茨城交通の運行する高速バスでQRコード決済の実証実験(小田原機器)

2019年7月23日15:00

みちのりホールディングス(みちのりHD)、茨城交通、小田原機器は、2019年7月29日~10月31日まで、茨城交通の運行する高速バスの車内において、QRコード決済の実証実験を行うと発表した。

まずは「PayPay」「Alipay」に対応
運転手の負荷軽減、運賃収受の短縮を目指す

今回のQRコード決済の導入目的は、①QRコード決済システムによる利便性向上を通じた高速バスの利用促進、②QRコード決済システムの導入による運転手の業務負荷軽減、③今後のQRコード決済システムの実装に向けた課題の抽出となる。また、各社の実証実験での役割として、みちのりHDがサービス設計 、茨城交通が高速バスの運行、バス車載機メーカーの小田原機器がQRコード決済用システム(タブレット端末等)の開発・提供となっている。

実証実験用システムのイメージ図

対象路線は、茨城交通の勝田・東海線 (東京駅~大洗 IC~ひたちなか・東海)となる。また、利用開始時点で利用できるQRブランドは「PayPay」「Alipay」となり、8月以降順次ブランドは拡大予定だ。

今回の実証実験では、Windowsタブレットを用いたシステムとし、実証実験期間は小田原機器が実験機を手配・貸出している。また、日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の4言語 (5種)に対応したUI(ユーザーインターフェース)となる。

高速バス車両の乗降口には、タブレット端末とQRコードリーダを設置し、乗降時にQRコード決済を行う。また、QRコード決済の利用形態は、ストアスキャン方式(CPM)となる。利用者自身のスマートフォンにQRコードアプリを表示し、車内設置のQRコードリーダに各ブランドアプリのQRコード画面をかざすことで決済が可能だ。

タブレット端末の利用画面

実証実験では、「運転手の業務負荷軽減」「バス車内での運賃収受に関する所要時間の短縮」を目的とし、タブレット端末の操作回数を最低限にしているのも特徴だ。実証実験において、「①運転手の操作によるQRコード決済」「②利用者自身の操作によるQRコ ード決済」それぞれのケースの所要時間および利便性等を検証する予定だ。

なお、「茨城交通 勝田・東海線」では、乗車する方面により「乗車時」または「降車時」のどちらの決済かが異なる。 下り(東京駅⇒水戸大洗 IC⇒ひたちなか・東海)では、降車時の決済となり、QRコード決済利用の場合は、東京駅で乗車券を購入せずに乗車する。一方、上り(ひたちなか・東海⇒水戸大洗 IC⇒東京駅)では、乗車時の決済となる。

スマホに表示したQRコード決済のブランドを自動判別
「QRコード決済中継サーバ」はDNPが担う

同システムでは、スマートフォンに表示したQRコード決済のブランドを自動判別。小田原機器では、「システム側(QRコード決済中継サーバ)でQRコード決済ブランドを自動認識するため、利用者のブランド選択操作は不要」としている。

システム構成・ネットワーク構成

システム構成における「QRコード決済中継サーバ」には、大日本印刷(DNP)の「DNPマルチペイメントサービス」を採用しており、QRコード決済のブランドごとに各決済センターへの振り分け通信を行っている。

本社・営業所がQR決済状況を管理可能に
運転手が使いやすいシステムを考慮

また、本社・営業所からのQR決済状況管理として、各ブランドの利用状況を一元管理できるWeb管理画面を用意している。これにより、利用日、利用便、乗車/降車バス停、利用言語の情報収集など、事業者が使いやすいシステムを目指したそうだ。同管理画面は、DNPと連携するキャナルペイメントサービスのWebサイトを利用しているという。

さらに、運転手が使いやすいシステムを意識した。小田原機器では、「GTFSデータ(公共交通オープンデータ)の停留所座標とタブレットPC のGPSを活用し、現在位置・停車中 バス停を自動認識(自動歩進)しています。また、GPSで移動中を認識した場合、画面OFFとなり、運転手の視界移り込みに配慮しています」とした。

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