2014年12月1日8:00国内でいち早くCLOサービスを展開したクレディセゾンの戦略は?3年後に「永久不滅ドットコム」と肩を並べるサービスを目指す
国内でもいち早くCLO(Card Linked Offer)サービスをスタートさせたのがクレディセゾンだ。同社では、ベンチャーのカンムと提携して、カード決済連動型サービス「セゾンCard Linked Offer」(セゾンCLO)を展開している。クレディセゾンでは、1,000万人超のネット会員を実店舗に送客する手段としてCLOサービスを展開。将来的には、国内最大級のアフィリエイトモール「永久不滅ドットコム」と肩を並べる売上を目指しているそうだ。
最大40倍の「永久不滅ポイント」が貯まる
約100社と提携し、毎月約50のクーポンを配信
クレディセゾンでは、国内のカード会社で一足早く、2013年6月14日から、カード決済連動型サービス「セゾンCard Linked Offer」(セゾンCLO)を展開している。クレディセゾンのインターネット会員は、利用したい加盟店にエントリーの後、該当加盟店でカード決済を行うと、自動的に最大40倍の「永久不滅ポイント」が付与される。現在、約100社の加盟店と提携しており、毎月約50のクーポンを配信しているそうだ。
クレディセゾン ネット事業部 マーケティング部長 磯部泰之氏は、「1年間、加盟店への提案活動を行ってきましたが、サービスをご説明したほとんどの企業が関心を示していただけました」と成果を口にする。また、これまで加盟店契約のなかった企業でも、サービスの説明を聞いた後、新規に契約を結んだ事例も起きているそうだ。
CLOのメリットとして、加盟店はセグメントして訴求したい会員にアプローチ可能だ。また、カード番号と紐づいているため、費用対効果を検証できる。さらに、クレディセゾンからは月次のレポートを提供しており、何人がクーポンを選び、店舗で決済を行ったのかが属性別に把握できるという。加えて、クレジットカードのインフラさえあれば、新たなシステム開発が不要で、店員のオペレーションも普段と変わらないメリットもある。
磯部氏は、「まだまだテストマーケティングの段階で、具体的な成果はこれからの状態です。今後は他のカード会社、加盟店、お客様、サービスを提供するベンダーも含めて、国内外のCLOのマーケットを作っていきたいと考えています」と意気込みを見せる。
現状は、加盟店を開拓することに注力しており、クーポンも加盟店のニーズによってはセグメント分けせずに配信している場合もあるそうだ。磯部氏は、「サービス成功に向けては、圧倒的な成功事例が出せれば、CLOサービスは広がる」と考えているそうだ。
利用明細に加え、アプリと連動した配信も開始
国内でのCLOの普及に向け横の連携も想定
同社では、さらなる利用拡大に向け、利用明細に表示する配信面をより目立たせる工夫を行っている。また、利用明細の場合、一カ月に一度など、閲覧される回数も限られるが、2014年7月17日から、セゾンカード・UC カード会員向けに、スマートフォン用の無料アプリ「セゾンPortal」「UC Portal」の提供を開始。磯部氏は、「おすすめ加盟店のクーポン表示を行うなど、お客様がクーポンを閲覧される導線を増やすような取り組みは常に行っていきたいです。スマホのアプリを作って位置情報やプッシュ配信も考えています」と今後の展望を語る。
例えば、ある店舗でカード決済を行った場合、隣の店舗から案内が届くといったリアルタイムなサービスもアプリを通じて提供できるとしている。磯部氏は、「カードの決済データと位置情報を活用して送客させる取り組みは、近い将来、事例は増えていくと思います」と予測する。
さらなる国内での浸透に向けては、「CLOで先行する米国では協会も立ち上がっており、近い将来、国内でも情報を共有する場ができればと考えています。例えばメディア事業者がカード会社の送客を実施したいとなった際、クレディセゾン以外のカード会社とも連携したほうが良いため、横の連携は必要です」と磯部氏は口にする。
また、「政府でビッグデータ活用やプライバシーの保護などの議論があり、データの活用をどう行うかとなった際、CLOについてはO2Oの取り組みとして、位置情報との連動や第三者のデータを掛け合わせるなど、いろいろな方法論が考えられるので、他社との連携はプラスになります」と続ける。
提携先が主体となって行うCLOも展開へ
将来的に1,000社の加盟店と協力したサービスを目指す
現在はクレディセゾンの付加サービスとしてCLOを展開しているが、同社では提携カードも数多く発行しており、今後は提携カード先が主体となって行うCLOも増えていくと想定している。
磯部氏は、「CLOについては加盟店の期待値はすごく高い」とほほ笑む。課題としては、ネット企業の場合はアフィリエイト広告の概念は慣れているが、大手リアル企業は交通広告やチラシ広告がメインだからだ。
なお、現状はベンチャーのカンムと連携してサービスを展開しているが、「システム開発を柔軟にするため、外部との連携でサービスを構築しています」と磯部氏は説明する。
今後の展開としては、KPI(Key Performance Indicators)として配信できる面の拡大、配信するカードの券種の増加、北から南まで幅広い地域の加盟店と連携できればと考えている。また、現在のサービスはポイントの倍付で行っているが、「金額の割引なども検討している」と磯部氏は語気を強める。
まずは現在100社の加盟店を1,000社にすることで、カード会員が好きなクーポンを便利に選べる環境を整えていきたいとしている。また、売上目標は3年後に国内最大級のアフィリエイトモール「永久不滅ドットコム」の550億円と肩を並べるようにしていきたいとしている。