2014年10月15日8:20カード発行の機会を広げ、月々の買い物金額によりポイントを優遇店舗でのTカードの提示率を5割まで高める
全国に約1万1千店舗を有するコンビニエンスストアのファミリーマートは、2007年11月からTポイント・ジャパンが展開する「Tポイント」に参加している。同社では、2014年7月から、店舗で即時発行するポイントカードとして、「ファミマTカード(ポイントカード)」の発行を開始した。また、買い物金額に応じて、ショッピングポイントがお得に貯まる制度「ファミランク」をスタートし、店舗を繰り返し利用する“お得意さま”をさらに優遇する取り組みを行っている。
店舗で即時発行する「ファミマTカード(ポイントカード)」を開始
前月の買い物金額により、Tポイントがお得に貯まる
ファミリーマートは、「ファミマTカード」を活用したカード会員への販売促進策を強化している。ファミリーマート 総合企画部 マーケティング室CRMグループ マネジャー 山崎栄司氏は、「ファミリーマートがカードを発行する一番の目的は、“お得意さまづくり”です。カード会員はお買い上げ金額が高く、繰り返し店舗にご来店いただいている方が多い。ファミリーマートの売上において、カード会員と非会員の違いは確実に出ています。」と、「ファミマTカード」の重要性について説明する。
カードホルダーにファミリーマートへの親和性を感じてもらい、店舗の来店に繋げることに関しては一定の成果を感じているが、ファミマTカードの会員獲得という面では、これまで課題もあった。
「ファミマTカード」は、18歳以上の場合、クレジットカードとしての申し込みが基本だった。そのため、クレジットカードを好まず、入会を敬遠する人もいたという。7月からは、従来のクレジットカードに加えて、新たに希望するユーザーに対し、店舗で即時発行するポイントカードとして、「ファミマTカード(ポイントカード)」を用意し、クレジットカード機能付きと選択できるようにした。これにより、入会の敷居が低くなり、「さらに多くのファミマTカードをご利用いただけるようになったため、よりCRM展開の精度を高めることが可能になりました」と山崎氏は話す。
ファミリーマートでは、共通ポイントである「Tポイント」アライアンスに加盟している。例えば、TSUTAYAやENEOSなど、他のアライアンスで発行されたTカードの会員もファミリーマートに来店し、カードを提示しているが、「ファミリーマートで入会していただいた会員の方が利用頻度は多い」(山崎氏)そうだ。今回の新サービスでファミマTカードの会員数がさらに増えることで、これまで以上に顧客ニーズに合った取り組みが実施できると期待している。
同時に、会員へのポイント加算として、ファミリーマートランクアップサービス“ファミランク”を導入した。これは、ファミリーマートでの買い物金額に応じて、ショッピングポイントがお得に貯まる制度となる。ファミマTカード会員は、当月の買い物金額に応じて、翌月のショッピングポイントのポイントレートが変動する。例えば、4,999円以下(ブロンズ)は200円につき1ポイントが貯まるが、5,000円~1万4,999円(シルバー)は200円につき2ポイント、1万5,000円以上(ゴールド)は200円につき3ポイント貯まる。会員は、現状の買い物ランクを、レシートやインターネットのTサイト[Tポイント/Tカード]で確認可能だ。
山崎氏は、「カード会員の中には、利用頻度が多い方もいれば少ない方もいらっしゃいます。『ファミマTカード』の券面には、“Special Guest”というメッセージが入っています、店舗をよくご利用されている方に、より手厚い優遇を行うことが当初よりファミマTカードのねらいでしたので、このたびの“ファミランク”の導入に至りました。最上位のゴールドの方の場合、ポイント付与率が高くなりますので、お買い物の1つの動機にしていただければと考えています。より上位の会員を増やし、売り上げ構成比を高めていきたいです」と意気込みを見せる。
