2020年10月8日22:07
電脳交通は、三菱商事、JR東日本スタートアップ、第一交通産業グループ、エムケイ、阿波銀行、いよぎんキャピタルを引受先とした総額5億円の資金調達を実施した。また資本業務提携を締結した各社とは、日々暮らす生活者、訪れる観光客、そして全てのタクシーに関わって働く人々へタクシーのDXを推進する様々な取り組みを開始するそうだ。
近年、配車アプリの急速な普及により都市部ではタクシー利用の利便性が向上する一方で、国内のタクシー事業者は市場の縮小、従業員の高齢化(全国平均60歳)、IT化が進まず長時間労働や地方における配車業務の75%が未だに電話対応であるなど、多くの課題を抱えている。
このため、地方では観光や地元住民の貴重な移動手段としてのタクシー台数が減少し交通空白地帯の拡大が起きており、中小のタクシー事業者はIT化も進められない中、2020年の新型コロナウイルス流行による経済的打撃により、タクシー業界は急速な変化が求められている。
電脳交通は2015年、祖父が経営する廃業寸前だったタクシー会社を承継した代表者が、再建を図る中で見えた業界全体の課題を解決するために設立したベンチャー企業だ。これまでクラウド型配車システム、配車センター代行業を中心に事業者向けビジネスを展開し、2020年9月時点で全国25都道府県のタクシー事業者にサービスを提供、前年比300%のペースで導入されているという。
電脳交通が提供するサービスは、IT知識の乏しい人でも使いやすい配車サービスを、柔軟で低コストな導入が可能なSaaSとして提供することで、導入企業における経営効率化、配車業務の負担軽減・コストの削減、配車アプリ間のデータ共有・交換を実現している。
また、タクシー事業者の配車業務の代行サービスも提供しており、社内組織として全国各地に配車センターを開設しリモート配車業務を行っており、導入企業では平均30~50%のコスト削減に繋がっているという。2020年1月までに累計4億円の資金調達を実施し事業拡大を図ると同時に、徳島市、尾道市、山口市など西日本を中心にその地域における移動の課題解決にむけた取り組みを各自治体と推進している。
今回の資金調達は今後の「全国への事業展開」「さらなる機能強化や配車センターの拡充など事業拡大に必要な人員採用強化」「サービス開始以来蓄積したデータ基盤と、コールセンター業務を通じて培われた現場のノウハウを活用した新サービス開発と提供」を主な目的としている。
電脳交通は設立当初、地方の中小タクシー事業者を中心にクラウド型配車システム・配車業務代行サービスを提供してきたが、今年6月の大規模事業者向け機能(自動配車・データ解析など)の提供、提携各社との取り組みにより、事業規模や都市・地方関わらず導入できるサービスへと変わりつつあるそうだ。
今後はさらにQRチケットや決済レスコール機能、フードデリバリーや公共タクシー配車など、システム・サービスの両面からタクシー業界内の課題はもちろん、地域ごとに存在する「生活者が必要とする移動・輸送サービス」「観光地における移動利便性向上」などの課題を解決するために、タクシーのDXに必要なサービスを提供していきたいとしている。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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