2016年2月1日8:00
人口13.6億人という中国パワーのすごさはどうだろう。日本の10倍強、米国の4倍を超える。世界の人口シェアは18.6%。5人集まればひとりは中国人という計算だ。
統計数字が一桁も二桁も違う。
白髪三千丈ではないが、日本人の感覚からすると誇張表現ではないかと、つい疑ってしまう。
その中国でフィンテックが躍進している。欧米に比べてまだ数は少ないが、
新興グループの一角は既存の銀行や証券をしのぐ利用者数を集めている。
Eコマースの巨人アリババグループ傘下のアリペイ(Alipay)。
多様なネットサービスで快進撃をつづけるテンセントグループのテンペイ(Tenpay)。
検索エンジンのバイドゥが展開するウォレット。これらは、既存勢力にとって脅威だ。
中国フィンテックのレッドパワーはどれだけすごいのか。金融サービスでなにを志向しているのか。その実態をレポートしよう。
■恐るべし中国パワー
まず中国経済市場を俯瞰する。減速懸念がささやかれるが、名目GDPは世界第2位。今後も世界に大きなインパクトを与えることは確かだ。1位の米国との差も年々縮めている。
2014年可処分所得の成長率も6.8%と世界平均の1.3%に大きく差をつけ、消費者市場が拡大している。米ボストンコンサルティンググループは中国消費者市場は2020年に6兆5,000億ドル(780兆円)規模に達すると予測した。2015年から54%増。GDP成長率が下方修正されてもこの予測は変わらないという。
この消費者市場拡大を牽引するのは年収81万円以上の中産・上流階級だ。該当人口は2015年5.45億人。2022年には6.9億人、2030年には8.3億人に達する。なかでも年収300万円以上の上流階級はその比率を高め、2015年の2,200万人から2030年には2.2億人に膨れ上がる。消費意欲の高い彼らは都市部に住み、モバイルやPCを活用してオンラインショッピングをよく使う。
中国のEコマース市場は2014年、4,730億米ドル(約56.9兆円)に達した。米国は3,060億米ドル(約36.7兆円)。アマゾンやペイパルなどが牽引してきた米国Eコマース市場よりも大きいのだ。
2011年、当時米国Eコマース市場は中国の1.5倍以上の規模を誇った。しかし中国は急成長を遂げ、2013年に追い抜き、2015年には逆に1.5倍もの差を米国につけた。日本のEコマース市場12.8兆円と比較するとその差は大きい。