2020年6月3日8:00
Kyashはこのほど、ウォレットアプリ「Kyash」において、進化した次世代のプリペイド式Visaカード「Kyash Card」の提供を開始した。ICチップや非接触決済(Visaタッチ決済)機能を搭載したVisaカードとして、表側にカード番号がないプリペイドカードは日本で初となるそうだ。Kyashサービスの現状や次世代カード発行の経緯について、同社に説明してもらった。
Kyashアプリは日常の買い物で利用される
2020年4月からのApple Pay対応開始
――まずは、Kyashアプリの利用状況からお聞かせください。
Kyash:Kyash Cardの発行やApple Pay対応などもあり、2020年3月以降もユーザー数は順調に伸びています。20代後半から30代のユーザーが中心で、決済単価は2,300円程度、ECサイト、コンビニやスーパーなどの日常のお買い物にご利用いただいています。
決済額、ユーザー数共に大幅な伸びを見せると共に、機能拡充についても対応してまいりました。
2018年6月 | リアルカード(現Kyash Card Lite)提供開始 |
2018年10月 | Google Pay対応 |
2018年10月 | セブン銀行ATMからチャージ可能に |
2019年4月 | Visaカード発行ライセンス取得 |
2019年7月 | シリーズBラウンド 15億円調達 |
2019年10月 | Kyash ポイント提供開始 |
2019年10月 | Kyash Direct サービス提供開始 |
2020年2月 | Kyash Card申込開始、カード設定機能追加 |
2020年3月 | シリーズCラウンド 47億円調達 |
2020年4月 | Apple Pay対応 |
――物理カードと、モバイル決済サービス「QUICPay」との利用率の違いからご説明ください。また、2020年4月からのApple Pay対応により、アプリ利用拡大にはどの程度つながると考えますか?
Kyash:Kyash Visaカードによる決済がメインとなりますが、2018年10月にGoogle Payの対応を開始し、この2020年4月にApple Payを開始したことにより、今ではコンビニ決済の半数近くまでQUICPayをご利用いただくまでに伸びています。
Apple Pay対応は、iPhoneユーザーでApple Payに登録できるカードを保有していないユーザーにとっては朗報だと思います。また、KyashにVisaかMastercardのデビットカードを登録している場合でも、Apple Payを利用できるため、デビットカードでApple Payが使えるという新たな決済手段を提供することができました。今後もKyashを通じてのApple Payユーザーは増加していくと考えています。
次世代のKyash Cardでチャレンジャーバンクの足掛かりに
セキュリティ・利便性の向上、機能の拡充がカギに
――2月25日から、ICチップや非接触決済(Visaのタッチ決済)機能を搭載したVisaカードとして、表側にカード番号がないプリペイドカードとして、次世代のカード「Kyash Card」の申し込みを開始されました。その理由をお聞かせください。
Kyash:チャレンジャーバンク*への足掛かりです。2017年4月に簡単にサービスインできる仕様を重視して、メールアドレスと電話番号のみでバーチャル上にカードを発行できるアプリをローンチしました。その後、2018年6月にリアルカード(現Kyash Card Lite)の提供を開始し、多くのユーザーに知って使っていただけるサービスへと成長しました。
今後Kyashがチャレンジャーバンクとして成長していくにあたり、セキュリティ・利便性の向上、機能の拡充が求められます。日本では、幅広い金融サービスを提供するには、個人情報の取得が必須となります。Kyash Cardでは個人情報をユーザーから提供いただくことで、今後より幅広いサービスを提供することが可能となります。
*チャレンジャーバンクとは モバイル上でデジタルファーストなアカウントを提供しているFintech企業を指す。銀行業ないし各業務に関連するライセンスを取得した上で、自社で新しいバンキング体験を提供。
機能性が高いカードとしてKyash Cardを提供
カード番号がないデザインは好意的な反応を得る
――新カードをこれまで発行された旧カードとどう差別化するのでしょうか。また、次世代Kyash Card申し込み開始後の反響はいかがですか?
Kyash:より気軽にエントリーできるサービスとして、Kyash Card Virtual、Kyash Card Liteを提供していきます。より機能性が高いカードとしてKyash Cardを提供します。ユーザーのライフスタイルに応じて、ご利用いただけたらと思います。
次世代のKyash Cardは、Twitterでも日本においての上位にランクインするなど非常に多くの好意的な反応をいただきました。
――EMVコンタクトレス決済についての期待はございますか。
Kyash:この状況下において、非接触の決済はより求められてくると考えられます。すでにApple PayやGoogle Payは提供していますが、カードでも非接触決済が可能となるなどユーザーのライフスタイルに応じた支払い手段が選べるようになり、利便性と満足度は向上すると期待しています。
――次世代のKyash Cardは券面にカード番号がございませんが、利用者の反応、加盟店からの反響などはございますでしょうか?
Kyash:SNSでの投稿も多い昨今においては、カード番号を表面に表示させるということはセキュリティ上課題が多く存在します。カードはどうあるべきかという根本的な課題からデザインを検討し、且つKyashのブランドを重視し、今回のデザインに辿りつきました。利用者からは好意的な反応を多くいただいております。
加盟店からは特に反応は伺っていませんが、ICチップを搭載し、Visaのタッチ決済も対応していることから、従来のサインが必要となるケースはなくなるので、スムーズな決済に貢献できているのではないかと考えています。
5月からの還元率変更はリアルタイム性を重視
稼働率アップ、送金サービスの展開は? 大型資金調達も実施
――Kyashカードは、メディア等で高還元カードとして注目されましたが、2020年5月から還元率を変更された理由についてお聞かせください。
Kyash:リアルタイム性を重視し、Kyash残高へのキャッシュバック2%からKyashポイント1%へ変更しました。
その月に利用した決済金額の2%を翌月末にKyash残高へ直接付与(キャッシュバック)ですと、タイムラグがあり、気づかないうちに使ってしまい付与されている実感を感じていただけていないことが課題でした。そこで、決済後のなるべく早いタイミングにポイントを付与することで、リアルタイム性とポイントが貯まっているという実感を持っていただくことができました。
2%還元の次の段階として、1%還元は引き続き継続させるものの、機能や利便性を追求し、そこに魅力を感じていただけるユーザーへの訴求を強化していきたいと考えています。
――今後の稼働率アップに向けてのお取り組みについては考えていますか?
Kyash:機能開発や広告出稿、キャンペーン、ユーザーイベントの開催などさまざまな取り組みを通じて、稼働率を向上させていきたいと考えています。
――送金サービスとしての今後の展開はいかがでしょうか。
Kyash:まずは決済機能をコア機能としてユーザーにご利用いただき、同僚・友人間のお金のやりとりにも役立ててもらえればと思います。すでに一部報酬や売上金の受け取りでKyashを利用できるようになっていますが、個人間の送金だけでなく、行政や企業から個人への送金についてもさらに広げていきたいと考えています。
――最後に、シリーズCラウンドで欧米ベンチャーキャピタルから 約47億という大型資金調達を行われましたが、今後のKyash様としての展開がございましたらお答えいただければ幸いです。
Kyash:決済・送金にとどまらず、チャレンジャーバンクとしてモバイルファーストで、ユーザーにとって利便性の高いサービスを提供していくことを目指します。また、セキュリティ面をより一層強化していきます。