2018年4月24日8:00
JR九州(九州旅客鉄道)は、これまで、「インターネット列車予約」、クレジットカード「JQ CARD」、IC乗車券「SUGOCA」のそれぞれで付与してきたポイントを統合し、「JRキューポ」として再編成。ユーザーにより多くのサービスの利用を促し、LTV(ライフ・タイム・バリュー)の最大化を図る。半年間で13万5,000人の既存ユーザーが「おまとめ登録」を完了。ポイント交換率は40~50%向上するなど成果を生んでいる。
一本化で貯まりやすいポイントに
ポイントは共通ポイントへの交換も可能
JR九州(九州旅客鉄道)は、2017年7月7日より、それまで事業部ごとに運用してきた3つのポイントサービスを統合した、「JRキューポ(ジェイアールキューポ)」サービスをスタートさせた。
3つのポイントとは、①「インターネット列車予約」の「eレールポイント」、②クレジットカード「JQ CARD」の「JQポイント」、③IC乗車券「SUGOCA」の「SUGOCAポイント」。
ポイントを統合することで、「なかなか景品と交換できるまでポイントが貯まらない」というユーザーの不満を解消。また、これまでばらばらだった景品も一律化し、ユーザーにとってわかりやすく、利用しやすいポイントプログラムに再編成した。
貯まったポイントは、SUGOCAにチャージできるほか、JR九州の駅ビル「アミュプラザ」で使える「アミュショッピングチケット」、JR九州旅行券、JCBギフトカード、PontaやTポイントといった共通ポイントなどと交換できる。現状、ポイントの交換先として人気が高いのは、SUGOCAへのチャージと「アミュショッピングチケット」で、それぞれ同じぐらいの比率を占めている。
半年間で13万7,000人が登録を完了
「JQ CARD」会員の20%が登録
これまでそれぞれに貯めてきたポイントを合算するには、ユーザー自身が、JR九州Web会員サービスの会員情報に「JQ CARD」「記名式SUGOCA(SUGOCA定期券含む)」のカード番号を入力して、「おまとめ登録」を行う必要がある。
ポイント統合直前の会員数は、「インターネット列車予約」が約122万人、「JQ CARD」が約54万人、「SUGOCA(記名式)」が約105万人。単純合計で約281万人であった。
「JRキューポ」がスタートしてから半年強が経過した2018年1月末現在で、「おまとめ登録」を行った会員は約13万7,000人で、「毎月コンスタントに増えています」とJR九州 総合企画本部 グループマーケティング室 室長 相良周平氏は話す。サービススタート後に「インターネット列車予約」を利用したユーザーの30%、「JQ CARD」会員の20%が登録を済ませている。
多くの会員は、サービス利用時に、併せて「おまとめ登録」を行っている。出張などで頻繁にサービスを利用しているユーザーも多い一方で、年末年始や夏季など年1回決まった時期に旅行をする際にサービスを利用するユーザーも多いため、「既存ユーザーすべてが『おまとめ登録』を完了するまでは1~2年かかるものと見ています」と副室長 矢野進剛氏は分析する。
キャンペーンやスマホアプリを活用
ポイント交換率は開始前より増加
「JRキューポ」が目指しているのは、ユーザーのLTVの最大化。多くのサービスを利用しているユーザーほど利用金額が高いことがわかっており、「例えば2つのサービスを利用しているユーザーに、3つ目のサービス利用を促すことがグループの利用促進に繋がります」と相良氏は期待する。ポイントの統合は、そのための施策である。
同社ではサービスのスタートに当たって、「おまとめ登録」をすると抽選で1,000万ポイントをプレゼントするキャンペーンを展開。テレビCMや交通媒体を使って告知した。これに続き、「インターネット列車予約」と駅ビル「アミュプラザ」の両方を利用するとプレゼントが当たるキャンペーンや、登録したICカードで自販機で飲料を買うと10ポイントをプレゼントするキャンペーンなどを実施し、サービスの利用促進に努めている。
「JR九州アプリ」内でもポイントの確認・景品交換などができるようにした。ダウンロード数は順調に伸びている。LINEやFacebookの公式アカウントもあり、将来的にはこれらを連動させたPR施策などを展開していきたい考えだ。
今後は、CRM展開も見据える。すでにマーケティングオートメーション(MA)やビジネスインテリジェンス(BI)ツールとの連携は準備が整いつつあるそうだ。
「JRキューポ」の成果を測る指標の1つが、ポイント交換率だ。矢野氏は、「サービス開始後の2017年7~12月の交換率は、開始前の4~6月に比べ、40~50%向上しています」と成果を口にする。SUGOCA電子マネーへの交換比率も高く、グループ内の買い回り促進に効果が出ているものと、同社は評価している。