2011年1月6日7:54
「東京ユビキタス計画・銀座」でNFCの実証実験を実施
将来は観光客が自身のケータイで観光案内を手にできる?
東京都と国土交通省では2010年11月18日から2011年3月31日まで、東京銀座で「東京ユビキタス計画・銀座」の実証実験を実施している。銀座の街の街路灯などには固有の識別子である「ucode」を格納したNFCタグを搭載し、QRコードを印刷したプレートを設置。民間参画によるNFC(Near Field Communication)技術の実験を行っている。
NFCタグ、無線マーカー、赤外線マーカーなど
銀座の街900箇所に「ucode」を配置
東京都は国土交通省と連携し、先端技術をまちづくりに活用し、地域振興や産業振興、観光振興を図るとともに、「東京ユビキタス計画」によりユビキタスID技術の実用化を目指している。東京ユビキタス計画はいつでも、どこでも、誰でもが、必要な情報を手軽に得ることの出来る、ユビキタス社会を近い将来実現することを目指した東京都の取り組みである。
2016年のオリンピック、パラリンピックの招致を目指していた東京都では06年度に10年後の東京で、年間1,000万人の外国人旅行客が不自由なく東京見物できるユニバーサルデザイン都市を目指し、ユビキタス技術などを活用したまちづくりを宣言している。特に海外から観光客が訪れても不便のないように、ユビキタス技術を活用して東京の街を楽しんでもらう目的でスタートした。結果的にオリンピック、パラリンピックの招致はできなかったが、その計画は変更となっていない。
東京ユビキタス計画は2005年度の2005年10月に上野で開始。2006年度の2006年12月から銀座で展開している。2008年度の2009年2月には東京都庁でもサービスを開始。2010年1月からは浜離宮でもサービスを行っている。
2010年度は銀座で5回目の実験となる。実験期間は2010年11月18日から2011年3月31日まで。今回も実験希望者にUCを貸し出し、音声や画像で店舗・観光情報、銀座の歴史について案内したり、実験エリア内の各施設への道案内などを行っている。UCによる情報提供は、日本語、英語、中国語(繁体字、簡体字)、ハングルの4言語5種類で行っている。
実験への参加希望者は東京ユビキタス計画のWebサイトから申し込みを行い、参加当日に東京メトロ銀座駅構内などにある貸出場所で身分証明書の提示を行うことで専用端末「ユビキタスコミュニケータ(UC)」を借りることができる。事前予約だけではなく当日の申し込みも可能だ。
実験では、晴海通り、銀座通りの街路灯や地下通路など約900箇所に個々のモノや場所を識別するために割り振られる識別子である「ucode」を格納したNFCタグやQRコード、無線マーカー、赤外線マーカーを配置。銀座の街のいたるところに付けられたucodeをUCで読み取ることにより、位置情報に合わせた店舗・観光情報などを受け取ることができる(QRコードやNFCタグはUCでは読み取り不可)。例えば無線マーカーの実験ではNPO法人の協力のもと、一般の無線マーカーから視覚障害者向けの音声案内サービスを検証するという。
国際標準のNFCに期待
民間参画実験には7グループ10社が参加
今年度の実験では一般参加の実験だけでなく、民間企業によるNFCの実験を行っている。東京都 都市整備局 総務部 調整担当課長 後藤和宏氏は、「NFCの実験を行う理由は国際標準の規格だからです。将来的には海外からお越しになられた方が自身の携帯電話でNFCタグの情報を読み取っていただくことが考えられます。ここ1年でAndroidやiPhoneなど、ケータイ端末自身が高機能化しており、UCが目指すコンセプトに近づいています」と説明する。
なお、民間参画実験には7グループ10社(凸版印刷、横須賀テレコムリサーチパーク、ぐるなび、ティエイディ、パーソナルメディア、沖電気工業、パスコ、ユーシーテクノロジ、住友大阪セメント)が選定された。例えば凸版印刷ではNFC携帯とタグを用いた電子ポスターの実験を実施するという。
東京都と国土交通省では2011年3月までの実験結果を分析し、その課題をクリアにしたうえで来年度以降の取り組みに役立てていきたいとしている。