2010年8月5日 08:30
クレジットカード、PayPalでBtoBの海外直取引を実現
カード決済導入により、収益に多大な貢献をもたらす
メトロールは高精度の「精密位置決めスイッチ」を開発し、国内だけではなく世界64カ国から製品を受注している。同社では約10年前から英語のサイトを開設。BtoB決済にクレジットカード決済を導入し、大きな成功を収めている。
カード決済導入で中間商社を挟まずに
低コスト、短納期の直取引を実現
メトロールは東京都立川市で計測・制御用の高精度スイッチの製造を行っている。同社では約30年前に精密機械式「精密位置決めスイッチ」を開発。精度を必要とする「位置検知」「寸法判別」ができ、世界的に見ても同様のものを製造できる企業は限られるという。国内だけではなく、海外からの注文が約半数を占めているが、10年前に英語のサイトを開設し、クレジットカードによる決済を導入したことで、収益確保に多大な貢献をもたらした。
「弊社ではBtoBの取引を行っていますが、クレジットカード決済を導入するまでは国内外の商社を通してエンドユーザーにお届けする販売形態を取っていました。その場合、見積もりで約2週間、実際にエンドユーザーのお手元に届くのは約1カ月かかっていました。クレジットカード決済導入により、エンドユーザーとダイレクトにお取引ができるようになり、1週間以内の短納期でお客様に商品をお届けすることが可能となりました」(メトロール 代表取締役 松橋 卓司氏)
直取引により競争力のある価格でエンドユーザーに商品を提供できるようになったという。例えば日本と米国双方に中間商社が介在する場合、製品単価の20~30%の料金がそれぞれ上乗せされるため、価格競争力が低くなってしまう。また、海外取引の場合は銀行への振込手数料が高い点もネックになっていた。それらの課題をクレジットカード決済導入により、一気に解消することに成功した。
その後、PayPalによる決済を導入、銀行振込も含めて3種類の決済が行われている。法人取引の場合はいったん顧客に見積もりを送り、双方が納得したうえで決済処理に移る。
クレジットカード決済についてはゼウスのシステムを利用しており、クレジットカードの伝送、処理、保管はゼウス側のサーバですべて行われる。
PayPal決済はPayPal社と直接契約を結んでおり、顧客から注文が入るたびにPayPalの口座に料金が蓄積され、ある程度金額が貯まった際にまとめて引き出す形をとっている。
海外取引の約6割がクレジットカード
1~2割がPayPalを利用
現在、海外取引全体の売り上げのうち約6割がクレジットカード、1~2割がPayPalの利用だ。繰り返し商品を注文するリピートユーザーの場合はクレジットカード決済が多いという。特に欧米企業との取引に関してはクレジットカード決済で処理するケースが圧倒的に多い。逆にアジア各国との取引でクレジットカードが利用されるケースは少ない。
同社では海外で開催されている展示会に参加するなど、積極的に自社製品のPRを行っている。2008年には中国の上海に現地法人を設立。中国の旺盛な需要を積極的に取り込んでいる。
なお、国内でのBtoBの取引は銀行振り込みが一般的なため、クレジットカード決済は導入していない。
同社では東京商工会議所の第6回「勇気ある経営大賞」優秀賞を受賞。この選考理由には「海外販路の拠点・手段が皆無の状態から、インターネット受注、少額カード決済、国際宅急便利用、外国語に堪能な社員の増強などにより、現在延べ60カ国以上と取引、中国に販売拠点を設立するなど、“小さなグローバル企業”まで成長させたこと」と記されている。今後も、同社のグローバルな取り組みをクレジットカードやPayPalによる決済が支えていくことになりそうだ。
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