2018年1月18日9:37
指紋センサーを搭載した非接触決済カード技術を提供するノルウェーのZwipe AS(ズワイプ社)。金額にかかわらずPIN(暗証番号)入力の代わりに、生体認証を行うだけで、支払いが可能な同社の技術について、Zwipe AS PR&マーケティング ディレクター Ado Fazlic氏に話を聞いた。
世界中で2019年から積極的に利用される?
バッテリーレスで、非接触の決済端末から給電
――現在、グローバルでのZwipe様の取り組みについてお聞かせください。実際に貴社の技術がカードに搭載されるのはいつになるのでしょうか?
Ado Fazlic:世界中のいろいろなパートナーと話を進めています。現在はパイロットの段階であり、実用化に向かうのみです。このテクノロジは2018年になると認証されて、2019年にはメジャープレイヤーが使い始めると考えています。
――貴社の技術は決済端末の電力を利用するため、カードそのものにはバッテリーは不要ですね。他社の技術では、バッテリーが搭載されているものもありますが、バッテリーレスの強みについてお聞かせください。
Ado Fazlic:バッテリーを搭載すると追加のコンポーネントがあります。カードに追加のコストが必要で、使用後にカードを破棄する際、バッテリーの処理も考えなければいけません。今はいろいろな方式がありますが、今後、インテグレートされてくるのは非接触で、なおかつバッテリーレスの方式だと思います。
弊社の技術では、非接触の決済端末から給電します。決済端末の給電エリアに入れば、少ないエネルギー消費で動作できるカードとなっています。
カード保有者自身のみ使用できるカード
指紋データは直接カードに記録
――実際に指紋センサーを搭載した非接触決済カードは普及していくのでしょうか?
Ado Fazlic:指紋センサーを搭載した非接触決済カードの一番のメリットは、カード保有者自身しか使えないカードであることです。カード会員の指紋データについても、外部のデータベースではなく、直接カードに記録された情報しかありません。そのため、不正使用のリスクは限りなく低くなります。
また、国によって非接触決済のサインレスも含めた上限金額がありますが、そのリミットがなくすことが可能な点がポイントです。バイオメトリクスを搭載することで、使いやすさをさらに高めることができます。銀行(イシュア)にとってもセキュアで安全に決済できるため、売りとなるカードになります。
――カードのコストに関してはいかがでしょうか?
Ado Fazlic:具体的な価格に関しては非公表ですが、弊社のメインのお客様はカードメーカーとなります。弊社はテクノロジを提供しており、カードメーカー経由で銀行(イシュア)などに販売します。
日立ハイテクノロジーズと国内販売で連携
カード以外でも適用が可能に
――日立ハイテクノロジーズと日本国内における販売代理店契約を締結されていますね。また、市場には競合製品もありますが、貴社の強みについてお聞かせ下さい。
Ado Fazlic:日本市場ではFeliCaへの対応が必要であると考えています。弊社の強みとして、POCの段階では競合の製品は出ていますが、バッテリーレスは弊社の特徴です。コアな部分はパワーなしで認証できることです。弊社は企業規模としては小さいため、カードメーカーにテクノロジの展開を進めていただくのが早い道のりです。将来的にはIoTや、電話などへの搭載も考えています。たとえば、電話のバッテリーがなくなってもこのテクノロジを活用すれば、決済できます。
また、非対面でもUSBの非接触リーダーなどを使って認証することも可能です。すでに特許は取得しており、開発中となっています。
取材は2017年11月28日~11月30日までフランス・カンヌで開催された「TRUSTECH(トラステック)2017」において。