決済サービス「ペイパル」に、ユーザーの“支払い”“受け取り”の利便性を向上する新機能を追加

2018年6月27日7:30

ペイパル口座に連携させた銀行口座からの支払いが可能に
個人口座への支払いの受け取りも、より簡単に

PayPal Pte.Ltd.(本社:シンガポール、ペイパル)は、決済サービス「ペイパル」に、従来のクレジットカードの支払いに加えて、銀行口座から支払いができる機能を付加する。ペイパル口座に銀行口座を連携させることで、クレジットカードを持たないユーザーも銀行口座の振替機能を使用してペイパルを利用することが可能になる。また、C2Cビジネスの普及などに対応し、個人事業主である個人ユーザーがペイパル口座で簡単に支払いを受け取れるよう、機能を拡充する。ペイパル東京支店は、6月25日にヒルトン東京(東京・新宿)にて、これら新機能について説明する記者発表会を開催した。

ユーザーの裾野が広がるペイパル
多様なニーズに応え機能を拡張

ペイパルは世界中の人々が公平に金融サービスを享受できる“金融サービスの民主化”をミッションに、1998年に設立。現在では200以上の国と地域で、100通貨以上での決済、56通貨での銀行口座への入金、25通貨での支払いの受け取りが可能なネット決済サービスとなり、過去1年間に1回以上利用したアクティブユーザー数は2億3,700万人。2017年度には全世界で約78億件の取引を決済し、うち27億件はモバイル決済となっている。日本においてもサービスの認知拡大とともに、マーチャント(売り手=加盟店)数、コンシューマー(買い手=ユーザー)数とも堅調な伸びを示している。

ペイパルの現状について説明する、ペイパル日本支店 カントリーマネージャー 曽根崇氏

ペイパルは日本において、カバレッジ(マーチャント数の拡大)、シェア(マーチャントの総決済に占めるペイパル決済比率の向上)、ファンクショナリティ(機能の拡張)の3つの軸で拡大戦略を推進している。これまでカバレッジを重点課題としてきたが、2018年後半からはファンクショナリティに力を入れる方針だ。

今回の新機能の追加は、ユーザーの支払いと受け取り、両面に及ぶ。受け取りの面では、昨今のソーシャルメディアを介したシェアリングエコノミーの普及や、ECの多様化により企業が個人宛てに支払いをする機会が増えたことに着目してサービス開発を行った。

銀行口座からの支払いを可能に
クレジットカードを使わない層の取り込みを図る

支払い機能については、これまでのクレジットカードによるオンライン決済に加えて、ペイパル口座に連携させた銀行口座からの支払いが可能になる。銀行口座の振替機能を使い、リアルタイムで決済を行う。

ペイパルの新機能のひとつ、銀行口座登録機能について説明する、ペイパル日本支店 ディレクター ラージ・マーチャント統括 兼 ビジネス・オペレーション 瓶子昌泰氏

6月25日現在で、対応予定の銀行は、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、ゆうちょ銀行の6行。既存ユーザーには7月から順次、新サービスの告知をして銀行口座の登録を促し、8月末までに全ユーザーに対するサービスの周知を図ることとしている。

PayPalを導入しているマーチャントは、追加手数料不要でこの口座振替機能を利用できる。若年層を中心としたクレジットカードを保有していない層、クレジットカードを持っていても使いたくない層に新たにリーチできることから、マーチャントのメリットは大きい。

新機能発表会では、マーチャント2社が登壇し、ペイパルの新機能への期待を語った。

ランニングポータルサイトを運営し、関連グッズのECも展開するアールビーズには、かつてクレジットカードを利用できない、利用したくないユーザーのニーズに応えるため自社で銀行口座引き落としサービスを実施していたが、未回収リスクが高いためにサービスを打ち切った経験がある。そのため、未回収リスクを負わずにユーザーに利便性を提供できるペイパルの新機能に大いに期待を寄せている。

株式会社アールビーズ(RUNNET) 企画開発部 ディレクター 生駒佑人氏

イベント集客、チケット販売支援のPeatixも、ペイパルの銀行口座振替を導入する。Peatixは入金を確認した後、アプリやメールでチケットを届ける仕組みだが、クレジットカードや現金系(コンビニ、ATM払い)では1時間ほどのタイムラグが生じることもしばしば。ユーザーに不安を与えることも多かった。リアルタイム決済の銀行口座振替の導入によって、ユーザーの不安を解消できると期待している。

Peatix Japan株式会社 共同創業者/代表取締役 岩井直文氏

ペイアウト機能を刷新
企業から個人口座への支払いをスムーズに

一方、企業からの支払いの受け取りに関する新機能として、個人ユーザーはペイパル口座で1回当たり10万円までの支払いを、簡単に受け取れるようになる。また、対応する銀行口座とオンライン連携することで本人確認を行い、1回当たり100万円までの支払いの受け取りや銀行口座への引き出しが可能になる。

ペイアウト機能について説明する、ペイパル日本支店 事業開発部長 野田陽介氏

支払う側の企業は、PayPalアカウント(メールアドレス)と金額のみを指定すればよく、口座情報の管理は不要。手数料も通常の振込手数料より安価に抑えることができる。先方への振込通知はPayPalより自動で行われる。

これは、従来、企業向けに提供していたペイアウト機能(支払い機能)をより使いやすくすることで、実現したサービスだ。ペイアウトとは、ファイルアップロードやAPIを用い、複数アカウントへ一括で支払いができるサービス。複数のユーザーに異なる金額を一括で支払いたい場合に便利だ。国内はもちろん、海外にも一括支払いが可能で、支払いは即時に完了する。企業が負担する支払い1件当たりの手数料は支払額の2%。ただし、国内の場合は最大120円、海外の場合は最大5,000円となっている。

個人事業主をサポートするサービスが充実
幅広い層に対して利用促進を図る

近年、C2Cビジネスの普及や、クラウドソーシングなど働き方の多様化により、個人事業主が増加。ペイパルではペイアウトのほかにも、個人事業主をサポートする機能を充実させている。

個人事業主向けサービスについて説明する、ペイパル日本支店 ディレクター SMBセグメント統括 兼ストラテジー 白石高志氏

初期費用、月額手数料0円、プログラミングスキル不要の請求書ツールもそのひとつ。簡単に請求書の作成、カスタマイズを行うことができ、支払い状況を一覧で確認できるなど請求書の管理ツールとしても便利に使える。

また、ソーシャルメディア上などでの商取引の決済・請求業務をサポートするPayPal.me(ペイパルミー)というサービスがある。簡単な操作で決済サイトへのリンクを作成し、eメール、SMS、FacebookやインスタグラムなどのSNSでシェア。支払う側は、モバイルに最適化された画面から簡単に支払い手続きを行うことができるというものだ。個人事業主は、PayPal.meのマイアカウントにログインし、自分専用のURLを作成。そのURLを、eメールやSNSに張り付けて送るという手順になる。

ペイパル日本支店では今後も、あまねく企業、個人ユーザーにメリットを与えるサービスを開発・提供し、より幅広い層に利用を促していきたいとしている。

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