2024年5月22日11:05
Sansanは、2024年5月21日に記者説明会を開催し、インボイス管理サービス「Bill One」をアップデートする予定であると発表した。同社では住信SBIネット銀行と連携し、デジタル金融サービス「Bill One Bank」を活用した「Bill One 発行」を提供する。これにより、請求書の作成・発行に加え、請求書発行後における入金消込業務の自動化、仕訳データの自動作成が可能となる。また、同社発行の「Bill Oneビジネスカード」を利用して、従業員が経費支払時に発生する明細突合や証憑提出の督促を自動化する「Bill One経費」を提供予定だ。
ARR68億円、契約社数2,600社
Bill One「Model 4」に進化
Sansan 代表取締役社長/CEO/CPO 寺田親弘氏は「BillOneのモデル4への進化をお話できること大変嬉しく思っております。本日BillOneはですね、サービスリリース以来、一番大きいといっても過言ではない大きなアップデートを発表します」と自信を見せた。
Sansanのミッションは「出会いからイノベーションを生み出す」だ。同ミッションのもと、DXサービス「Sansan」を始め、働き方を変えるDXサービスを展開している。インボイス管理サービス「BillOne」は2020年にリリースした。「BillOne」の構想は2018年にさかのぼり、新規事業として開発・検証を繰り返し、サービスを構築した。最初の「BillOne」ができたのは2019年6月頃だ。当時は紙の請求書を経理担当者自身がスキャンすると、請求書の支払いに必要な項目をデータ化するというシンプルなものだった。社内では、この初期の「BillOne」をモデル1と呼んでいる。
モデル2には2019年10月頃にアップデートしたが、経理担当者ではなく、直接取引先から請求書を受け取る現場担当者がスキャンをする仕組みを考案した。仕分けの機能も追加して、業務の負担を軽減できるようにした。
2020年5月に完成したのがモデル3となる現在の「BillOne」であり、データ化された状態で請求書情報を確認可能だ。名刺管理で培ったスキルに加え、データ化のノウハウを活用し、正確にそして迅速にデータ化をする細かなアップデートを繰り返したそうだ。モデル3では、インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応している。
「Bill One」は、リリースから4年弱で契約者数2,600社、MRR(月次経常収益)は68億4,400万円となった。寺田氏は「生産性向上、働き方の変化に対応できるサービスとして多くの企業にご活用いただいています」と成果を述べる。また、SaaSの理想的な成長モデルと言われるT2Dがあるが、ARR(年間固定収入)はそれを超える成長速度を見せている。寺田氏は「SaaSビジネスで最速の立ち上がりだと捉えています」と強調した。総請求金額は年間に直すと35兆円まで到達しており、1年前の記者説明会では16兆円だったが、倍以上に伸びているそうだ。
「BillOne」が掲げるメッセージは「請求書受領から、 月次決算を加速する」だ。請求書の受領業務をデジタル化して、経理担当者がより本質的な業務に向き合えるとともに、経営の意思決定スピードを向上させることを目指してきた。一方、経理が関わる業務というのは請求書の受領以外にもたくさんある。より広範囲業務をカバーして、さらに月次決算の加速に貢献できるサービスへとアップデートさせるために開発したのが「Model 4」だ。
請求書受領、発行、経費精算に拡大
入金専用のバーチャル口座発行「Bill One Bank」
これまで「請求書受領」を主としていた「Bill One」は「請求書受領」「請求書発行」「経費精算」の3つに拡大する。「Bill One」が請求書発行の領域に拡大する理由は、経理業務、月次決算において解決できていない大きな課題に取り組むためだとした。取引先に対して請求書を発行する業務、それを効率化することはもちろん重要だ。一方で、請求書発行というその後工程として発生する請求書の金額と、取引先から銀行に入金された金額が合っているかを帳簿に記録する入金消し込み業務が存在する。その中には手数料を差し引いて送る企業、2つの請求書の金額を合算して送る企業もある。例えば、事業部が請求書を発行し、それに応じた消込業務を経理で行うなど、業務が分かれているケースもある。Sansan 執行役員/Bill One 事業部 事業部長 大西勝也氏は「実際、約7割の経理担当者が「入金消込」に課題を抱えています」と述べる。また、この課題は請求情報と入金情報が分断されているために発生するものと考えた。寺田氏は「これらを一つのプロセスの業務として捉え、定義し直すこと、入金消し込み発行者双方の業務課題を同時に解決するというソリューションに至っています」と開発の経緯を述べる。
同社では、銀行代理業の認可を取得し、入金専用のバーチャル口座を発行できる「Bill One Bank」の提供を開始し、入金消込業務を一気通貫させ、さらに仕訳データの自動作成も可能にさせるそうだ。同サービスはインターネットバンクの住信SBIネット銀行と連携して実現。消し込みができる請求書DXサービスは他にもあるそうだが、「銀行代理業の許可を取得し、銀行機能をサービスの中に組み込んでいるというのは、『BillOne』だけになります。請求書作成から入金消し込みまでのほとんどの作業を自動化できます」と大西氏は自信を見せる。
具体的に、企業は口座を開設することで、取引先ごとに専用のバーチャル口座を付与することができる。企業は売り上げが確定したら、「BillOne」上で請求書を作成。請求書には、取引先単位で設定されているバーチャル口座の情報が振り込み先情報として自動で反映される。取引先に対して請求書を送付後、請求した分の金額が顧客から入金されると請求情報と入金情報を自動で紐付け、金額が合っているかが表示される。取引先ごとにバーチャル口座が決まっているため、その入金がどの請求分なのかが自動で特定され、消し込みが実施される。例えば、複数部門の請求が合算入金された場合でも、口座と請求先データを紐付けて、入金先を自動で特定できる。なお、「Bill One」上で仕訳を作成できるようにアップデートしていく予定だ。
法人カード活用で証憑をカードの利用明細と自動照合
交通データ連携視野に、住信SBI連携やカード発行成果
もう1つの新サービスが「Bill One経費」だ。経費精算領域には数多くのプレイヤーが存在しており、日々効率化が図られている。「Bill One経費」により、「立替経費に関する業務をなくしていきたい。ゼロにしていきたいと思っています」と寺田氏は意気込む。立替経費は、本来会社が負担すべき経費を、従業員が一時的に立て替えた場合の経費のことだ。同社の調査によると、立替経費は1社当たり月1,500件も発生している。例えば、営業日が20日間だとすると、1日75件、この後業務が発生している。その課題解決に向けて、「1年前に提供開始した法人カードビジネスカード(Bill Oneビジネスカード)を活用し、新たに経費精算サービスを提供することを決めました」と寺田氏は述べる。
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