タイムズ駐車場利用者の利便性向上に向け、ETC決済に取り組む(パーク24)

2018年4月10日8:00

モバイル決済サービス「Times Pay」を周辺の店舗に提供

パーク24は、東日本高速道路が実施する「ETC多目的利用サービスの拡大」に参画するなど、将来的なETC決済の普及に期待を寄せている。また、タイムズ駐車場へのクレジットカードや電子マネー決済の推進、駐車場周辺店舗にモバイル決済サービス「Times Pay(タイムズペイ)」を提供するなど、決済サービスを強化している。

大阪の長堀と桜橋でETC決済が可能
2018年は日比谷駐車場での実験に参画

パーク24は、時間貸駐車場におけるETC車載器を活用した決済サービスの将来的な普及を見据え、2003年にタイムズ駐車場においてDSRC(狭域通信システム:Dedicated Short Range Communications)を活用した決済実験を行った。その後、ETC車載器IDの民間開放を受け、2007年に長堀駐車場(大阪市中央区)においてETC車載器を利用した決済サービスを本格導入。現在では桜橋駐車場(大阪市北区)でもETC決済が可能だ。

2018 年の日比谷駐車場での実験の様子

2018年1月22日からは、東日本高速道路が実施する「ETC多目的利用サービスの拡大」に向けた、ネットワーク型ETC技術を活用した試行運用に参画している。実験に先立ち、タイムズクラブ会員で、有効なE-NEXCO PassイオンカードまたはE-NEXCO PassニコスカードによるETCカード保持者を対象にモニターを募った。

2013年6月14日に閣議決定された『世界最先端IT国家創造宣言について』の中において示された「駐車場等、高速道路以外の施設でもETC等のITS技術が利用可能とする環境を整備し、利便性の向上を図る」という方針に基づき、国土交通省の指導の下、東日本高速道路は「ETC多目的利用サービスの利用拡大」に向けて検討を進めてきた。その結果、セキュリティが確保された安全なシステム運用の目途がついてきたことから、技術面・運用面の検証のため、ネットワーク型ETC技術を活用した試行運用を駐車場で行うにあたり、同社は駐車場の運用管理事業者として参画することとなったとしている。

日比谷駐車場では、2010年に国土技術政策総合研究所(国総研)がITSスポットを利用した次世代道路サービスの研究を実施している。当時はカード会社提供のテストカードを用いて実験を行ったが、今回はモニター自身のETCカードを使用しているのが異なる点となる。

通常、駐車場では入庫時にチケットを受け取り、それを出口に設置した精算機に入れることで精算処理が行われるが、運転手はETCクレジットカードを車載器に入れるだけで自動的に精算が可能だ。

混雑時の駐車場の渋滞緩和も可能に
普及による運営側のメリットも大きい

2010年の実験時、国総研の担当者も決済処理時間の短縮を今後の課題として挙げていたが、「決済のスピードに関しては、車がゲート前に止まれば3秒ほどでゲートが開くレベルになっています。お客様からしてみると精算が早くなる、駐車券を取る必要がないといったメリットがあり、イベント開催時などでの混雑時の駐車場の渋滞が緩和されると感じています」とパーク24広報担当は説明する。

パーク24では、ETC決済と駐車場は親和性が高いと考えている。例えば、左ハンドルやハンディキャップを持っている人に関しては便利な機能となる。今後は、自治体や商業施設から導入が進んでいくのではないかとみている。

運営側のメリットも大きい。例えば、駐車券は消耗品のため、補充が必要なる。また、雨の日だとお札が詰まるといったトラブルがあるが、ETC決済であればそういった心配もなくなり、将来的に普及が進めば運営の効率化につながるとみている。

現在、同社が大阪で実施しているサービスの利用については、ETC車載器管理番号等の事前登録が必須だが、同試行の実用段階においてはETC車載器管理番号の事前登録は不要となる見込みだ。課題としては、ITSスポットの路側アンテナの設置コストが高い点となるが、導入に弾みが付けば、将来的にコストは下がると期待している。また、駐車場での採用が増えてくれば、駐車場間でのスタンプラリーなど、これまでできなかった取り組みも実現できるとした。

※パーク24が設置しているアンテナは、情報をカーナビに配信する機能は備えていない路線アンテナとなる。

駐車場と決済は親和性が高い
電子マネーはマルチ決済対応を強化

パーク24では、駐車場と決済は親和性が高いと考えており、他社に先駆け、キャッシュレス化への取り組みを強化してきた。クレジットカード決済はすべての駐車場で対応。また、電子マネー対応は楽天Edyや交通系電子マネーにいち早く対応してきたが、近年は一台の端末で複数マネーへの対応が可能なマルチリーダーの設置を進めている。

2016年9月からは、タイムズ駐車場の周辺店舗の集客/ビジネスをサポートする事業の一環として、モバイル決済サービス「Times Pay(タイムズペイ)」の提供を開始。現在は6つの国際ブランドに対応したクレジットカード決済が可能だ。低コストで導入・運用が可能なことに加え、決済場所を選ばないため、タイムズ駐車場の周辺に展開している飲食店や小売店などを中心に約1,400店舗で利用されている。パーク24広報担当は、「駐車場だけではなく、目的地も含めて、タイムズのネットワークを構築するのが目的となり、まずは2万店を目指していきたいです」と意気込みを見せた。

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