2018年3月14日8:00
地元スーパー、コンビニでの利用が多く、月間30%前後の稼働率を維持
紀陽銀行はJCBと提携し、2017年2月より「紀陽JCBデビットカード」を発行している。利用者は若者から高齢者まで幅広く、発行枚数は1万枚を超えた。スーパーやコンビニなどで日常的に利用する人が多く、稼働率は月間30%前後を維持している。同行では加盟店開拓などに力を入れて、一層の稼働率向上を図り、地域のキャッシュレス化を推進していく考えだ。
クレジットカードとの両輪で展開
デビットカードのニーズは高い
紀陽銀行ではJCBとの提携により、2017年2月20日から、「紀陽JCBデビットカード」を発行している。この発行枚数が、スタートから約8カ月となる2017年9月時点で、1万枚を超えた。
「紀陽JCBデビットカード」は、同行に普通預金口座を持つ15歳以上(中学生は除く)の個人であれば誰でも申し込むことができ、審査も不要だ。手数料は初年度無料、2年目以降は年間1,080円。ただし、年間のショッピング利用額が10万円以上、毎月の携帯電話利用料金をデビットカード決済にすること、年齢が22歳以下のいずれかの条件を満たせば、2年目以降も年会費は無料となる。JCBカードが利用できる国内外約3,100万カ所のリアル店舗、およびECで利用でき、1,000円の利用ごとにOki Dokiポイントが1ポイント貯まる。
同行では、子会社の紀陽カードを通じて、JCB、Visa、DCの3ブランドで提携クレジットカード「紀陽カード」を発行してきた。現在の会員数は計20万人に上る。しかし中にはクレジットカードを好まない人、持てない人もいるため、デビットカードのニーズが高いと判断し、発行を決定。クレジットカードとデビットカードの両輪で、地域のキャッシュレス化を推進していく方針だ。
若者から高齢者まで幅広い層が利用
当初計画の倍以上で発行が推移
同行では新入学・入社で10~20代の若年層の口座開設が増える時期に合わせて、サービスのスタートを2月20日に設定。新口座開設の際に窓口で「紀陽JCBデビットカード」を案内し、その場で申し込みを受け付けることで、当初から順調に発行枚数を伸ばした。
入会・利用を促進するため、JCBと共同でのキャンペーンも実施。これまで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの入場パスのプレゼント、最大で利用額10%のキャッシュバックなどのキャンペーンを行った。
その効果もあり、新口座開設時の申し込みに限らず、既存顧客からの申し込みも多い。結果として、「紀陽JCBデビットカード」の利用者の年代は、若者から高齢者まで幅広い。男女比では、女性の比率がやや高い。
2017年9月時点で1万枚という発行枚数は、当初計画の倍以上だ。「数を追うよりも、確実に使ってくださるお客様に持っていただきたいと思っています。発行枚数が予想以上に伸びた分、稼働率は当初目標値に届いていないのが現状です」(紀陽銀行 個人営業企画担当 主任 殿垣内正好氏)というものの、月間30%前後をキープしている。
「紀陽JCBデビットカード」はECよりもリアル店舗で多く利用されており、特に地元スーパーやコンビニエンスストアなど日常的な買い物での利用が目立つ。一方、ゴルフ場などでの高額支払いに利用されているケースもある。
日本一稼働率の高いデビットカードを意識
地域の発展につながるサービス提供を
当面の課題は、「紀陽JCBデビットカード」の稼働率の向上だ。「日本一稼働率の高いデビットカードにしたいのです。まずは50%を目標にしています」(殿垣内氏)
そのための施策として、「毎月定期的に利用していただくため、携帯電話料金のデビット決済をお勧めしています。デビットカードと同時申込みが可能です」(個人営業企画担当 大島星衣子氏)。また、JCBや紀陽カードと連携して、地元の加盟店拡大にも力を入れている。
さらに、「紀陽JCBデビットカード」を用いて生活を支援する新たなサービスを開発・展開することも視野に入れている。殿垣内氏は、「例えば、家計簿アプリと連動してデビット決済の明細をスマホの画面で見られるようにしたり、ご高齢者がデビットカードを使うとご家族に通知がいくようにしたりするなどです。地方銀行として、金融サービスを通じ、地域の発展、キャッシュレス化の進展に貢献していきたいと考えています」と構想を語った。