2023年2月28日0:15
フライトシステムコンサルティングは、日本初のサービスを相次いで本格的に展開する。市販のAndroid携帯を使って、カードのタッチ決済を実現する国内初のサービス「Tapion(タピオン)」を今春、本格的にサービスインさせる。東京都内の加盟店でパイロット運用をスタートしているほか、自社決済センターを構築した。(決済・金融・流通サービスの強化書2023【PR】)
国内初のサービス!
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「新しい市場を開拓し、
デファクトスタンダードを目指す」
フライトシステムコンサルティングの代表取締役社長である片山圭一朗氏は「当社は2010年9月、iPhoneでのクレジットカード決済ソリューションを日本で初めて市場投入しました。また、2013年からは、自社決済端末『Incredist(インクレディスト)』シリーズの販売を開始するなど、スマートフォンやタブレット決済のリーディングカンパニーとして電子決済ビジネスを展開しています。日本初のサービスを世に出し、普及させていくには苦労が多いですが、やりがいもあります。TapionやmyVerifistの新サービスについても、日本のデファクトスタンダードを目指していきたいです」と2つの新サービスの本格展開に込めた思いを述べた。
Androidでタッチ決済を実現するTapionは、最新の「Tap to Phone」技術を使いAndroid端末にアプリケーション「Tapion」を入れることで、NFC決済ができる新たな決済サービスだ。Tap to Phoneは、市販のAndroidスマートフォンまたはタブレットを、追加的なハードウェアなしに、タッチ決済用の決済端末として利用できる。すでに、欧州、中東、アフリカ、アジア太平洋、南米の数多くの国々で稼働している。クレジットカード業界のセキュリティ標準化団体「PCI SSC」でTap to Phone向けのセキュリティ要件が定義されている。Appleも、米国でTap to Phoneのサービスを発表しており、世界的にTap to Phoneが広がる様相を示している。
Tapionでは、少額決済をスマートに、そして、非接触でクリーンな決済を実現し、中小規模事業者のビジネスを支援するのが狙いだ。カフェやカジュアルレストランのほか、キッチンカーや屋台、朝市、さらにオフィスや家庭への訪問販売、移動販売の店舗ビジネスなどをターゲットに、場所を問わずに決済ができる機動力を活かして、カードのタッチ決済という新しい決済の選択肢を提供する。
Tapionアプリをインストールするだけで、市販のAndroidスマートフォンやタブレットが決済端末として使える仕組み。ニューノーマルの時代に合ったサインレス・暗証番号(PIN)レスで、シンプルにタッチするだけのクリーンな非接触カード決済を実現する。また、メニューや売上の管理のPOS機能も充実している。直感的でシンプルなデザインのTapion加盟店ポータルでは、写真付きのメニュー作成から、売上管理や分析なども行える。QRコードの読み取りでレシートのペーパーレスも実現する。レシートを印刷する必要も、レシートプリンタを準備する必要もなく、決済が完了したら、QRコードを表示して、買い物客のスマートフォンで読み取ってもらうことで、レシートが表示できる仕組みだ。もちろん、紙のレシートが必要なケースに備えて、プリンタに接続することもできる。さらに、持ち運びが便利なAndroidスマートフォンだからこそ、万が一のセキュリティ対策も万全を期している。デジタル証明書による有効化・無効化管理や、決済場所を特定して使用できる機能(オプション)もあり、安心な決済環境を提供する。
パイロット運用で商用化に備える
店舗と本部の分析機能も強みに
すでに、Tapionのパイロット運用は、2022年末から、都内の3つの加盟店で行った。最初の店舗はロールアイスクリームファクトリーの渋谷・TOHOシネタワー店。同店はこれまで、現金決済とQRコード決済での対応だったが、インバウンド需要の回復に伴い、タッチ決済のニーズが増えると見込み、パイロット運用に参加した。店舗に既設のPOSレジと併用する形で「Tapionスタンダードバージョン」での運用を実施している。
2店舗目は白金台プラチナ通りで生花店を営む「rhythm(リズム)」で、POS機能を持つ「Tapionプラチナバージョン」を活用しタッチ決済を行っている。事前にTapion加盟店ポータルサイト上で「切り花・ブーケ・小物販売」など多岐にわたる商品の商品登録・変更を行い、各カテゴリーに分類することで、Androidの操作性はそのままに、会計時にスムーズに処理をすることが可能だ。また、Tapion加盟店ポータルサイト上で行った変更は、その場でAndroid端末のTapionアプリで確認することができ、常に最新の登録内容でPOS機能を利用できる。
3店舗目は「ばくだん焼」を展開している「ばくだん焼本舗」池袋本店で、「Tapionプラチナバージョン」によるタッチ決済を行っている。従来は、現金決済とQRコード決済で対応していたが、キャラクターとのコラボ企画などによって客単価が上昇し、クレジットカード決済の導入要望が強まっていたという。
片山氏は「現場の店員さんはAndroid端末の決済画面で、また、事務所ではマネジャーの方がパソコン上で加盟店ポータル画面を閲覧し、本日の売上や売れ筋商品、商品ごとの売上など店舗経営の分析をすることが可能になります。3店舗のパイロット運用のノウハウに加え、第二次パイロット運用先として、さらに複数店舗を追加し、使い勝手や機能面をさらにブラッシュアップしていきます」と話す。
