2022年3月23日8:00
KAERUは、認知機能に不安のある高齢者向けの買い物アシストサービスの提供を開始する。アプリとMastercardのブランドプリペイドカードを活用し、あらかじめ指定された金額を毎日プリペイドカードに自動チャージ。利用者はそのカードを使って、釣り銭の計算に悩まされることなく、キャッシュレスで買い物できる。買い忘れを防止する買い物メモ機能や、必要に応じて家族などと情報を共有できるパートナー機能も利用可能。チャージ額が限られているので買い過ぎの心配がなく、万一カードを紛失しても、アプリの操作で利用を停止できるので安心だという。KAERUはアプリとカードを無料で提供、オプションサービスの月額利用料を徴収するビジネスモデルでサービス展開を図る。
顕在化している課題に解決策を提示
高齢者の自立をサポートする「KAERU」
フィンテック/エイジテックのスタートアップ企業、KAERUは、スマホアプリとMastercardのブランドプリペイドカードを活用した買い物アシストサービスの本格提供を、2月末より開始する。アプリは、KAERUが2021年9月にリリースしたアシスタントアプリに、Mastercardプリペイドカードのアシスタントプリカ機能を実装、さらにペイメント機能などを付加したものだ。
「KAERU」は、キャッシュレス化の恩恵を受けきれていない高齢者、中でも課題が顕在化している認知症患者、あるいは、認知機能に不安を感じている人たちをターゲットとしたサービスだ。KAERU 代表取締役CEOの岡田知拓氏は「買い物は社会にとって重要な経済活動であり、人にとっては貴重な社会との接点です。適切なサポートさえあれば自分で買い物ができる高齢者から、その機会を奪ってしまうのはもったいないと思うのです」と熱弁する。
サービス開発にあたり、同社では150人以上の認知症当事者およびその家族や介護者に、日常の買い物の困りごとについて、ヒアリングを実施した。買い忘れが多い、同じものを何度も買ってしまう、すぐにお釣りの計算ができない、1円玉と100円玉の区別がつきにくい、たびたび財布をなくす…などなど、「KAERU」には、そこで聞かれた課題に応える工夫が詰め込まれている。
日々の安心決済を支える機能が充実
アプリを通じてパートナーとも連携
「KAERUカード」には、利用者の「KAERU」専用バーチャル口座(おさいふ残高)から毎日、あらかじめ設定金額が自動チャージされる仕組みで、持ち過ぎや使い過ぎの心配がないという。
「KAERUカード」を紛失してしまった場合は、「KAERUアプリ」からワンタッチでカードの使用を停止することができる。使用再開の手続きも同様にワンタッチで完了する。「KAERUカード」を再発行した場合も、元の残高はそのまま継続して利用できる。
また「KAERUアプリ」には、買い忘れや不要な買い物の防止に役立つお買物メモ機能が搭載されている。
さらに「KAERU」には、オプションで利用できるパートナー連携機能が付いている。パートナーとして設定された家族や介護者が、利用者が許可した権限に応じて情報を共有しながら、残高チャージやカード停止などの各種操作や手続きをサポートしたり代行したりできる機能だ。決済以外の場面でも、たとえば迷子のアシストとして、利用者の位置情報を共有したりすることが可能になっている。
同社では、アプリとカードは利用者に無料で提供し、パートナー連携や位置情報通知、紛失時自動利用停止などのオプションサービスの利用料を、月額で利用者のバーチャル口座(おさいふ残高)から徴収するというビジネスモデルで、収益を確保していく方針だ。行政や地銀などとアライアンス体制を組んで、高齢者が集まる施設や関連サイトなどで、利用者本人、あるいはその家族に対してサービス利用を呼び掛けていく。今後は、プロセッサーの開発が済めば、タッチ決済や異形状などの機能も提供していきたい考えだ。
カード決済&リテールサービスの強化書2022より