2019年12月18日7:00
東芝テックとNTTコミュニケーションズ( NTT Com)は、画像認識型無人レジシステムの運用自動化に向けた実証実験を、東芝テックの関係会社であるティー・ティー・ビジネスサービスが運営する「オーバルコート大崎マークイースト事業所内売店」で、2019年11月29日~2020年1月31日まで行っている。
高い認識精度を誇る「アングルフリー物体検索技術」を活用
東芝テックでは、2019年夏から、マイクロマーケットにおける店舗運営を省人化・無人化するため、スマートフォンレジ、タブレットによるセルフレジ、画像センサーや重量センサーを活用したAIレジの実験を順次行ってきた。これに加え、 NTT Comと連携して、日本電信電話が研究開発した「アングルフリー物体検索技術」を用いた画像認識型無人レジシステムの実証実験を行っている。
アングルフリー物体検索技術は、立体物を、アングル(撮影角度)によらず高精度に認識できる技術だという。たとえば、認識対象が折れ曲がっていたり、歪んでいても認識しやすい技術であるという。
同実験では、来店した東芝テックの社員がカメラのついた商品棚に商品を置き、カメラで商品を撮影して識別する。その読み取り結果からJANコードを抽出し、二次元コード化してモニターに表示。社員は二次元コードをスマートフォンで読み取ると、一括でレジ登録される仕組みだ。従来のセルフレジの運用である、商品1つ1つの「バーコードを探す」、「バーコードをスキャンする」といった操作がなくなるため、「POSと画像認識技術を組み合わせて、ストレスフリーな買い物ができます。コンビニなどのセルフレジとしての利用を想定しています」と東芝テック リテール・ソリューション事業本部 商品・マーケティング統括部 量販店ソリューション商品部 主任 伊藤幹生氏は話す。商品棚は開発中のものだが、商品は最大5つまで置くことを推奨している。会計は予め紐づけられた従業員番号により、給与から引き落とされる。
利用者が購入時に撮影した商品画像を活用
今回の実験では、300アイテム程の商品を事前に登録。仮に商品画像の登録が事前になく、レジで認識できなかった場合は、利用者が手動でバーコードをスキャンすることにより、画像情報と商品情報をひもづけることができるのが特徴だ。これにより、次回以降の利用者は、当該商品が画像として認識できるようになる。
「今までの画像認識型システムの技術に比べて、予め登録しておく枚数が少なくて済みます。仮に商品の表の画像しかなかった場合でも、エンドユーザーに裏の画像を登録していただくことで、データベースは更新されていきます。実サービスとして展開するときは検討は必要ですが、クラウド上に画像エンジン、データベース、JANコードのデータベースを持っており、サーバの負荷はそれほどかかっていません。商品のアップロードはモバイル通信を利用しており、仮に荒い画像でも認識は可能です」(NTT Com 第五営業本部 第一営業部門 営業担当課長代理 渡邉康英氏)
コンビニのセルフレジの延長等としての利用を見込む
東芝テックとNTT Comでは、2020年1月末までの実験結果をもとに、商用化に向けた検討を行う。「消費者の使い勝手を考えると、20個などを棚に置くというよりは、コンビニエンスストアなどのように、数点を素早く購入されるシチュエーションが適していると思います」と伊藤氏は語った。東芝テックはセブン-イレブン、ファミリーマートなどの大手コンビニにセルフレジを導入しており、その延長線上の製品としての展開を見据えている。同氏によるとリリース後の反響は多く、流通関係者の視察も複数あるとした。