三井物産の新規事業、健康応援共通ポイント「ウェルちょ」が2月15日より広島で実証実験を開始

2019年2月12日8:00

三井物産は、日本アイ・ビー・エム、フィノバレーなどと共同で、健康を応援する共通ポイントシステム事業「ウェルネス貯金(愛称:ウェルちょ)」を開始する。食品などのメーカーと消費者をダイレクトにつなぎ、消費者の反応を商品開発に生かして、ウェルネス(健康維持の取り組み)の推進をバックアップしようという新しい試み。2月15日から3カ月間、広島で実証実験を行い、年内の全国展開を目指す。

左から、三井物産 マーチャンダイジング第二部長 渡邉孝雄氏、日本アイ・ビー・エム インダストリー・ソリューションズ事業開発 ブロックチェーン・ソリューションズ事業部長 高田充康氏、フィノバレー プロダクト開発グループ長 渡邉大翼氏、三井物産 マーチャンダイジング第二部 食品営業室 兼 グルーヴァース株式会社 社長 福島大地氏

日々の消費を将来の不安解消につなげる――
メーカーと消費者をダイレクトに結ぶことによってウェルネスを推進するポイントシステム

三井物産は、リテール・サービスを成長分野の1つに位置付け、新たな収益の柱として確立することを目指している。そこで力を入れているのが、消費者接点の拡充による、消費者ニーズ・嗜好の把握。これらの情報を商品・サービスの企画・開発、マーケティング機能強化に生かすことによって、社会から求められる事業の構築を推進している。

社会に今、強く求められているウェルネス(健康維持)というテーマに沿って開発された「ウェルネス貯金(以下、ウェルちょ)」も、この事業構築の一環である。三井物産が、商品やサービスを開発する企業とそれを使う消費者とを直接つなぐD2C(Direct to Consumer)プラットフォームを構築。ここに、このコンセプトに賛同して、自らの事業を通じて日本社会のウェルネスに貢献したいと考える企業が集結。企業は、消費者との直接のコミュニケーションから得られる情報を、商品・サービス開発に生かすことができる。「ウェルちょ」が目指しているのは、消費者にとって日々の消費が将来の不安解消につながる仕組みづくり。言い換えれば、企業と消費者が共創してウェルネスを推進する仕組みづくりである。

「ウェルちょ」は、“ウェルネス応援隊”から送られた“エール”を“ウェルネスステーション”で利用できる仕組み

「ウェルちょ」はポイントシステムであるのだが、汎用性やお得感を最重視する共通ポイントシステムとはコンセプトも運用方針も大きく異なるため、あえて“ポイント”や“加盟店”といった呼称を使用しないことにしている。“ポイント”に代わる呼称は、ウェルネスを応援するという意味合いを込めた“エール”。その“エール”を発行する、商品およびサービス開発・提供事業者は、“ウェルネス応援隊”。 “エール”を使用できる店舗や施設は、“ウェルネスステーション”と呼ばれる。

“ウェルネス応援隊”には、食品・飲料、健康食品、日用衛生用品、介護用品などのメーカーや、フィットネスクラブ、エンターテインメント提供事業者、健康プログラムをラインナップしている自治体などが想定されている。“ウェルネスステーション”としては、薬局をはじめ、マッサージや整体、鍼灸、フィットネスなどの健康関連サービスなどを想定。さらに病院での治療費にも“エール”を充当できるよう、調整を進めているところだ。

消費者が「ウェルちょ」を利用するためには、まず、スマートフォンにアプリをダウンロード。「ウェルちょ」対象商品に付いているQRコードをアプリで読み取って“エール”を貯めるといったように、自身のアプリ操作によって、“エール”を貯めたり使ったり、“ウェルネス応援隊”に意見を届けたりすることができる。

ウェルちょの仕組みと流れ

専門分野に秀でたパートナーと組んでウェルネスに照準を絞った特徴的なサービスを提供

「ウェルちょ」の最も大きな特徴は、ウェルネスに照準を絞っていること。といっても、対象商品をトクホや機能性食品などに限っているわけではなく、古くから日本人の健康を支えてきた海藻や納豆などの伝統食品なども射程に収める。また逆に、“ウェルネス応援隊”や“ウェルネスステーション”にドラッグストアが名を連ねることは歓迎しても、そこで扱われている酒類などの、必ずしもウェルネスに貢献しない商品は、対象商品から外したい考えだ。

小売業が原資を受け持ち、その代償として購買データを入手して販促に活用する従来の共通ポイントとは異なり、「ウェルちょ」は、“ウェルネス応援隊”がQRコード発行手数料を支払い、アプリでQRコードを読み込むといった消費者の行動・反応データを収集して、ウェルネスを促進する商品・サービスの開発に役立てるというビジネスモデル。消費者および“ウェルネスステーション”には、各種手数料は発生しない。

ほかに、共通ポイントと比較して挙げられる特徴として、“エール”は個人間での交換が自由。それぞれが持っている“エール”をまとめて、家族の介護支援に充てたり、寄付したりすることもできる。

「ウェルちょ」のシステム開発・運用は、三井物産100%出資関係会社、グルーヴァースが担当。システム運用には、日本アイ・ビー・エムのブロックチェーン技術を採用。また、岐阜県高山市の「さるぼぼコイン」や千葉県木更津市の「アクアコイン」などの電子地域通貨事業を展開するフィノバレーと組み、各地域に根差したビジネス展開を促進している。

ウェルちょの関係図

2019年2月より、広島で実証実験を開始
応援隊17社30アイテム、ステーション28店舗が参加

「ウェルちょ」は本格展開に向けて、2月15日より3カ月間、広島県で実証実験をスタートする。“ウェルネス応援隊”として参加するのは、食品メーカー17社、30アイテム。“エールステーション”としては、28店舗の参加が決まっている。

この結果を検証しつつ、大都市圏からサービス展開を進めていき、年内には全国規模でのサービスインを目指したい考えだ。アプリを利用する消費者数は、3年間で1,500万人を見込んでいる。

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