2023年7月5日8:00
三菱UFJニコスは、法人・ビジネスカードの戦略を強化している。中でも法人カードをベースにして、自由に番号を発番可能な機能を備える非対面取引専用のパーチェシングカードの成長が著しい。同社では、Mastercardと連携して、全国の自治体に対し、パーチェシングカードの導入提案を実施。今年5月には、和歌山県とMastercardによる和歌山県庁での調達・支出プロセスの最適化・高度化を目指す実証実験に、紀陽銀行、紀陽カードディーシーとともに三菱UFJニコスもカードプログラム導入のパートナーとして参加し、実証実験に向けた検討を行っている。
「三菱UFJカード パーチェシング」は前年比1.7倍成長
利用目的にあったコントロールをWebで設定可能
三菱UFJニコスが提供するBtoB決済には、大規模・中堅事業者向けのコーポレートカード、中小規模事業者向けのビジネスカード、非対面取引専用のパーチェシングカードTOMOWEL Payment Service が展開するMastercardプリペイドカード「Bizプリカ」などがある。
決済マーケット全体が成長する中、未開拓領域の多い法人経費周りは特に伸びしろが大きいとみている。インボイス制度や電子帳簿保存法など、DX(デジタルトランスフォーメーション)のうねりがあり、企業の業務効率化を図る動きがある。また、2025~2026年は約束手形が廃止されることが決まっており、法人経費の支払いは振り込みや口座振替があるなかで、手型や小切手の電子化の流れもあるため、よりデジタル化の流れが加速していくと思われる。
三菱UFJニコスの法人ビジネスは成長しているが、中でも「三菱UFJカード パーチェシング」が伸びている。三菱UFJニコス 法人事業企画第2部 イシュイング企画グループ 次長 三輪大輔氏は「22年度のパーチェシングカードの取扱高は前年比1.7倍伸びています。また、パーチェシングカードをベースに、企業が自由に番号を発番でき、その番号ごとにコントロールが柔軟にできる三菱UFJカード バーチャルのニーズも高まっています。中小規模事業者の取り引きにおけるキャッシュレス比率は、仕入れや販管費なども含めると1%もないと推測され、成長の余地は十分にあります。そうした中で当社は、MUFGの基盤を最大限活用しているのが大きいです」と説明する。WebでのSaaSや広告利用が伸び、コロナ禍が落ち着きを見せつつあることで航空券やホテルなど、出張経費の支払いも回復しているため、収益に貢献している。
「三菱UFJカード バーチャル」の強みは、Mastercardが提供する「In Control for Commercial Payments(インコントロール・フォー・コマーシャル・ペイメント)」を活用した非対面取引専用バーチャルカード番号(以下、VCN)を導入した点だ。「三菱UFJカード バーチャル」では、取引可能金額(取引1回当たり)、利用回数、有効期間、利用時間帯、利用地域・国を、VCNごとに事前設定し、パーチェシングカードに紐付く子カードとして発行できる。大手・中堅の企業が主なターゲットだが、管理者によりコントロールをかけたVCNを部署や予算単位、プロジェクト単位で発行し、従業員に配布可能なため、使い勝手が良いという。
1,000自治体に小冊子を配布
パーチェシングカードで業務全体のプロセス合理化
三菱UFJニコスでは、全国39社のフランチャイジーの協力のもと、「三菱UFJカード パーチェシング」の自治体向けの営業を強化している。自治体のニーズとして、「ふるさと納税の広告に活用したい」「観光のPRをしたいがSNS(交流サイト)で広告を打ちたい」といった要望があった。その際に、「三菱UFJカード パーチェシング」「三菱UFJカード バーチャル」を活用することで、自治体はより幅広い利用が見込めるそうだ。
三菱UFJニコスとMastercardは、サービスの認知を図るため、全国の自治体には、法人カードやパーチェシングカード、VCNによる会計業務の効率化などを紹介した「地方公共団体の会計業務のアップデートのトリセツ」(以下、トリセツ)を配布した。三輪氏は「Mastercardとの話し合いの中で、自治体の潜在的な利用のニーズが出てきました。調達や支払いについての要望が出てくる中で、より認知を広めるため、“トリセツ”をMastercardと共同で作り、1,000自治体をターゲットに配布を行いました」と説明する。
トリセツでは、パーチェシングカードの自治体での使い道を紹介した内容を配布した。紙での請求業務を簡素化することが目的となるが、「業務全体を考えると全工程の効率化になりませんので、最終的には業務全体のプロセスをどう合理化するかという中で、支払い手段として最適なソリューションの1つとしてパーチェシングカードがあることを目指しています。まずは和歌山県での実証実験で、課題を見える化し、最適解を見出すことが目的となります」と三輪氏は話す。
自治体における調達・支出プロセスの最適化・高度化を目指す
新たなソリューションの展開も視野に
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