2013年4月2日8:00
会員証機能を備えたiPhoneアプリの提供でCRMを強化
カードレスでポイントが貯まり、店舗等の最新情報を配信
セレクトショップ大手の株式会社ユナイテッドアローズ(以下、ユナイテッドアローズ)は、「UNITED ARROWS」、「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS」、「UNITED ARROWS green label relaxing」などの全15ストアブランドを展開している。ユナイテッドアローズでは、会員向けサービスとして、独自のポイントプログラム「UNITED ARROWS LTD. HOUSE CARD(ユナイテッドアローズ ハウスカード)」(以下、ハウスカード)を発行している。現在、会員数は170万人。2012年8月からは、iPhoneに対応した会員証機能を持つアプリの提供を開始するなど、顧客サービスの向上に力を入れている。
ハウスカードは年間100万人の稼働顧客数を目指す
iPhoneアプリの活用により顧客の利便性向上を図る
「UNITED ARROWS LTD. HOUSE CARD(ユナイテッドアローズ ハウスカード)」は、2007年8月に全社横断的にサービスを開始。ハウスカード開始の経緯としては、当時、ストアブランドごと別々のハウスカードで運用していたため、顧客に複数のカードを持ってもらうことになっていた。また、サービス内容もストアブランドごとバラバラだったため、顧客の利便性を高めるためにも、ハウスカードを一元化した。一元化してから4年が経過し、ユナイテッドアローズでも離反会員が多いことが課題となっていた。顧客化を促進するにあたり、まずは新規獲得に着手。新規会員の獲得者数をKPI化する必要があり社内を横断した取組みを強化したという。その後、新規会員は毎年30万人ペースで増加。現状、稼働顧客数は会員全体の60~70%となっているが、稼動顧客数100万人を目標としている。
会員には、商品の購入1,000円につき1ポイントを付与している。また、2010年以降はセール商品にも3,000円につき1ポイントの付与を行い、2011年からはアウトレットの購入もポイント付与の対象となった。
ギフトカードの送付は、スタート当初100ポイント(10万円分)からの送付であったが、2012年8月以降は50ポイント(5万円分)からの送付となった。その理由は、ギフトカード送付対象を100ポイントから50ポイントにひきさげることにより、ストアブランド間格差を埋めるためであったという。また、ギフトカードの送付も、毎年9月の1回発送していたものを、毎年3月と9月の2回にし、還元の機会を増やした。
ユナイテッドアローズでは、2012年8月から、会員証機能を備えたiPhoneアプリの提供を行っている。iPhoneアプリでは、店頭でハウスカードの代わりにアプリ内「CARD」画面にあるバーコード会員証を提示するだけで、カードレスでポイントの加算が可能になる。また、ポイント照会やポイント獲得履歴、過去の買上履歴なども閲覧可能だ。
iPhoneアプリの提供の理由としては、第一に顧客の利便性向上が挙げられる。携帯電話が情報端末として進化したことで、いつでもどこでもタッチポイントになる点、また、現物のカードの場合、店頭で買い物をしてもらった際に忘れる会員も多かったそうだ。
さらに、ハウスカードの場合、店頭で直接顧客にカードを渡し、その後、顧客自身が自宅などで会員専用フォームから登録する必要がある。そのため、実際の登録者は4割程度であることも課題だった。
すでにiPhoneアプリは4万人が登録
会員証の読み取りに加えて特典ポイントも付与
現状、iPhoneアプリについては、積極的な告知は行っていないが、既存の会員を中心に2013年2月時点で約4万人の登録があるという。
すでに、会員証アプリは戦略的な活用も行われている。iPhone上には、会員証に加え、イベント時にポイント特典用のバーコードを表示できる機能を搭載。対象の会員様が店舗で商品を購入すると、会員証の読み取りに加えて、「5ポイント」「10ポイント」といった特典ポイントを付与している。また、付与するポイント数についても実験を重ねている。
さらに、最新の商品情報やイベント情報、ハウスカード会員限定のお得な情報など、アプリ上でタイムリーに確認可能だ。会員は、気に入った商品や情報があれば「MY LIST」に入れてリストを作成したり、SNSで友達に共有することができる。また、直営のオンライン通販サイト「UNITED ARROW LTD. ONLINE STORE(ユナイテッドアローズ)」(以下、オンラインストア)の商品情報をアプリ内で閲覧可能だ。気に入った商品は、オンラインストアで買い物ができる。
ユナイテッドアローズでは、UNITED ARROW LTD. ONLINE STOREを店舗の補完機能として位置づけ、店舗への送客に力を入れている。すでに店舗とオンラインストアを併売している人は、いずれかの利用者に比べ、客単価がアップするなどの成果を生み出している。そのため、ハウスカード会員に配信するメールも、各ブランドサイトおススメ情報や店舗の最新情報やセール情報などを提供している。
会員へのメールは月に2回配信しており、第一週が男性、二週目が女性といったように、一人の会員が月に1通受け取れるようにしている。
「メール配信については、CRMチームだけでなく、ストアブランドごとにも行っているため、旬の情報に絞って配信しています。また、画像サイズも見やすいように、なるべく大きめのサイズで送付するように心がけています」(ユナイテッドアローズ 事業支援本部 販売支援部 CRMチーム 野田邦弘氏)
店舗とオンラインストアの併売顧客は客単価がアップ
毎年8月にサービスプランの拡充を検討
ユナイテッドアローズではオンラインストアでのポイントは、オンラインストアポイントかハウスカードポイント、どちらか自由に選択が可能だ。すでに店舗とオンラインストアを併売している人は客単価がアップするなどの成果を生み出しているため、ハウスカードポイントとオンラインストアポイントに同時登録を行うとオンラインストアポイント500ポイントをプレゼントするキャンペーンを行った。その結果、「会員からの反応は非常に良く、今後は定期的に実施していきたい」(ユナイテッドアローズ 事業支援本部 販売支援部 部長 須藤貴志氏)としている。現状、全体に占めるハウスカード会員とオンラインストア会員双方の登録者は少ないが、年間の購入単価は2倍以上を占めており、その数値は徐々に高まっているという。
これまで、ユナイテッドアローズでは、毎年8月にサービスプランを拡充してきた。今年の8月にサービスプラン拡充が実施できるかは未定としながらも「来期は大きなサービスの拡充を行う予定です」と須藤氏は話す。同サービスが形になれば、「さらにお客様の利便性が高まり、喜んでいただけるサービスが実現できる」と須藤氏は笑顔で語った。