2018年12月20日8:00
シンガポールのJewel Paymentech(ジュエル・ペイメンテック)は、加盟店登録審査時のKYC(Know Your Customer:顧客の確認)や不正検知システムを提供するベンチャー企業だ。ビジネスの強みについて、「Singapore FinTech Festival2018」において、ビジネス・ディベロップメント・ディレクター Koh Poh Keong氏に話を聞いた。なお、同社は、決済処理事業者のGMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)の連結会社であるGMO PAYMENT GATEWAY PTE. LTD.(シンガポール)がリードインベスターとなっている。
加盟店登録審査時のKYCを迅速に実施
不正な商品など加盟店の商材をモニタリング
Jewel Paymentechは、2014年に設立された金融リスクテクノロジー企業だ。シンガポールを拠点にASEAN諸国で事業を展開。同社は、アジアで最も有望なFinTech企業の1つとしてSWIFTに選定された実績もある。加盟店登録審査時のKYC、ECにおける出品商品・取引のモニタリング、決済の不正検知をワンストップで提供しており、東南アジアの銀行、EC加盟店などで導入が進んでいる。Koh Poh Keong氏は、「東南アジアで、加盟店審査から商品のモニタリング、決済取引の不正まで一気通貫で、トータルに行っている企業はほかにはありません」と強みを口にする。
ソリューションとしては、主に3つを展開。まず、「Capture」は、AIを活用することで、EC事業者のクレジットカードの加盟店登録審査時のKYCを迅速に行うことができるサービスだ。通常の加盟店登録審査時の場合、大量の書類確認が発生するため一カ月ほどの時間を有するが、それを自動化することで、最短2日に短縮できるそうだ。
審査に通った加盟店には、ウェブサイトをモニタリングすることが可能な「One Sentry」を提供する。これにより、偽物の商品、販売を禁止している商品などを販売しているサイトを識別でき、「合法的にビジネスが行われているかをモニタリング可能です」とKoh Poh Keong氏は話す。また、サイトを分析することで、チャージバックリスクの高いサイトを判別することができる。
加盟店単位の不正の監視が可能な「Fraud Wall」
リアルタイムで取引をモニタリング
さらに、ルールやスコアリング、加盟店単位の不正の監視が可能な「Fraud Wall」を提供している。これは、加盟店のWebサイトなどでの取引をモニタリングし、不正な取引を防止するもの。また、リスクの高い加盟店の場合、ルールを厳しくすることで、不正な取引が行われないよう、トランザクションを厳しくすることも可能だ。同社独自のAIモデルでは、トランザクションについての数百のデータポイントをリアルタイムで分析し、詐欺を示すパターンを特定することができる。加盟店は、仮に不正な取引が増えると、国際ブランドからペナルティが科せられるが、それを減らすことができたという評価をもらっているそうだ。
シンガポールとマレーシアでサービスを展開
将来は日本での展開に期待
同社では現在、シンガポールとマレーシアでビジネスを展開。また、インドネシアについての準備も進めている。また、ユーザーには、ネットショッピングサイトの「Qoo10( キューテン)」などが名を連ねている。さらに、グローバルロジスティクスを展開するDHLとも連携しており、ビジネスの広がりに期待している。
Koh Poh Keong氏は、「AIを活用することにより、さらに正確なデータを取得することで、より強いソリューションプロバイダを目指していきたいです」と意気込みをみせる。さらに現在は東南アジアを中心にビジネスを展開しているが、GMO PAYMENT GATEWAY PTE. LTD.がリードインベスターとなっており、GMOペイメントゲートウェイは日本屈指の決済処理事業者であるため、「将来的には、日本市場でも展開できればいいですね」と同氏は語った。
※取材は「Singapore Fintech Festival2018」のJewel Paymentechブースにて。