2015年12月24日8:00
マルチアプリケーション(Multi-Application)のスマートカード用(ICカード)・プラットフォームのOSである「MULTOS(マルトス)」は、45カ国800万の機関から対応カードが発行されている。MULTOSは、高度なセキュリティを売りとしており、相互運用可能なプラットフォームとなっているため、政府や企業のIDカード、銀行のクレジットカードやキャッシュカード、交通機関のIC乗車券などで利用されている。「MULTOS協議会」には、世界的な企業が名を連ねており、日本からも日立製作所、大日本印刷が参加している。
日本の全銀協をはじめ世界中でMULTOSアプリケーションを採用
北米や中南米での採用が伸びる
「MULTOS」の技術は、Interac(カナダ)、SPAN(サウジアラビア)、全日本銀行協会(日本)、K-CashやTマネー(韓国)、FISC(台湾)、モネオ(フランス)、Banricompras(ブラジル)など、世界中で採用されている。
MULTOSには、主に2つ活動があり、「MULTOS協議会」では、テクノロジ、コマーシャル、マーケティングを担当しており、MasterCard、銀聯、ジェムアルト、大日本印刷、日立製作所など、参加する企業の特性に合わせてシステムを提供している。
また、「MULTOS International」では、金融機関や企業、政府、交通機関等の発行会社に対して、安全性の高いMULTOS製品の提供を行っている。MULTOSでは、クラスによりパートナーシップを結んでいる形態が異なり、たとえば日立製作所とは技術的に協業しているが、競合している部分もある。
MULTOSの技術は、近年では北米やラテンアメリカ(中南米)での採用が伸びているそうだ。同市場では、EMVやモバイル等への対応が評価されている。日本については、提携する企業を通して販売。MULTOSは、マルチアプリケーションを同時に搭載することができ、カード発行後に追加できるメリットがある。また、40社の技術が採用されているメインストリームとなっているため、導入企業からの信頼も厚いという。
MULTOSのコストは高い?
MULTOS International ではNFCのmicroSDカードを販売
高セキュリティを売りにしているため、MULTOSはコストが高いという指摘もあるが、「決して価格では劣っていないと考えています。例えば携帯でいえば、AndroidとiOSが競っていますが、MULTOSとJavaカードが競合と考えれば、決して高いわけではありません。お互い得意とする分野が異なり、Javaカードはモバイルのセキュリティ、MULTOSはスマートカードのセキュリティを強みとしています」とMULTOS International Managing DirectorのRichard Cusson氏は話す。
「CARTES SECURE CONNEXIONS 2015」では、MULTOS International製の microSDカードを挿入したNFCスマートフォンによるNFCモバイルペイメントのデモを実施。MULTOS Internationalでは、同商品をすでに市場に投入できる状態であるという。
MULTOS International マーケティング Vice PresidentのGraeme Bradford氏は、「MULTOS Internationalでは、米国と中南米の成長により、2015年はMULTOS製品の売り上げが非常に伸びましたが、2016年以降もさらに高めていきたいですね」と意気込みを語った。