新制度の開始により、会員は確実に増えると思われるが、「まずはポイントカードをお持ちいただき、将来的に、より特典が充実したクレジットカードへの切り替えも検討いただければと考えています」と山崎氏は話す。「ファミマTカード(クレジットカード)」限定特典として、火曜・土曜にファミリーマートで買い物すると、ショッピングポイントが3倍となる新「カードの日」をスタート。さらに、「若者応援 クレジットポイント2倍」サービスとして、25歳以下の限定で、通常200円につき1ポイント貯まるクレジットポイントが2倍貯まる新サービスを開始した。「ファミマTカード(ポイントカード)」入会者もいずれはクレジットカードに切り替えてもらうことで、よりお得なサービスを享受してもらいたいそうだ。
離反顧客へのアプローチをTポイントアライアンスとの連携で実施
Yahoo! JAPANと協力しネット上での施策を強化
ファミリーマートでは、2009年10月からは、「ロイヤルカスタマー優遇システム」を活用したCRMを展開。年々、その精度は年々高まっているそうだ。この1~2年重視しているのは、先月利用していたのにもかかわらず、翌月から利用しなくなった離反顧客への対応だ。いったん離反した会員は、店舗ではアプローチできないため、TポイントアライアンスのTSUTAYAやカメラのキタムラなどで、割引券などのクーポンを配布している。アライアンス各社からの誘客により、「離反の割合は徐々に減っています」と山崎氏は話す。また、ファミリーマートの店舗でもTポイントアライアンス先で利用できるクーポンレシートに出力し、相互送客に取り組んでいる。
また、インターネットサービスとの連携にも積極的だ。例えば、Yahoo! JAPANと連携し、期間中ファミリーマートで200円(税込)以上買い物すると、その回数に応じて、インターネット上で「ファミマくじ」が引けるキャンペーンを実施した。インターネットと連携したO2O施策は意識しており、「ファミマくじ」は想定よりも利用者は多かったそうだ。まだまだ、初期段階だが、今後もいろいろな施策を展開できるとしている。ヤフーにとってもインターネットの閲覧者や「Yahoo! JAPAN ID」利用者の拡大といったメリットがあるため、両社にとって「WIN-WIN」となるように調整しながら進めていきたいとしている。
そのほか、会員情報から抽出されたデータを基に、商品開発にも取り組んでいるそうだ。
アライアンス各社と協力しTポイントの価値をさらに高める
早期に1,000万会員達成を目指す
最近では、コンビニエンスストアの多くが、自社ポイントサービスもしくは共通ポイントを展開しているため、「より精度を高めていくことが重要である」(山崎氏)とみている。今後は、ポイントそのものの価値の競争になる可能性があり、ポイントとしての魅力を高める必要もあるそうだ。
ファミリーマートとしても「弊社だけ良ければ、という発想はありません。アライアンス各社と協力し、Tポイントの自体の価値をさらに高めていく必要がある」と考えているそうだ。Tポイント・ジャパン社では、利用活性化に向け、年2~3回共同のキャンペーンを実施するなど、会員の稼働活性化に向けた施策を積極的に展開しているが、「あくまでも私見になりますが、『Tポイント』はサービスとしての立ち上げが早いこともあり、TSUTAYA様やENEOS様など、ブランド力のある企業が多いです。また、共同キャンペーンや相互送客などの取り組みを、どこよりも積極的に行っている印象を受けます」と山崎氏は口にする。
なお、ポイントの併用が可能な共通ポイントサービスも登場しているが、「他の共通ポイントを加算することは当面はありません」と山崎氏は説明する。
新カード発行やファミランク開始後の当面の目標としては、まずはファミリーマート来店客のTカードの提示率を、現状の4割から、今後5割程度まで高めていきたいそうだ。また、ファミマTカード会員数の目標として13年度末の540万人から、早期に1,000万人を達成させたいとしている。ファミマTカードの前身となる「ファミマカード」の開始から10年かけて、540万人の会員を獲得したが、「できれば1年で1,000万人を達成させたいですね」と山崎氏は構想を語った。