2012年7月24日8:20
藤田浩二氏監修 【保存版】
レスポンス・デザインの法則 AIDA×ヒトのクセと欲望
序 論: 日本のダイレクトマーケティング その足跡と資産
1961 年にレスター・ワンダー マン氏によって名付けられた 「ダイレクトマーケティング」。 ワンダーマン流の手法が初めて 日本に紹介されたのは、1980 年代半ばのことだった。藤田浩 二氏が自己紹介も兼ねて、日本 におけるダイレクトマーケティ ングの足跡を振り返る。
それはワンダーマン氏の協力依頼から始まった
1983年に、ダイレクトマーケティングの名付け親 と言われるレスター・ワンダーマン氏が(株)電通 を来訪した。Wunderman,Ricotta&Klein社(WR&K) の親会社である一般広告代理店のYoung&Rubicam 社(Y&R)と電通が提携していたからだ。Johnson& Johnson社がWR&Kを起用して実施し、大ヒットした、 月齢に合わせて送付する知育玩具の通販を日本でやり たいと伝え、この機会に電通もダイレクトマーケティ ングに乗り出さないかと提案。しかしその時、電通トッ プは、これをSPの領域の、DMによる通販広告としか 理解できなかった。そこでSP局にいた私にも調査視 察の命が下り、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス のY&R傘下のダイレクト企業を訪問。いつかは業務 にしなくてはならない領域だとレポートした。
1984年には、『Successful Direct Marketing Methods』 を書いたダイレクトメールの泰斗、ボブ・ストーン氏 (Y&R傘下のStone&Adler社)主催の2週間の研修に参 加。その後、電通とY&Rがジョイントベンチャー契約 をして、(株)電通ワンダーマンダイレクト(DWD)を設 立し、創業社員教育を電通鎌倉研修所とニューヨーク で行った。それ以来、私はNo.2の職責で、ネットワー クのカンファレンスに参加したり、ワンダーマン氏のス ピーチ原稿や本社の教育資料翻訳のアンカーを務めた りしながら、多くを学ぶことになったのである。
合弁調印式のワンダーマン氏の言葉がずっと頭にある。「今日われわれが敷いた道は、ここにお集まりの 皆さまの引退後も延々と続くことになるでしょう。(中 略)その成功は、才能や力や知識だけでなく、調和と 道徳的価値に基づくものであってほしい。(中略)われ われに続く人たちはこの会社を興した精神をずっと覚 えていてほしい。そしてそれを守り育てていってほし い」と。
また、ダイレクト業界のビジネスモデルは、広告代理店のようなコミッションではなく、タイムフィーに よるものだということも、合弁協議の主要テーマだっ た。力のない人間が「時間いくらです」と請求しても相 手にされない。会社をプロフェッショナル養成校にす る必要があった。そこで、日本でのダイレクトマーケ ティングのフロンティアとして、教育の方法を考えな がら、TVからDMまでのすべてのメディアにかかわる 教育のカリキュラムと素材をつくることになった。