2019年1月31日8:35
freeeは、2019年1月30日に都内で「freeeオープンプラットフォーム 2019 winter」を開催し、一般社団法人全国信用金庫協会とAPI連携に関する契約を締結し、同協会に加盟する260の信用金庫のうち、253の信用金庫とのAPI連携を開始したと発表した。また、提供する「クラウド会計ソフトfreee」や「人事労務freee」のアプリケーションプラットフォーム「freeeアプリストア」を同日に公開している。
API連携14を含め、30の金融機関と事業連携
freeeは2018年5月にオープンプラットフォーム戦略を発表。“スモールビジネスを、世界の主役に。”をコンセプトに、アイデアやパッション、スキルがあれば、誰でもビジネスを強化できるプラットフォームを作ることを目指している。freeeでは、人工知能(AI)技術を使った最先端の機能開発や金融機関との連携により、バックオフィス業務効率化のソリューションを提供。freee CEO 佐々木大輔氏によると、3,819の金融機関とソフトウェアと連携した実績があるという。また、銀行などとの外部連携を可能とするAPIの公開を実施。30の金融機関と事業連携を進めるとともに、14の銀行とAPI連携している。
一昨年の改正銀行法により、金融機関は2020年までに銀行がAPIを整備する努力目標が盛り込まれた。freee 執行役員 金融事業本部長 武地健太氏は、2018年9月に電子決済代行業に第1号登録を行うなど、スモールビジネスのユーザーに安心なデータ環境の構築を目指していることを強調した。
取り次ぎ方式による信用金庫とFinTech企業とのAPI連携は初
今回の会見では、新たな取り組みとして、まず253の信用金庫とのAPI連携を開始することを発表した。業界団体である全国信用金庫協会の取り次ぎ方式による信用金庫とフィンテック(FinTech)企業とのAPI連携は、今回が初とのことだ。同連携により、ユーザーは「会計freee」にユーザーIDとパスワードを保存することなく、各信用金庫のインターネットバンキングの利用明細を自動連携できるようになる。以前は、各信用金庫のインターネットバンキングのユーザーIDとパスワードを「会計freee」上に保存してもらうことで、その情報を用いてシステムが機械的にオンライン・サービスへログインし、利用明細を取り込んでいたが、より便利に連携できる。
城南信用金庫 常勤理事 企業経営サポート部 部長 上原秀生氏は、「中小企業や個人事業主が便利に、安心して、フリーのクラウド会計サービスを利用できることを嬉しく思っています」とコメントした。
Square、SmartHR、KING OF TIMEなどが連携
また、freeeのユーザーとfreeeのサービス連携先の事業者や開発者がつながるプラットフォーム「freeeアプリストア」を公開。freeeユーザーは、 freeeとAPI連携しているアプリケーションの検索から連携・利用開始までを実行することができる。佐々木氏は、「freeeアプリストアでは、自分のビジネスの課題、関連するアプリケーションを簡単に探せるようになります」と説明する。サービス開始時点では28のアプリが紹介されている。
決済関係では、モバイル決済サービスを展開する「Square」との連携も行われている。Square 事業開発・マーケティングリード 伊佐山 礼文氏は、「freeeを使われる人が経理業務を短縮できることを実感していただきたい」とした。
SmartHRでは、労務管理で連携しているが、「API連携により従業員情報を連携できます。いいサービスを組み合わせるのが簡単にできるようになりました」と、同社 取締役 最高執行責任者(COO)倉橋 隆文氏は成果を口にする。
ヒューマンテクノロジーズの勤怠管理システム「KING OF TIME」では、従来、CSVで出力してインポートする流れだったが、ワンクリックで勤怠データを会計freeeにインポートできるようになり業務改善につながっているそうだ。同社 チャネル開発部 部長 家崎 晃一氏は、「我々が貢献できるのは勤怠管理業務。ほかのサービスとの連携をすることで、共通のお客様の業務改善につなげていきたい」とした。
5分でAPI連携できる世界を目指す
freee CTO 横路 隆氏は、昨今の世界的な事情として、事業者のファーストタッチから最初のAPIを連携する時間が短くなっているとした。日本は、連携開始まで3週間以上必要なケースが多いが、「5分でつながらなかったらサービスとして選択されません。こういう現状をfreeeから変えていきたい」と意気込みを語った。
freeeでは、オープンプラットフォームを推進することで、金融では2020年12月末までに法人カバー率90%、アプリストアでは300アプリとの連携を目指す。