国内でも注目を集めるQR決済、「Alipay(支付宝)」「WeChat Pay」の状況は?

2017年2月10日10:25

昨今、インバウンド決済として、スマートフォンにQRコードを表示させて、加盟店のPOSやタブレットなどで決済させる「Alipay(支付宝)」と「WeChat Pay」の導入店舗が徐々に広がっている。3月7日から10日まで開催の「リテールテックJAPAN」でも複数のブースで、両サービスの展示が行われる予定だが、今回は国内の状況について紹介する。

“将来的な成長”や“顧客の利便性向上”を考えて導入

「Alipay(支付宝)」は、ユーザー数は 4.5 億人強、中国国内で200万以上の加盟店で利用可能なサービスだ。海外でもクロスボーダー決済、免税、対面決済などのサービスを、70 以上の国と地域で10万以上の加盟店に導入している。2016年末にフランス・カンヌで開催された「TRUSTECH」でも話題となったように、海外での加盟店も徐々に増えている。Alipay は、O2O プラットフォームとしての役割も果たしており、預金サービス「Yu’ebao(余額宝)」、個人の信用がスコア化される「芝麻信用」、トップ画面から利用者がジャンルを選んで来店すると特典が受けられるO2O サービス「Koubei:口碑」なども展開されている。

東京マリオットホテルでのAlipay決済(リクルートライフスタイル)

一方、テンセント(騰訊控股有限会社)のグループ会社であるテンペイ(財付通)が提供する決済サービスが「WeChat Pay(もしくはWeChat Payment)」だ。中国で月間8.49 億人以上のアクティブユーザーを誇るSNS「WeChat(微信)」のユーザー向け支払いサービスとなり、同国でのトランザクション数は1日5 億回以上と言われる。中国での日常的な利用ではAlipayを上回っているという声も聞かれる。

日本でも両決済サービスは、コンビニエンスストア、百貨店、ディスカウントストア、家電量販店、ホテルなど、多くの店舗に広がっている。たとえば、リクルートライフスタイルでは、個人店でも無料で導入できるPOSレジアプリ「Airレジ」において「Alipay」に対応し、「モバイル決済 for Airレジ」を展開。またWeChat Payはネットスターズやアプラス、ビリングシステム、コイニーなどが加盟店開拓を行っている。

プリペイドカード・ギフトカードの有効化処理で5万店以上の実績があるインコム・ジャパンでもテンペイ(財付通)との業務提携契約を締結し、POSA技術を応用することで、「WeChat Pay」をPOSレジにて対応可能とした。すでにPOSA導入店舗のココカラファイングループとサンドラッググループにおいてサービスが開始されている。

また、日本でも過去の記事で紹介した多慶屋のように、「Alipay」と連携した取り組みで成果を上げているところも出てきている。多慶屋の最新情報は、「カード決済&セキュリティの強化書2017」で紹介しているが、2016 年のW12 では、「Alipay」 のプロモーションで多慶屋の店舗の紹介が行われ、送客に結び付けることができたそうだ。

ただし、多慶屋のようなケースは稀で、「Alipay」や「WeChat Pay」を導入しても売上が期待ほど伸びていない店舗もある。むしろ、決済件数は少ないながらも、“将来的な成長”や“顧客の利便性向上”を考えて導入している企業が多い。銀座などでインバウンドのQR決済を導入している店舗に話を聞いても「1日1~2件ほどの決済」という回答だった。

売上は特定の地域に集中
エクスクルーシブでない契約を求める声も

たとえば、「カード決済&セキュリティの強化書2017」で取り上げたローソンでは、2017年1月24日から、「Alipay」の取り扱いをローソン全店舗(約1万3,000店)で開始。1月24日~2月5日までの13日間の利用状況を集計して発表した。累計利用件数が5万2,000件を超えたと発表されている。数字だけをみると非常によく利用された印象を受けるかもしれないが、1日あたりの平均は4,000件、店舗あたりでは1日0.3件で、平すと決して多いわけではなく、“局地的な売上”だろう。インバウンド需要は全国に広がりを見せており、年々、取扱金額は増えると思われるが、利用は特定の地域に集中していると思われる。

日本で先行してサービスをスタートした銀聯カードも観光客数の多い札幌、東京、大阪、京都、福岡、沖縄、あるいはゴールデンルートで導入が進み、昨今は商店街や個店にも広がっている。加盟店の増加に伴い利用者が増え、それが加盟店数の伸びにつながった。「Alipay」や「WeChat Pay」も同様の流れで利用が進んでいくと思われる。

また、中国人観光客の多くは「Alipay」「WeChat Pay」「銀聯カード」を使い分けており、キャンペーンなどで展開されるクーポンを含め、そのときにお得な決済手段を使うケースが多い。そのため、ある店舗では「如何にインバウンド決済を展開する企業等と連携し、送客してもらう流れを作れるかが大切」と話す。

なお、「Alipay」「WeChat Pay」などを導入している店舗からは契約を一本化したいと言う声も聞かれた。現状、「Alipay」はエクスクルーシブな契約のため、加盟店は2つの決済を1つのアクワイアラとできないのが課題だ。中国では両決済に対応した契約が一般的に行われているため、今後は両決済を同時に導入できる体制が整備されると期待したい。

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