2018年3月16日8:00
福井銀行と福井新聞社が共同で企画し、地方創生を目指して普及に努めている「JURACA(ジュラカ)」は、クレジットカードに、電子マネーの「QUICPay」と「nanaco」、地域サービスなどを搭載した多機能型カード。開始から1年半で会員数は2万3,000人超、「QUICPay」が使える告知店は1,300カ所、優待が受けられる応援店は300カ所と、順調に推移している。
電子マネーや地域サービスを搭載
「JURACA」応援店は約300カ所
福井銀行と福井新聞社は2016年4月から多機能型カード「JURACA(ジュラカ)」を展開している。福井銀行が従来から発行してきたクレジットカード「iicaJCBカード」に、後払いの「QUICPay」と前払いの「nanaco」という2種類の電子マネー機能を搭載。さらに、カードの提示で各種特典が受けられる地域サービスや、スマホやタブレットにかざすだけで「JURACA」公式ホームページなどにアクセスできる「JURACAタッチ」の機能も備えている。
また、「QUICPay」決済額の0.05%相当分が福井県に寄付される仕組みとなっているのも特徴のひとつ。この寄付金を県は地方創生関連事業に充てる。「JURACA」は2017年10月に、県の「ふるさと県民カード」第1号に認定された。
2017年11月末現在で、「JURACA」の発行枚数は2万3,257枚。これは「iicaJCBカード」全体の約8割に相当する。「QUICPay」が使える「JURACA」告知店は1,300店。カード提示で優待が受けられる「JURACA」応援店は、県立恐竜博物館などの公共施設を含めて300カ所となっている。
メディアを通してサービスの浸透を図る
福井県で端末導入の補助金制度をスタート
認知・利用拡大のために、随時キャンペーンを実施。例えば2017年春には、北陸電力と共同で、「JURACA」に加入し、クレジットカードで電気料金を支払うと、キャッシュバックなどの特典を受けられるキャンペーンを行った。
また、地域のショッピングセンターと共同でキッズイベントを開催。子どもたちが販売員やお客様役となり、「JURACA」を使った買い物体験をした。福井銀行 営業支援グループ チャネル戦略チーム 朝倉紘美氏は、「将来のユーザーである子どもたちに利便性を体感してもらおうという、地道な周知活動です」と話す。
福井新聞社 編集局デジタルラボ部長 杉谷貢一氏は、「弊社では、キャンペーン内容を記事で紹介するほか、定期的に広告を掲載しています。また、管轄している福井駅のサイネージの自社広告枠を活用して、CMを流しています」と取り組みを語る。
ほかに販促媒体として、キャンペーン情報や、応援店・告知店案内などを掲載したタブロイド判の「ジュラカ新聞」を作成。福井銀行の営業店やイベント会場で配布している。
周知活動と並行して、応援店、告知店開拓にも力を入れる。「ジュラカ新聞」などで紹介されると集客・販促に結び付くため、「『参加したい』と主体的に手を挙げてくださる店舗が多いです」と福井銀行 営業支援グループ チャネル戦略チーム 松田麻衣子氏は説明する。
とはいえ、店舗にとって決済端末導入のコストは軽くない。そこで県では2017年から小規模事業者向けに、「JURACA」の「QUICPay」決済に対応することを条件に、端末導入の補助金制度をスタートさせている。
コンビニでの電子マネー利用が目立つ
鯖江市で業務用カードとして採用
「JURACA」の“親カード”であるクレジットカード「iicaJCBカード」は、月々の携帯電話の支払いに利用、あるいは、年12万円以上の利用で年会費無料としていることなどから、59%という高い稼働率を誇る。電子マネーの利用率はまだまだこれには及ばないものの、少しずつ上昇している。
中でも好調なのは、セブン-イレブン。「ふるさと県民カード」認定の際に、県内のセブン-イレブン全店の店頭に幟を立ててプロモーションを行ったことで認知が進んだと見られ、「JURACA」の利用率が高い。「nanaco」だけでなく「QUICPay」の利用が目立っている。
また鯖江市では、キャッシュレス社会実現のけん引役としての職員の意識を高めようと、2017年12月より、「JURACA」を業務用カードとして採用。職員証を兼ねられるようにする一方で、庁内の売店や自販機で電子マネーが使えるようにして、利便性を高める。
「電子マネーはクレジットカードと比較して利用単価が低いので、いかにして利用頻度を上げるかが課題です。フィンテック事業者との連携なども図りつつ、非接触技術の便利な使い方を開発・提案して、多くの方に日常的に利用していただけるようにしていきたいと考えています」(福井銀行 チャネル戦略チーム チームリーダー 宮越啓氏)