、決済端末に対するセキュリティ要件も厳しくなっているが、最新の基準に対応した端末をメーカー側に求めていきたいとしている。

また、海外ではiPhoneを決済端末として利用したり、MasterCard PayPass、Visa Pay Waveなどの決済が行われている。またNFCチップを搭載した決済の普及も予測されるが、「いつ日本で採用されてもいち早く投入できるように、海外動向はウォッチしていきたい」(河合氏)とのことだ。

同社では今後も、年間5万台という出荷台数を保持しながら、端末の高機能化、低価格化を進めていきたいとしている。

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