複数の支払いに対応した自動販売機向けマルチ決済端末を日本で提供へ(NAYAX)

2016年7月27日10:01

磁気/接触/非接触のクレジットカード決済、バーコード決済、日本の電子マネーに対応

イスラエルのNAYAX(ナヤックス)は、自動販売機向けマルチ決済端末をグローバルに製造・販売している。主に欧州、北米、アジアでサービスを展開しており、同社の発表によると、ヨーロッパでは35%、イスラエルでは85%のシェアを有しているそうだ。日本でも「NAYAX株式会社」を設立。磁気/接触/非接触のクレジットカード決済、WeChat PaymentやAlipayといったバーコード決済、日本の電子マネーなどに対応した端末を積極的に提供する方針だ。「INBOUND JAPAN 2016(インバウンド・ジャパン)」(主催:日経BP社)への出展で来日したNAYAX Ltd. CEO Yair Nechmad氏に、同社の強みと、日本市場への期待について話を聞いた。

北米、欧州、アジアでサービスを展開
売上屈指の欧州市場に加え、EMV化の移行で北米での成長も期待

――まずは、NAYAX様のグローバルでのサービスの提供範囲について、お聞かせ下さい。
Nechmad:現在、世界50カ国でビジネスを展開しています。主に北米、欧州、アジアの各エリアで展開しており、ビジネスの比率もそれぞれ3分の1となっています。また、ハードウェアはもちろん、通信、金融、在庫管理、アナリティクス(分析)、モバイルウォレットなどをトータルに提供しており、オペレーターは弊社と契約することでさまざまなサービスを行うことが可能です。自動販売機向けマルチ決済端末を提供する他社はハードなどに絞ってビジネスを展開していますが、弊社は総合的な決済ソリューションを提供できるユニークなポジショニングとなっています。

NAYAX Ltd. CEO Yair Nechmad氏
NAYAX Ltd. CEO Yair Nechmad氏

――グローバルにおいての実績、また、特に強いエリアについてはいかがでしょうか?
Nechmad:グローバルでは年間10万以上を出荷しており、毎年40%以上の売り上げ向上が見られます。今年度末は16万台程度の出荷になると想定しています。

自動販売機向けマルチ決済端末として、欧州は№1のシェアを誇り、北米は第3位です。欧州では、スウェーデン、ノルウェー、英国などが強く、ポーランドやイタリア、ドイツなども伸びています。米国は現状、スワイプ(磁気)形式によるカード決済が主流となっていますが、それが接触や非接触のEMVに移行して、支払いがセキュアになることにより、弊社の経験がより生かされ、シェアはさらに高まると思います。

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「Apple Pay」の支払いにも対応

日本の電子マネーにも順次対応予定
Alipay、WeChat Paymentでの支払いも可能に

――日本でビジネスを展開する上での強みについて、お聞かせください。
Nechmad:弊社は、自動販売機向けマルチ決済端末のビジネスを12年以上行っており、ハードウェアの品質は、世界でもっとも良いと自負しています。また、常に製品についての改善を重ねています。

日本にも法人を設立し、信頼したパートナーと共に、この市場での品質を維持するための取り組みを行っています。また、FeliCaの認定(FeliCaのリーダライタRF性能検定におけるMクラスの認定)を取得しており、日本の電子マネーにも順次対応していく予定です。

FeliCaの電子マネーの支払いも可能に
FeliCaの電子マネーの支払いも可能に

日本の金融機関や製造会社は、弊社のテクノロジーを温かく迎えてくれていると感じており、この市場に新たな価値を提供できるのではないかと感じています。弊社のリーダーでは、磁気/非接触のクレジットカード、プリペイド、日本の電子マネー、Alipay、WeChat Paymentなど、1台の小さな端末でさまざまな支払いに対応可能です。

Alipay、WeChat Paymentなどのバーコード決済にも対応
Alipay、WeChat Paymentなどのバーコード決済にも対応

400ユーロ以下での提供を目指す
成長するアジアの市場でも日本は重要に

――日本では、自動販売機向けマルチ決済端末のコストが比較的高いと言われています。
Nechmad:日本市場での提供コストは400ユーロ以下を目指しており、高品質で低価格なものを提供していきたいです。また、日本では20~30%のマーケットシェアを目指しています。今後、アジアの市場はさらに伸びると考えており、中国に加え、台湾、インド、フィリピン、タイ、シンガポール、インドネシアなどで成長が見込めます。日本はその中で成長率の高い、中心的な市場になると考えています。

――今後のグローバルでの目標についてはいかがでしょうか? また、日本にもグローバルなリーダー企業が参入するなど、競争激化が予想されます。
Nechmad:グローバルでの目標としては、飲料水、コインランドリー、コインロッカー、券売機などのすべての自動販売機は3,000万台あると言われていますので、10年間で500万台への搭載を目指したいです。また、競合の存在はマーケット自体が活性化するので素晴らしいことだと感じており、弊社はその上を目指したいですね。

アジアでは中国などに設置されている旧型の端末。NAYAX 代表取締役 松本博司氏によると、在庫管理や現金のモニタリングなどの管理がリモートで行える点も強みとなっているそうだ
アジアでは中国などに設置されている旧型の端末。NAYAX株式会社 代表取締役 松本博司氏によると、在庫管理や現金のモニタリングなどの管理がリモートで行える点も強みとなっているそうだ

独自のウォレットサービス「Monyx」を提供
日本での自動販売機への機器搭載の予定は?

独自のウォレットサービス「Monyx」
独自のウォレットサービス「Monyx」

――独自のウォレットサービス「Monyx」についてはご説明ください。
Nechmad:自動販売機のオペレーターは消費者にリーチする必要がありますが、カード情報等を登録して、お使いいただけます。消費者は使用した自動販売機の情報をリストから選択して、利用できます。このサービスは始まったばかりですが、ヨーロッパでは、すでに10万人ほどのユーザーを有しています。

――日本での今後のサービスの提供予定、今後の意気込みについてお聞かせください。
Nechmad:実際の機器への搭載は、12月末もしくは来年頭になる予定です。日本の市場はとても将来性のあるマーケットです。オペレーター、金融機関、コンシューマにとってベストなソリューションを提供していきたいと考えています。特に弊社の機器を導入いただくことで、オペレーターの方の売上に貢献していきたいですね。

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