2015年4月3日8:00■三菱東京UFJ銀行「三菱東京UFJ-VISAデビット」の会員獲得、利用率は順調に推移日常生活における現金からカード決済へのシフトを目指す
三菱東京UFJ銀行では、メガバンク初となるVisaデビットカード「三菱東京UFJ-VISAデビット」を発行している。発行から約1年以上が経過したが、会員数は当初の想定通りに増加。今後も即時払いが可能なデビットカードの魅力を訴求することで、日常生活における現金からカードへのシフトが進んでいくとみている。
サービス開始約1年で30万会員を獲得
幅広い層の利用者の支持を受ける
三菱東京UFJ銀行は、2013年11月20日から、「三菱東京UFJ-VISAデビット」の取り扱いをWebサイトにおいて開始し、2014年1月14日からは店頭での受け付けをスタートした。有効期限は5年間で、同行に普通預金口座を持つ15歳以上(中学生を除く)が対象となる。年会費は1,080円だが、23歳以下に加え、前年1年間で10万円の利用者は翌年の年会費が無料になる。
三菱東京UFJ-VISAデビットは、申込者に専用のカードを発行。国内外約3,600万のVisa加盟店やインターネット上で、現金と同じように利用可能だ。また、予め自身で利用限度額を設定できる。
会員へのサービスとしては、利用金額の0.2%~0.5%のキャッシュバックが毎月自動で受けられる仕組みを提供。また、会員は専用Webサービスで、利用状況を確認可能だ。さらに、海外にあるVisa/PLUSマークがついたATMで現地通貨を有利に引き出すことができる機能も提供している。
2014年12月末時点の会員数は約30万人となっており、当初の計画通りに進んでいるそうだ。三菱東京UFJ銀行 リテール事業部 コンシューマーファイナンスグループ 担当者は、「認知度はさらに高めていく必要があるとは感じていますが、お客様に受け入れられている実感はあります」と成果を口にする。また、デビットカードの発行により、現金利用者からのシフトを想定していたが、その目的は形になり始めているという。
1回の決済時の平均利用金額については、5,000円前後と同行が発行するクレジットカードとほぼ同水準となっている。また、若年層から高齢者まで幅広い層に支持されているが、15歳以上を申込対象としているため、若年層の保有も進んでいる。さらに、入会後3カ月間の基本キャッシュバック率を通常の2倍(0.4%)とすることで、初期の稼働を高める取り組みを行っている。
利用者の反応としては、「クレジットカードに比べ、即座に引き落とし金額が分かるので管理がしやすい」という声も多い。また、利用の都度eメールで通知するサービスを提供しており、利用者の安心感につながっているそうだ(「三菱東京UFJダイレクト」にeメールアドレスを登録していることが前提)。
店頭で商品性を説明して入会につなげる
会員数の増加や稼働率向上に力を入れる
三菱東京UFJ銀行では、店頭にポスターを掲示したり、雑誌広告に出稿するなど、告知活動を行っている。入会については現状、ネットよりも店頭の方が多いという。
「デビットカードの特性上、その商品性をきちんとご説明したほうがお客様に受け入れられている印象があります」(同行)。逆に、インターネットからの入会を如何に増やしていくかが課題となっている。
さらなる普及に向けては、認知度のさらなる向上が第一となる。発行を開始した当初よりも生活者への浸透は進んでいるが、「具体的な商品性やクレジットカードとの違いなどを理解してもらうには時間が必要」(同行)と感じている。
同行では、ビザ・ワールドワイド・ジャパンに対し、Visaデビットカードの発行や運用に伴うシステムおよび業務を外部委託。稼働から1年以上が経過したが、「電文の処理など、システム面では、1~2年間は大変な部分があると想定していましたが、この1年間、そういった課題をひとつひとつ解決してきました」(同行)。国内の決済インフラならではの課題も存在するが、関係各社と協力して課題を埋めていきたいとしている。
同行では、今後も地道に普及に向けた訴求を行っていく方針だ。まだ先行投資の部分が強いが、会員獲得を強化し、稼働率を高めることで、収益を確保していきたいとしている。