2010年9月3日12:45
「カード決済とCRM/付加サービスの親和性」ANA(後篇)
Edyを活用したプロモーションは年々深化
今後もEdyを軸に多彩なサービスを展開予定
AMCは電子マネー「Edy」が付帯されており、同社では電子マネーを利用することでマイルが貯まるサービスを業界ではじめて展開した実績がある。Edyを利用した取り組みは年を重ねるごとに深化しており、AMCの1つの柱になっている。AMCでは通常1回の支払い時に200円で1マイル貯まるが、2008年には1回の支払いで200円につき2マイル貯まる「Edyマイルプラス」を開始。また、毎月300円支払うと200円で6マイルが貯まる「モバイルAMCアプリ」のサービスもスタートしている。ビットワレットは楽天の連結子会社となったが、同社では従来から楽天とも戦略的な提携関係にあるため、今後もEdyを活用した取り組みはさらに力を入れていく方針だ。
多頻度会員へのサービスを充実
「ブロンズ」「プラチナ」「ダイヤモンド」とランクアップ
同社では優良会員育成やこれまでなかなかマイルの恩恵を受けられなかった会員への取り組みも積極的に行っている。
まず優良会員への特典だが、ANAグループ便やスター アライアンス加盟航空会社便を多く利用している会員に、日頃の感謝を込めて特別なステータスを1年間提供している。会員は利用に応じて「ブロンズ」「プラチナ」「ダイヤモンド」とランクアップ。会員のランクごとにマイレージのパーセンテージアップ、空港ラウンジのサービスなどを受けることができる。
「弊社では『eクーポン』というANAで利用できるクーポンを配布しています。通常の会員ですと1万2000マイルを1万8000eクーポンに変更できますが、ダイヤモンド会員の方は2万マイルで4万eクーポンに変更できます。最近ではプレミアム会員の皆様向けにハワイのホノルルチャーター便に優先的に特典航空券を用意するなど、弊社に対しての貢献度が高いお客様に対してのサービスは積極的に展開しています」(小西氏)
敷居を低くしたサービスにも着手
3,000マイルでも特典を交換できる
10月には上級会員が利用できるラウンジが羽田空港内にオープンする。同社では数少ない優良顧客の方のリテンションを如何に高めていくかが課題となっており、「例えば、特別な会員のみが利用できる新しいサービスなども検討していきたいと考えています」と小西氏は構想を語る。
上級会員になればなるほど、同社に対する要望は多くなり、「長年来、ダイヤモンドサービスをご利用いただいている会員様も多くいらっしゃいますので、そういった方々の魅力を失わないサービスを考案していかなければいけません」と戸部氏は語る。
一方で、最近はより敷居を低くしたサービスにも着手した。これまでマイルは1万マイル以上でなければ有効利用できなかったが、3,000マイルで交換できる特典を増やしている。また2009年4月からは家族でマイルを合算できる「ANAカードファミリーマイル」を開始。よりマイルを貯めやすく利用しやすい環境を積極的に整えて、頻繁に飛行機を利用しない会員にも魅力的なプログラム作りを目指している。
ANAでは今後も、積極的なカード発行や特典サービスの提供により、会員サービスの充実を図り、顧客囲い込みを強化する方針だ。