2017年12月11日7:00
未回収リスク保証型後払い決済サービスを展開するネットプロテクションズは、2017年12月7日、記者向け勉強会を開催した。同社では、国内における信用ビジネスおよび今後の取り組みについて紹介した。
今期年間流通総額は2,000億円に
大手企業の6割以上が「NP後払い」を導入
ネットプロテクションズは、後払いによる未回収リスクを100%保証し、一連の決済業務をすべてアウトソースするビジネスを展開している。ネットプロテクションズ 代表取締役 柴田 紳氏は、「昨期で売上88億、営業利益10億円強で、30%成長ですが、今期は売上で115億円はいくと思います。また、成長は加速してきています」と話す。
現在、NP後払いの月間利用ユーザー数は1億人、導入店舗数は2万3,000店舗、今期の年間流通総額は2,000億円の見込みだ。直近だと、ファーストリテイリングのユニクロやGUで採用された。また、ドクターシーラボや大正製薬など、自社で掛け払いを行っていた企業からの切り替えも目立つ。同社が2016年11月に実施した調査によると、大手企業の6割以上がNP後払いを使っているそうだ。
また、NP後払いで培った強みをベースに、BtoC訪問向けの「NP後払い Air」、BtoB向けの「NP掛け払い」、BtoC向けでリアルタイム与信および月の一括払いに対応した「atone」といったサービスも開始している。
多角的に情報を吸い上げて、良いサービスを作る
代理店、不動産・住宅情報サイト、大学との連携を開始
同社では、1億件以上の取引の個人データ、BtoBで100万社以上の企業データを有している。また、利用者層も幅広く、誰が、どこで、何を買ったのか、それがいつ支払われたかというデータを保有している。
ネットプロテクションズ マーケティングマネージャー 秋山恭平氏は、「弊社のコアのバリューを考えたときに、信用を創造しているという結論に至りました」と話す。これまでの信用情報は、銀行や政府、クレジットカード決済などが担保していることが主だったが、近年は人脈、名刺、人の評価、現金での支払い結果などが信用情報として使われるようになってきた。決済データは、稀有制が高く、取得・大量蓄積の難易度が高いとしている。たとえば、中国のAlipayなどのように、ユニークデータを保有しながらも、情報を共有しながら多角的に情報を吸い上げて、良いサービスを作っていく取り組みが注目されているとした。
ネットプロテクションズでは現在、まず大手広告代理店と情報連携し、支払いや購買データを広告の精度向上に活かす研究を進めている。また、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」を運営するLIFULLから、空室情報のデータ提供を受け、不正注文の削減に活かす取り組みを行っている。
さらに、2017年度慶應義塾大学 理工学部数理科学科が主催する学生向けデータ解析コンペティション「データフェスト」に対し、同社が保有する決済データの一部を提供し、解析する素材データとして活用してもらうそうだ。また、コンペティションの審査員には、同社のデータサイエンスメンバーも参加し、学生の成果物を企業の目線で評価するとした。
後払い決済の未回収率は?
商品を確認後、安心して支払えるサービスを意識
今後は、BtoC、BtoB決済で得られた膨大なネットワーク、ユーザー数、取引データ、支払いデータからの派生事業を検討している。柴田氏は、「リコメンド広告の事業、金融系事業、来年から海外進出を始めます」と構想を語った。また、ビジネスの肝となる後払いの未回収率に関しては、「100人に1人以下」(柴田氏)であるとした。
なお、国内では、複数の企業が未回収リスク保証型後払い決済を展開しているが、同社では、若年層などのお金がない人が使えるサービスと言うよりも、「物を見てから、安心して支払えるサービス」(柴田氏)を意識しているという。利用者層は30、40、50代で、7割が女性だ。カタログ通販の利用者の半数以上はコンビニ後払いが主流のため、そういった支払いに慣れた層から支持されている。また、14日間の支払期限を続けているとした。