2010年10月5日12:15
「地域で囲い込め!ICカードのポイント・販促活用に迫る」~国立市商工会(1)
Suica、PASMOを利用したポイントサービスを実施
将来的には国立市民7万人を超える参加を目指す
国立市商工会は2009年1月から、Suica、PASMOを利用した新システム「くにたちポイント」を開始した。旧カードである「くにたちカード」同様に、買い物金額に応じたポイント加算、ポイント利用による買い物ができるほか、エコポイントサービスの実施、高齢者会員の購買履歴確認による安全・安心機能の提供などを行っている。
ポイントはセンター側のサーバで管理
貯めたポイントは直ちに利用可能
国立市商工会では1997年10月から券面表示機能が付いた接触ICカード「くにたちカード」を導入。現金やクレジットカードを利用した買い物でポイントが貯まるほか、牛乳パックの持参などでポイントを付与するエコポイントを導入し、登録会員9万人、201加盟店を数えていた。
しかし、2006年に入り、旧ポイントの端末機やシステムが廃止されることになり、新システムについて検討する「くにたちカードReスタート事業」が発足した。
検討会では、①交通系ICカードを使用したポイントシステムの採用、②従来から行っていたエコポイントシステムの検討、③交通系ICカードを使用した電子マネー決済の導入、④カードの購買履歴を利用したマーケティングやプロモーションへの活用、⑤クレジットカードの包括加盟店契約、という5つの議論が行われた。
商工会では上記の内容をもとに各事業者のシステムを総合的に判断した結果、シナジーメディアのポイントシステムを採用し、2009年1月22日から新システム「くにたちポイント」の運用を開始した。
新システムでは交通系ICカードのSuicaやPASMO、あるいはおサイフケータイを専用のリーダライタにかざすことでポイントを付与している。ICカードの読み取りはFeliCaカードのIDmを使用し、ポイント情報はセンター側のサーバで保管する。そのため、カードやおサイフケータイのチップにはポイント情報が書き込まれることはない。各加盟店と商工会を結ぶ回線はインターネット回線(光回線・CATV回線・ADSL回線)を利用している。
「旧カード時代はカード券面に付与ポイントと累計ポイントの表示機能がありました。そのため、新システムでもリアルタイムに獲得したポイントと累計ポイントを表示することが求められていました。くにたちポイントでは、レシートへの記載と端末機(本体・カードタッチ部分)のディスプレイ部分にリアルタイムなポイント情報を表示しています」(国立市商工会 事務局長 猪俣貴昭氏)
新カードは旧カードの内容をほぼそのまま継承
電子マネーやクレジット決済の導入は見送る
新カードは旧カードの内容をほぼそのまま継承した。旧カードホルダーは、移行手続きを行えば、新カードでもそのままポイントが引き継がれる。また、新規登録の際は、加盟店のレシート端末から登録用紙が出力される仕組みを採用した。
ポイント付与も旧カード同様に、加盟店で100円利用すると1ポイントが加算され、1ポイント1円として買い物に使用できる。また、貯まったポイントをチケットなどと交換することも可能だ。
商工会では旧カード時代から、毎月第3木曜日に牛乳パック5枚を持参すると1ポイント付与する「エコポイント」を実施してきたが、その機能も新カードに引き継がれた。
ただ、旧カードでは有効期限を設けてはいなかったが、新カードではポイント発行から2年後の3月31日までの期限を設定した。失効ポイントについては、失効4カ月前から加盟店で買い物をした際にレシートに表示して案内する。
なお、Suica/PASMOのカードに関しては利用者自身が用意するのが原則だ。商工会によると、国立市民の約8割が交通系ICカードを保有しており、近隣の市町村にくらべてカードの携帯率が高いという。 なお、当初はSuica/PASMO、クレジットカードの決済も同時に採用する計画だったが、「電子マネー端末のコストやクレジットカードの包括加盟店契約時の手数料、接続回線の条件などを考えた結果、初期での導入は見送りました」と猪俣氏は説明する。
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