2023年9月9日15:23
大日本印刷(DNP)は、本社がある東京・市谷地区のDNP市谷加賀町第3ビル内の「ナチュラルローソンDNP加賀町アトリウム店」で、2023年9月4日~11月30日に、顔認証を活用した決済サービスの実証実験を実施している。
DNPが提供する新しい認証サービスの1つである顔認証決済に関して、小売業界やサービス業界における有用性と利用者の受容性などを評価・検証する(DNPの従業員専用の店舗)。
店舗での販売員等の人手不足や、コロナ禍でクローズアップされた感染防止の観点などから、生活者自身が決済するセルフレジや無人店舗のニーズが高まっている。一方で、現状のセルフレジ等の仕組みでは、年齢制限などがある特定の商品の販売時に対象者を確認できないといった課題があった。
こうした課題の解決に向けてDNPは、自身の顔写真を一度登録するだけで複数のサービスを利用できる認証の仕組みや、本人確認・年齢確認の機能を持つ顔認証決済サービスの検討を進めている。その取り組みの一環として今回、小売店への導入に向けた実証実験を行う。DNPは同サービスを促進することで、小売業・サービス業の店舗での非対面決済と無人化・省人化の実現につなげるという。
社員は、専用の登録アプリで事前に顔写真を撮影・登録する。対象のコンビニエンスストアのレジに導入した顔認証対応の端末を用いて商品を購入できる。料金の支払いは社員証決済と連動しており、社員証決済が可能なDNPグループ社員は、誰でも利用することが可能だ。
顔の特徴をもとに個人の判別を行って認証。決済時に、カードや現金、スマートフォン用アプリなどは不要だ。また、パスワード入力などの動作も必要ないため、利用者がパスワードを忘れたり入力を間違えたりすることもないそうだ。
なお、DNPは、顔写真を登録するWebサイトの構築、顔写真を含む個人情報の保管、顔認証アプリの開発、店頭什器の制作など、顔写真データの登録から利用・保管まで一貫して行う。また、システムのデザインや店舗内の空間デザインなど、リアルとデジタルを掛け合わせた総合的なユーザーインターフェースの提供を行うという。
また、DNPは、生活者が利用する口座開設アプリや本人認証アプリなど、アプリの開発・運用の実績を持っており、生活者がアプリを利用する際の最初のハードルとなる情報登録に関する課題の分析も進めている。今回、そうしたノウハウを活かして、利用者ができるだけ簡潔かつ直観的に顔認証決済を行えるようにアプリを設計している。また、社員情報を使ったシングルサインオンによってスムーズに本人認証を行うとともに、支払い方法を社員証決済に連動することで、安全・安心かつシームレスな顔認証決済を実現したという。
なお、DNPの社員証決済と連動することで、顔認証のシステム開発を効率化し、短期間での店舗導入フローを構築している。。また、店舗スタッフの作業やマニュアルの追加などが発生しないよう運用負荷を軽減し、システム運用リスクも最小限に抑えた。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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