2016年11月7日8:30
凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピー(富士通FIP)は、2016年10月21日、第9回「ギフトカード/ハウス電子マネーサービス」ユーザー会を開催した。同ユーザー会には、ギフトカードやプリペイドカード発行企業などが参加。さまざまなプリペイド・ギフトカードの活用事例が生まれる中、今回のユーザー会では日本図書普及、藤崎の担当者が導入の経緯や運用の成果について紹介した。
サービス開始から11年目を迎え、取扱高は国内屈指に
今後も新しいビジネスモデルの開発を続ける
凸版印刷と富士通FIPは、ギフトカードの残高管理を行うリアルタイムプロセッシングサービス「ギフトカードASP サービス」を展開している。昨今、市場が拡大するハウス電子マネー、ギフトカードに対応したサービスとして、国内屈指の取扱高を誇る。
9回目を迎えたユーザー会の開催の趣旨は、(1)「生活者視点に立ち、プリペイドカード・ギフトカードサービスの向上と普及を目指す」、(2)「情報や知恵を共有し、お客様と互いにギフトカード事業の成功を目指す」、(3)「市場全体の成長と発展に貢献する」、3つとなる。
冒頭挨拶した、凸版印刷 情報コミュニケーション事業本部 上席執行役員 中尾光宏氏は、「2006年からギフトカードASPサービスを開始して11年目を迎えましたが、その間に社会の状況も変わり、後押しを受けています」と話す。人々の生活スタイルが変化する中で、ICTを使った新しい決済サービスが登場し、人々の消費行動がデータとなり、マーケティングに活用されるトレンドが生まれてきているとした。中尾氏は今後も、「新しいビジネスモデルの開発を続けていきたい」との意気込みを示した。
導入企業でさまざまな活用が進む
日本図書普及、藤崎が発行事例を紹介
続いて日本図書普及 取締役 浅羽奉幸氏が、これまでの図書券・図書カードの歴史、2016年6月よりサーバ管理型の「図書カードNEXT」を加盟書店で発行開始した経緯について説明した。書籍を贈るギフトとして定着した「全国共通図書券」の発行から55年運営され、プリペイドカード式の「図書カード」に変わった後も、全国の加盟書店において幅広く利用されている。サーバで管理型の「図書カードNEXT」では、カード裏面に印字されたQRコードを書店設置の専用端末で読み取り、リアルタイムで残高の減算を行う。書店に設置される新型の読み取り機は「図書カードNEXT」と従来の「図書カード」が読取り可能なハイブリッド型を採用している。
事例の最終講演では、「お客様が思わず持ちたくなるカードを!ハウス電子マネーとアプリを活用したカード戦略」について、藤崎 経営企画部佐々木則和氏が紹介した。藤崎は、宮城県仙台市の地域に根差した百貨店だ。同社では、ハウス電子マネーのチャージができる入会金、年会費無料のポイントカード「+Fカード」を発行している。「+Fカード」は、基本の発行無料の7枚のカードに加え、プラス100円を支払えば「Fカードカウンター」において自由に200色からカードを選択できる。また、藤崎での買い物で1%ポイント還元となる特典も付帯されている。同社では、カード型に加え、スマートフォンのアプリと連携した取り組みにも注力。アプリ登録で、スマホ画面が+Fカードの代わりになる仕組みを採用した。アプリでは、決済に加え、電子マネーやポイントの残高確認も可能だ。
カードレスの法人向けデジタルギフトを提案
「ValueFront Analytics」でハウス電子マネー・ギフトカードの分析が可能に
その後、凸版印刷、富士通FIPの新たな取り組みも紹介された。凸版印刷 トッパンアイデアセンター 玉澤康太郎氏は、デジタルギフトサービスを紹介。凸版印刷では、ポイント交換、優待販売、各種キャンペーンにギフトカードを採用してもらう「法人販売代行サービス」を行っているが、カードタイプに加え、カード作成費・発行コストの低減、ユーザーへのリアルタイムな商品提供を実現するデジタルギフトにより、法人のプロモーション展開がさらに便利になるとした。
さらに、富士通FIP ソリューションビジネス本部 小高信人氏は、クラウドビジネスの展開に向けた新サービスを発表した。ID-POS データを分析するクラウド型の新サービス「FUJITSU リテイルソリューション ValueFront Analytics(バリューフロント アナリティクス)」において、2017年度からハウス電子マネー・ギフトカードの分析が可能になる予定だ。これにより、導入企業は、決済比率分析、来店頻度分析、平均チャージ額分析、顧客単価アップ効果分析などが行える。
ユーザー会には、ハウス電子マネー・ギフトカードの発行企業が多数参加。また、ユーザー会後は懇親会も行われ、ギフト・プリペイドカードを発行する企業同士の親交を深めた。