自社決済センターで高セキュリティ実現
「CAFIS GlobalGEAR」に接続
フライトシステムコンサルティングは、Tapionのサービスインに備え、同社独自で新たに決済センターを構築した。株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(NTTデータ)の拡張性が高い決済伝送サービス「CAFIS GlobalGEAR」に接続して、各カード会社との処理を行う。パイロット運用している加盟店の決済では、すでにこの決済センターを活用している。Tapionで実装されているTap to Phoneでは、決済ごとのセキュリティ監査など、新たなセキュリティ要件への対応が必要になる。「従来の国内決済センターでは、必要要件を満たすセンターが存在しないため、自社で専用決済センターを構築することになった」(片山氏)という。
自社決済センターの構築によって、Tapion向けに安心・安全な決済環境を提供するだけではなく、決済データを自社で保有するため加盟店との精算業務もより効率化する。また、Tapionサービス拡大を見据え、決済センター自体の拡張性も自社でコントロールできるようになり、今後広がりを見せるキャッシュレス社会の拡大にシームレスで柔軟に対応できるようになる。自社決済センターは、Tapionに向けた高度なセキュリティ要件を実装している一方で、新たな決済ソリューションへ向けての応用も視野に入れ、汎用性・拡張性のあるセンターとして構築している。今後、決済センターも含め、フライトシステムコンサルティングがトータルで運用することで、キャッシュレス社会の更なる広がりを推進していく。
安心・安全な決済拡大へ
Android端末の認定制度「Tapion検定」を策定
Tapionでは、タッチ決済を高額な決済専用端末ではなく、市販のAndroid携帯で実現する点が従来の決済サービスとは大きく異なっている。一方で、市販品を利用するにあたり、タッチ決済時のNFC感度については、Android携帯ベンダーにより大きく異なっているのも現状である。そこでフライトシステムコンサルティングでは、Tapionに対応するAndroid携帯を選定する独自の認定制度として、「Tapion検定」を策定し、Tapionによる安全性の高い決済を実現するAndroid端末の拡大に乗り出している。片山氏は「中小規模の店舗経営では、決済専用端末の導入にコストをかけることに抵抗感が根強くあります。Tapionは、市販のAndroid端末を使用できるため、キャッシュレス決済導入のハードルを下げることができます」と話す。
ただ、デジタルデバイス同士の非接触決済に比べ、プラスチックカードとAndroid端末の場合、NFCの感度により、タッチ決済時の反応が異なり、一部の感度の悪い端末では決済できない事態が起きる可能性があるという。このようなAndroid端末の機種に依存したトラブルを未然に回避し、Tapionでタッチ決済ができる環境づくりのため、Tapionで利用できるAndroid端末の選定を事前に行う制度を独自に策定した。この「Tapion検定」の独自基準については、Android端末ベンダーの協力を得て、フライトシステムコンサルティングと同社指定検定機関であるFime Japanと共同で仕様を策定した。また、検定はFime Japanで実施する。検定に合格したAndroid端末はTapionサービスに機種登録され、合格端末のみでTapionアプリが動作する仕組みになっている。
Tapionに参加するスマートフォンベンダーなどは、Fime Japanで2種類の試験を受け、検定機関からの報告書を提出する。具体的には、アナログ領域における整合性試験として、国際的なNFC標準化団体「NFC Forum」が規定する試験とクレジットカードブランド各社の合弁団体EMVCoが規定する「EMV COTS Early Adopter Program」のいずれかを受験する。インターオペラビリティー(互換性)試験として、日本国内で発行されているさまざまなタイプのNFCカードと同等の複数のテストカードを用い、Fime Japan策定「スマートフォン(Android)reader機能試験基準V2.0」に沿った試験を受ける。
Tapionの推奨Android端末として、選定されたTapion検定認定合格機種については、Tapion公式WEBサイト(https://www.tapion.net/)に開示している。これまでに、ソニーの3機種(Xperia10 IV、Xperia10 III、Xperia ACE III)や京セラの3機種(あんしんスマホ KY-51B、TORQUE 5G KYG01、Android One S9)、GoogleのPixel 4a (5G)が認定取得機種になっている。
片山氏は「今後も、さまざまなAndroid携帯を評価していく予定です。さらに、当社のTapion検定だけでなく、クレジットの業界団体でも検定制度を設けてもらえるように、関係機関と協議を続けています。認定機種をタブレットにも広げてもらいたいので、Android端末ベンダーにも協力を呼びかけています。Appleが日本でTap to Phoneを展開するチャンスがあれば、当社も絡んでいきたいです」と話している。
■お問い合わせ先
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