2014年8月12日18:00
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.(American Express)は、グローバル企業の財務責任者(CFO)507名を対象に行った意識調査「アメリカン・エキスプレス/CFOリサーチ グローバルビジネス・スペンディング・モニター2014」の結果を発表した。
同調査で顕著だったのは、業務渡航が今後1年増加する見通しがある一方、日本企業はいまだ全社的な業務渡航の管理が不十分であり、今後の課題の1つであるということだった。さらに、日本のCFOは昨年に続き、国内経済について明るい見通しを持ち、日本の多くの企業が国内市場に成長の機会を見いだしているものの、自社の投資レベルについては慎重であることも明らかになったという。
業務渡航の増加予測は昨年の調査で最も変化が大きかった項目(2013年:74%、2012年 15%)だが、今年も日本の6割以上の回答者が今後1年間に業務渡航が増えると回答している。さらに、日本のCFOの半数近くは、業務渡航への投資は今後の企業の成功に「不可欠(10%)」もしくは「とても重要(36%)」と感じている結果となった。世界のCFOの半数以上も、今後1年間の業務渡航は増えるとの見方を示していることから、業務渡航は世界的に企業の成長における戦略的な投資分野となっているそうだ(世界平均:57%)。
一方で、全社的にどのように業務渡航費を管理しているかについて尋ねたところ、「業務渡航を全社的に一元管理する機能がある」と回答したCFOはわずか3%にとどまり、これはアジア諸国の平均 30%と比べると著しく低い数字となっていることから、日本の企業では、いまだに個々の社員や部署ごとに出張が管理されていることが明らかになったという。さらに、「個人や秘書が事前承認なしに出張を手配している」との回答も10%あった。日本のCFOは、「業務渡航費の削減(32%)」、「業務渡航費の管理状況の改善(29%)」を課題に挙げていることから、今後出張が増えるにつれてこの分野でのさらなる改善が求められる結果となった。
また、多くの日本のCFOが「景気回復を実感」しているという。日本の回答者の55%は、今後12カ月の間に「景気が良くなる」と回答した。アベノミクスに沸いた昨年と比べると若干減少しているが、引き続き半数以上のCFOは景気について全体的に明るい見通しを持っている。
海外では、昨年まで景気回復に厳しい見通しの多かったヨーロッパ諸国のCFOは、自国の景気回復・拡大に対してこれまでよりも楽観的で、特に英国(+43%)、スペイン(+25%)、フランス(+23%)は大幅な改善が見られたという。一方、昨年景気の見通しがとても良かったブラジル、中国はそれぞれ20%ほど減少した。
さらに、企業の成長に影響を与える要因について聞いたところ、日本の回答者の6割以上は「国内経済」が自社の成長に最もポジティブな影響を与えると考えている。外的要因に加えて、半数以上の回答者は「自社の財務改革」も企業の成長のためになると回答している。
同調査で10人中8人の日本のCFOは、今後1年間に支出や投資を「積極的(13%)」もしくは「ある程度(68%)」増やすと回答した。しかしながら、投資水準が昨年と比べて10%以上増加すると回答したCFOは全体の30%にとどまり、昨年の53%と比べると低くなっている。これは、他の調査対象国と比べると最も大きな落ち込みとなった。さらに、全体的には日本企業の支出の水準は昨年と比べて平均で9%増える見込みだが、これは世界平均の11%よりやや低くなっている。支出の内容では、コンピューター・ハードウェアへの投資が最も高くなる見込みだ。
そのほか、昨今、グローバル規模での競争が増す中で、企業が戦略的な決定を行っていくうえで財務的なアドバイスが重要な役割を果たすことが分かったという。日本のCFOの 58%は、財務的な観点は企業の戦略的かつ運営上の意思決定に「影響を与える要因」、13%は「決定的な要因」であると認めている。実際、日本のCFOの10人に4人は、自社のトップ・マネジメント(CEO、社長など)とビジネスの課題について「定期的」に話し合っていると回答している。