2020年1月27日8:00
NTTドコモは、2020年1月23日、24日に、東京ビッグサイトにおいて、プライベートイベント「DOCOMO Open House 2020」を開催した。同イベントでは、NTTドコモとソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ(以下、ソニー)がスマートフォンをかざさなくても決済などを行える「おサイフケータイのタッチレス対応」のデモを実施した。
かざす必要なく支払いや認証が可能
NTTドコモでは、2004年から世界に先駆け、モバイルペイメント等のサービスを提供する「おサイフケータイ」を商用化している。一方、ソニーでは、非接触ICカード技術 FeliCaにより、かざすだけでスピーディな支払いを提供している。
「DOCOMO Open House 2020」で実施した実証実験では、従来のスマートフォンを“かざす”利用方法に加え、離れた位置から支払いや認証が利用可能だ。同サービスでは、UWB(Ultra-Wide Band)に加え、従来からスマートフォンに搭載されているBluetoothの無線通信規格を組み合わせたという。
店舗のレジをイメージしたブースでは、レジから離れたまま支払いが可能になる。スマートフォンには3,000円の金額がチャージされていたが、利用者はレジから1メートル40cm離れた指定の位置に立ち、2秒すると利用者の位置を特定し、支払いが行われ、金額が引き落とされる。
また、認証分野では、デジタルキーでの車の開錠/施錠のデモも実施。スマートフォンの操作を行うと、ドアの開錠・施錠が可能だ。
さらに、ドライブスルーのデモでは、車を停止すると、アプリを利用してファストフードのオーダー、支払いが行える。ドライブスルーではクーポンの配信も実施。加えて、デジタルサイネージからの広告・クーポンの情報配信も可能だ。
UWBは、数センチなど、高精度な位置の測定ができることが特徴だ。タッチレスで重要なポイントとなる利用者の特定に向け、スマートフォンと店舗端末との距離や角度を測定して、解析する技術を用いている。UWBでは、近距離に加え、数十メートル離れた位置でも認識ができる。また、他の無線機器と周波数が重なっても利用可能だという。
UWB技術を活用、商用化には課題も
今回のサービスでは、Androidのスマートフォンに外付けのUWBデバイスを装着しているNXPセミコンダクターズのUWBソリューションを採用。すでに同ソリューションは自動車メーカーなどでの導入実績があるというが、モバイルペイメントでの活用は初となる。今後はより小型化され、Android端末への搭載が実現することが前提となる。また、今回は初の実験となったため、利用者によっては決済できないケースも見受けられた。さらに、遠距離での認証となるため、レジの縦列時には他の利用者を認識してしまうといったことが起きる可能性も否定できない。商用化時には、そういった課題の解決が求められるとした。
なお、ソニーやNXPセミコンダクターズでは、「FiRaコンソーシアム」において、UWB技術を活用し、新たなユースケースの創出、シームレスなユーザー・エクスペリエンス実現への標準策定を目指している。「FiRaコンソーシアム」は、UWBの技術仕様の策定、互換性のあるUWBエコシステム構築に向けた活動を行っている。なお、現段階では、FeliCaも含むNFC(Near Field Communication)とUWBの連携はないという。
ソニーでは、スマートフォンを活用したデジタルキーを紹介。スマートフォンのFeliCa技術方式を活用し、デジタルキーをアクティベートして使用する。利用者はカードに加え、手持ちのスマートフォンをデジタルキーとして活用できる。また、スマートフォンをマスターキーとしてクラウド連携で鍵情報シェア・管理可能だ。
そのほか、電子マネーに対応した指紋認証機能付きFeliCaデバイスを開発し、展示していた。